※現在最新皿はVOL.12 180皿となっております。2012年8月2日更新














創刊!『ミズラン・ジャポン』――旅鴉の餌箱――
                     by Mizulin

プロフェッサー尚次のリクエスト、深尾副編集長のお奨め(おだて)もありましたので、
勝手なことを書かせていただこうと思います。何を書こうかなと思い悩み、最近再び付け始めた『夢日記』をそのまま、というアイデアもあったのですが、けっこう皆さま(これを読んでくださっているあなた、あなたですよ)も出てきてしまって、本人が照れ臭がっているだけならいいのですが、ご迷惑をかけてもいけないので。

第二の案、『ミズラン・ジャポン』――旅鴉の餌箱――というタイトルで、
これまでほっつき歩いては食いかつ飲みした店を紹介していこうと思います。
副題にもありますとおり、必ずしも東京にこだわらず日本全国あちこち、ということになるつもりではあります。それから、いくつかお断りしておかなくてはならないのですが、まずここに出すお店はすべて自腹で行ったもの。接待したりされたり、というのは原則として入れません。だから、いわゆるおしゃれなグルメガイドにはなりようがありません。そのかわり、B級・C級は満載かも。もちろん店からお願いされたりもしてませんし、評価も独断と偏見です。プラス、甘味・ケーキの類は、当方まったく不調法なため、入らないでしょう。超高級ディナーに、眼も心もとろけるようなデセール、なんてのをお求めの方は、悪いな、ほかを当たってくれよ。簡単な行き方と電話くらいは載せますが、写真はあってもシロート写真、地図はなしってことでよければ、最低週1を心に決め、目ざせ200回!







第15皿 小籠包頬ばりつつ、桜を愛でる。東洋的幸福。『西安刀削麺・六本木店』

小籠包と奥は前菜盛り合わせ
ある春の日暮れ、洛陽の都でぼうっと立ってたら不思議な老人が現れ・・というのは『杜子春』でしたね。日出ずる国の都で、栄華の夢ならぬおいしい夢をたっぷり、お安く楽しませてくれるのがこの店。基本は、最近ブームになりつつある刀削麺。本家本元、というところで、その名の通り、粉をこねた固まりから、包丁でシャッシャッと削って煮えたぎるお湯のなかに「麺」を放り込む"パフォーマンス"も楽しい。夜は、前菜、自慢の小籠包、鉄鍋餃子に炒め物など料理数品がついて麺で締めるコースがお奨めです。甕出し紹興酒が、進む進む。で、この店のもうひとつのウリが、隣の六本木中学校の桜が見えること。いながらにして満開の桜を楽しめるので、これからのシーズンは大人気。開花予測と見比べつつ、予約の際は「桜の見えるテーブルを」の一言をわすれずに。

● 行き方:六本木交差点から芋洗坂を5分下った右側、六本木中学の先のビル2F。
● 営業時間:11:30〜14:00(LO) 17:30〜3:00(LO)
● 電話:03−5785−0828
● 予算:文中のコース 3,000円より。昼はランチあり。






第14皿 トムもケンも食べた。『ウォルフギャング・パック・バー&グリル』

渡辺謙、惜しかったねえ。でもじつはトム・クルーズがサムライに正面から挑戦して、「秘境モノ」じゃない描き方をした、というのがあの映画の最大の功績のような気がします。さて、そのアカデミー賞公式パーティで出たメニューが食べられるのが、ここ六本木ヒルズの『ウォルフギャング・パック・バー&グリル』。それは、店の名前のパック氏が10年にわたってそのパーティの公式シェフを務めているからなのですね。アングロサクソンの国に旨いものなし、という「定説」はあるのですが、カリフォルニアの魚介類と、キャビアや肉をうまく配置したそのメニューは、誉ある場の「演出」としてはなかなかのもの。さすがハリウッド直伝?ああ、この料理をケンはどんな気持ちで食べたのかな、なんて思いながらアカデミー賞御用達メニュー、キャビア添えのベイクトポテト(1,900円)を食す。雰囲気を味わいながら、カジキマグロ、ズワイガニ、トリュフ風味ソースのパスタに牛頬肉のメインといったコースの間に、4種の選び抜いたワインがグラスで楽しめる"スペシャル・ウィンター・ディナー"(10,000円)もおトクそう。惜しむらくは、ウェイトレスが純然たる日本のお姉ちゃん、なことか。『コヨーテ・アグリー』に出てくるみたいなパツパツのギャル(おやじ!)とまでは言わないが、せめて半分が洋モノだったらな。早めに行ってウェイティングバーで一杯、も楽しそう。

●行き方:六本木ヒルズ ハリウッドプラザ2F
●営業時間:11:00〜22:00(LO)ディナータイムは17:00〜(無休)
● 電話: 03−5786−9630
● 予算:文中から想像してください。これまで紹介したお店よりは、さすがにちょっと高い。






第13皿 餅は餅屋、パスタは粉屋。『パルテノペ・恵比寿店』

パルテノンじゃないんですよ。「ペ」ですからね。店名の由来は、お店でどうぞ。ここは日清製粉が新事業として立ち上げた、ピッツァやパスタの専門店。本格的なのは原料調達だけじゃない、ピッツァの大きな石窯もイタリアから直送、マイスターに選ばれたシェフだけが焼きを担当できる・・といった取り組み方も。広尾にも『グルメぴあ』の読者投票でイタリア料理部門NO.1に輝いた第一号店がありますが、雰囲気は、かつて銀行だった建物を改造した重厚なつくりの恵比寿店のほうがいいですね。パスタもいろいろ、お奨めは「赤えびのトマトソース」かな。でも軽いソースのも食べたいし、ピッツァもルッコラとか、魚介ものとか、2種類くらいは・・。メインの肉も賞味したい。そうそう、意外な名物が、海草を練りこんだ耳たぶくらいの硬さのフリッター、ゼッポリーネ。絶品ダーネなんて言いながら、やめられない止まらない。あれやこれや食べるには、やっぱり4人くらいで行きたいですね。おや、そういえば隣のテーブルにはユリエ・ニタニさんがお友達と・・。けっこう芸能人・著名人もいます。親会社の創業家から皇室に嫁がれたあのお方がいらっしゃったかどうかは聞きそびれましたが。気取ってないけど、本格派で、とにかくおいしい。スローフードの本質だあ。(なんちゃって、本場のイタリアンは実はまだ食べたことないんだけど)。必予約。

●行き方:恵比寿駅東口を出て東京三菱銀行の前の通りを3分。看板わかりにくいので、注意。"ZEST"まで来ちゃったら行き過ぎ。
● 営業時間:ランチタイム 月〜金 11:30〜14:00(LO)
              土日祝 12:00〜14:30(LO)
           ディナータイム 18:00〜22:00(LO)
● 電話:03−5791−5663
● 予算:ワイン別で、4〜5000円





第12皿 正式店名があったとは知らなんだ。渋谷の腸詰『細雪』

前皿に引き続き、渋谷マークシティ脇です。「東京で一番腸詰がうまい店」と誇らしげなテント看板に引き寄せられ、フラッと入ったかの日から二十余年。「細雪」という正式店名があったことに、今まで気づきませんでした。東京で一番、とまでいえるかどうかはわからないけど、「二番目にうまい店」なんてネラッた言い方をするよりは潔くていいわな。メニューは、有名店『麗郷』とは趣を異にする、昨日まで肉だったよな、という感じの「腸詰」800円、これまた存在感のある「豚耳」750円、「角煮」800円、「ピータン」550円、どれも本格的。飲み物は、紹興酒(大徳利)900円、ビール600円、といったところ。NHKに行った流れで夕方から一杯やっていたら、テーブルで相席になった男たちの会話。「『休眠』でいくには先生にいつまでにお願いしたらいいんですかね」「いま持ってるのをかき集めて資産にできるのは、5000くらいでしょ」・・・久々にバブル紳士、という言葉を思い出しました。店員は中国語で注文をつなぐし、紹興酒の徳利がガンガン並ぶし(こっち組も負けていなかった)で、一瞬香港か上海あたりの大衆食堂にいる錯覚?そういえばこのそばに、餃子の名店『aa』もあったぞ、と・・。

●行き方:渋谷駅マークシティにそった(右側の)坂を井の頭線の改札に向って上がる途中右側
● 営業時間:月〜金 夕方早めから11:00。土は10:30まで。
● 電話:不明
● 予算:文中





第11皿 旅鴉に長居は無用!?うなぎ&焼鳥『森本』


店頭 看板
手前ひな皮 奥つくね
以前紹介した『鳥善瀬尾』はしっとり落ち着き系ですが、ここはざくざくっと食べてパッと立ち去る系。店にも「止まり木を我にもわけよ夕雀」なんて標語や、「混み合う時の長話(!)はご遠慮ください」などと書いた紙が貼ってある。したがって店側としても注文した品を待たせるなんてことはないのですが、これがまた一気にどっと出てくるわけでもなく、不思議に食べるペースに合わせて2本ずつくらい出てくるから不思議なのですな。場所の良さもあって、安いわけではないが、いつも混んでいます。渋谷を根城にしている人なら一度は通ったり覗いたりしたことがあるのではないかな。ゆず風味がほのかに効いたつくね(これは刺身でも出ている)、アブラの乗ったひな皮、ゴンボ(ふつうの店で言うぼんぢり)、鳥刺しなどがお奨めでしょうか(1本200円〜)。レバーの不得手な私も、ここの血肝はなぜか食べられる。もちろんレバ刺しもあります。そうそう、うなぎを看板に掲げているだけあって、串に巻きつけたまま出る蒲焼も、見事。でも「チョット一杯」族には、うなぎの肝焼(300円)でしょうかね。短時間ながらボリュームを味わったあとのさっぱりお口直しに、またスターターとしても、わさびの茎スライス、らっきょうのワイン漬などが、名物としてイケます。女性を連れて行っても、焼鳥屋らしい焼鳥屋として喜ばれると思いますよ。長話さえしなければね。

● 行き方:渋谷駅マークシティにそった坂を井の頭線の改札に向って上がり、右折した角
● 営業時間:夕方早めから。終わりも早め。
● 電話:03−3463−5233
● 予算:もちろん時間制なわけではありませんが、30分2,500〜3,000円といったところでしょうか(笑)。





第10皿 吾ら悟空となりて、いざビューン。『八戒』

生まれが関西なもので、野球となるとコテコテの虎党なのですが、お好み焼きは大阪を裏切ってやっぱり広島だなあと思う。ここ、「八戒」はお好み焼きばかりの集合ビル「お好み村」に入っている(店主いわく「4階にあっても八戒」)、広島に行くたびに同期入社のポン友と行く店です。札幌の「ラーメン横丁」とかこの「お好み村」とか、人気が先立って味はそうでも・・という店が多いのですが、この店だけは例外(ていうかここ以外はソコソコ止まり・・だとキメてかかっている)。ポン友は、7年に及ぶ在広中にもう100回は来たのではないか、と言う。東京から誰か来る度だけでなく、家族でも通うので、娘息子の成長を、猪八戒のような、あるいはかの三浦和義氏をもっとゴツくしたような大将と、幼稚園の先生のようなお姉さんがずっと知っている。常連を大切にするあまり、フリの客に冷たいなあ、というキライもありますが・・・。とにかく、お好み焼きの前菜として食べる大きな「カキのバター焼き」やら「ウニクレソン」やら「もやしの巣ごもり」といった料理をあれこれ満喫してしまうと、おなかがいっぱいになってしまうのが玉にキズ。メインのお好み焼き(そば玉が基本だが、好みとハラ具合に応じていろいろ)になかなかたどりつかず・・。さて、せっかくのサル年だもん、(とくに年男年女のみなさん!)お釈迦様の手の平で美味に酔うやんちゃな孫悟空になろうではありませぬか。一見コワモテで実はやさしい猪八戒のおっさんも見守ってくれますから。まずはバーゲンフェアのキントー雲でも予約しますか。

●行き方: 広島市中区八丁堀。広島駅〜市電宇品行きで八丁堀下車。いわゆる「パルコ裏」で、タクシーでもすぐ。
● 電話:082−241−8758(これは「お好み村」の代表電話。店の電話は忙しくて対応不能なので公表していない。)
● 営業時間: 6:00ごろから夜遅くまで。日曜休み。
● 予算:2,000円〜4,000円くらい

半年振り再訪(2004.10.30up)

2月に行って以来、8ヶ月ぶりに寄りました。待ち合わせ時間の5分前に行くと、あれ、ガラガラ?「お好み村」内の向かいの店は珍しく一杯なのに・・。と思ったら正解はこういうことでした。「八戒」は全部予約で埋まっちゃってるから、フリの客を入れられない。向かいの店は、どうも学会帰りの先生たちが、予約ナシで、15人入れますかねえ、という感じで来たら、ドーゾドーゾという感じで入れた、と。
今回改めて驚いたのは、コストパフォーマンスですね。もう自分の中で定番メニューになりつつある、写真@のウニクレソンのほかに、写真Aのあわび、それに大型のカキなどを焼いてもらいました。もう感激の味と、ボリューム。値段は、ちょっともう居酒屋に行くのがイヤになるほどのリーズナブルさです。お好み焼屋なれど、お好み焼に行き着くまでにもう胸もおなかもいっぱい。でもシメにはやっぱり2種類のお好み焼を4人で分け分けして食べました。

@うにクレソン Aあわび




第9皿 友達の家でゴチになっているような・・。
鹿児島ラーメン『のぼる屋』

いきなり私事で恐縮ですが、ウチの母は、僕が子供の頃、友達の家に遊びに行って昼ゴハンご馳走になってきたりすると、すごく怒ったのですね。なぜかはいまだによくわからないのですが、たぶんウチが貧しかったことの裏返しだと思う。水谷クンには食べさせてあげよう、みたいに思われているんじゃないか、と勘繰ったのかもしれない。考え過ぎだと思うけど、プライドが許さなかったのでしょうね。特に、近所にいたKクンという家は鹿児島県出身のお父さんが国鉄の技師をやっていて、家にプールがあり、クラスで最初に自家用車が入ったような家でした。そこでご馳走になったりすると、ことのほか、怒った。プライドを持て、と言われたにしても、おいしそうなオムライスなんか用意されちゃってる前の子供にはムリだよね。そんなことを思い出しながら出かけた出張で、先方の担当者に昼ごはんに連れて行ってもらったが、「のぼる屋」。鹿児島ラーメンの元祖的な店ですが、「こむらさき」「ざぼん」といったほかの代表的な店と違って繁華街を外れたところにあります。初めて行くときは、タクシーで「堀江町の、のぼる屋さんへ」と言わないとわからないだろうな。昔の下宿屋のような木造の二階家(昭和22年創業)に上がってあぐらをかいて座ると、あれ、三半規管が狂ったかな?いやいや正常です。床が傾いているんです。出されたラーメンの下に敷かれたお盆替りのお皿の下の片側に箸を一本挟んで、ちょうどスープが水平になる感じ。麺はうどんのような、白い平打ち。スープはとんこつですが、野菜と煮干系?のダシとのミックスで、さっぱりしています。博多の長浜風とは、ひと味もふた味も違います。やや甘めの味付けなので、僕は、備え付けの胡椒を入れてちょうどよかったです。箸休めにドンと出てくる大根漬も、なんだか友達の家のそれも台所で、お母さんの手作りラーメンをいただいているような気分にさせられる店でした。いっぱい写真が飾ってある森進一氏も、ずいぶんお世話になったそうな。文筆系が好きな方には、鴨居上に貼られた戸塚文子、海音寺潮五郎などの色紙も一見の価値有り。

● 行き方:鹿児島市電「いずろ通り」停留所から5分(タクシーなら文中。市中心部の天文館から1メーター)
● 電話:099−226−6697
● 営業時間:11:00〜19:00(日曜定休)
● 予算:1,000円(ラーメンのみの超シンプルメニュー。大盛や替え玉制度はなし)





第8皿 嗚呼! 涙の鯨ベーコン。『酒蔵・樽一 高田馬場店』


「鯨の竜田揚げ」・・覚えてます?我々が小学校時代、給食に肉の代用品として出てきた定番メニュー(練馬区だけか?)。それはそれでボリュームがあって結構好きだったりしたのですが、いまやなかなか食べられない。ときどき「鯨ベーコン」なんてメニューが下がっている居酒屋で、おおっ、などと勇んで注文してみると、ほんとに薄くて脂だけなのが4,5枚来て、結構な値段したりするんですわ。その点この店では厚みがあって、しっかり肉のついたベーコンを1,000円で食べられるので、涙が出そう。早稲田に行った折など、どうしても足が向いてしまうのです。ほかにも、さえずりを始め、鯨のメニュー豊富。頭の先から尻尾まで出す新宿の本店のほうが有名なようですが、僕は線路際に張り付いているような佇まいのこっちが好きです。ただ、最近はネタがキレちゃうこともあり、どうしても食いてえ!というときは電話で確かめてくれ、とか言われてます。さて、日本がアメリカ産牛肉輸入再開の条件としている「全頭検査」に対して、アチラは、「科学的な対応をしてほしい」と言っている。つまり、全頭検査なんてのは手間ばっかりかかる非科学的方法で、感情的な対応だ、と批判しているわけですね。であれば、捕鯨に対しても、アメリカをはじめとする各国に「科学的な対応」をしてほしい、と思うのは僕だけでしょうか。鯨資源の保護、というのが現在の商業捕鯨禁止の根拠になっているわけですが、実際にはどんどん増えていて日本の消費量くらい捕獲しても、まるで影響ない、というのが実態のようですから。ホントはもっと違う理由があって、それが科学的か、非科学的かは、唯一食物連鎖から疎外されている人間が問えることではすでにないという気がするのですが。図らずもちょっと固めになってしまった、第8皿でした。

● 行き方:高田馬場駅早稲田口を出て、西武新宿線と山手線の間の横丁を入る。
● 営業時間:電話で問い合わせを。
● 電話:03−3208−9771
● 予算:一品500〜1,000円くらい。酒・ビールは、ガード脇にふさわしい値段。




第7皿 チンギス・ハン様、いただきます。『老湯火鍋房』

ズバリ、ラムしゃぶの店。昨年末の開店以来連日満員の『老湯火鍋房』(らおたんひなべぼう)。ラムしゃぶといえば、神田の中華『龍水楼』が有名だが、以前その主人に聞いた話では、もともとしゃぶしゃぶは中国の、それも北部の料理だったという。その料理法を関東軍の将校が持ち帰って郷里の大阪で始めたのが、日本におけるしゃぶしゃぶの起源だったとか。日本ではヒツジを食す習慣がなかったから、たまたま牛肉で始めただけ、という。『老湯火鍋房』は、中国のモンゴル側の境、内蒙古自治区の料理店を訪ねた社長(某有名人物です)がその味にほれ込んで、レシピと火鍋を直輸入して始めたもの。やはり起源は、元寇時代の行軍料理という。漢方成分たっぷりの旨・辛二種の薬膳スープに豪快に肉を放り込んで、食べる。ラム肉自体は臭いもないし、何より低カロリー、低コレステロールで、おまけに脂肪燃焼物質「カルニチン」も含まれているのでダイエット効果も、なんていわれると、ついつい食べ過ぎてしまうよなあ。きっと肉を焼くとその煙で敵に見つかっちゃうから茹でたんだよ、などと想像しつつ、熱くなった体にビールを注ぎ込んでいると、ほらほら、あなたもなんだかチンギス・ハンみたいな顔になってきましたよ!

● 行き方:渋谷マークシティに沿った坂を井の頭線改札口のほうに上がり、左に曲がったところ
● 営業時間:11:00〜14:00 
17:00〜24:00(ラストオーダー23:00)
● 電話:03−6415−6556
● 予算:火鍋セット2,500円、一品料理もあり。




第6皿 ファンインクァンリン。『飲み処 楽々』

中国に一度でもいった方はわかると思うのですが(中華街でも時々出てるけど)、お約束の4文字「歓迎光臨」。ま、いらっしゃいませ、といった意味だと思いますが、これを、発音すると、表題のようになるわけです(違うゾという向きはぜひ指摘してね。これは上海語の発音だと思う。当方、大学で中国語をとって、三週間でギブアップしたクチなので<あのマ〜・マア・マ^・マーという「四声」にやられた!>よくワカラン)。で、この店は、中国人のママがひとりでヤテマス。ミツタニサン、トキトキフラット来テハ、メニューノ日本語マチガテルヨ、ト指摘スルコワクテ親切ナオ客サンテス。『サシミ』ノ『ミ』ハ少シ斜メニ書クンダヨ、マッスグニ書クト漢数字ノ3ニナッチャウノネ、ナドト。デモソレデモコンナニ日本語ガウマイママ("ロン"デース)ガ居テ、中国家庭料理(ホントハ「家常料理」ッテ書クンダヨ)ヲツマミニ飲メル店ナイッテ言ッテタネ。ワタシ?ピンクレディーノ「ケイチャン」ニ似テルトカ、ミツタニサン言ウケド、マツシマナナコニ似テルッテ言ウオ客サンモイルンダヨ。

● 行き方:JR&東急の大井町駅をイトーヨーカドー側に出て、左側のゴチャゴチャ飲み屋街へ。「東小路」2本目の奥。
● 営業時間:早い!16:00ごろから(なぜ知ってる!)12時くらいまで。
● 電話:すいません、忘れました。
● 予算:一品380円から。3,000円以上は、まず使えない。





第5皿 いまこそ喰らおうではないか。『七輪焼肉 本とさや』


かのマリー・アントワネットは、食べるパンがない!と荒れて騒ぐ市民に「それならケーキを食べればいいじゃない」と言い放ったと言う。ならば我々も、牛丼が日一日と食えなくなりつつある現在こそ、本格焼肉に走ろうではないか!(ちょっと違うか?)準備その一、翌朝会議がない日を選ぶ。準備その二、クリーニングに出す寸前の服を来て出かける。準備その三、相手を選ぶ。小食のヒトといっても面白くない。かつイザというときのためにジャンケンの弱い相手ね。さて出かける先は、知る人ぞ知る焼肉のメッカ、浅草。国際通り「今半」の角を曲がれば、おお、もうソコハカトナク香ばしい煙がたなびいて来るではないか。ビールを欲してノドがなる、ニクニクニクニクと腹が鳴る。駆け込む先は、まあ、典型的赤提灯焼肉屋『本とさや』。まずは、カクテキ、チャンジャ、サンチュの前菜三大王。そして進んで、塩タンに、メインはやっぱり生でも食える、が謳い文句のカルビですな。これが板状じゃない、キューブ状、少なくとも直方体、と言うべきもの。七輪の強火でイッキに焼いて、レアなくらいで、ほおばってしまおう。BSEの怨霊退散!スタミナ満点開運招福!で、シメは冷麺か、ザル風辛いソバ。いろいろ食える盛り合わせもあり。今後も焼肉屋は何回か出てくる予定であるが、ここが「汚くてウマイ」系ではまずNo.1。

● 行き方:地下鉄銀座線田原町から六区方向へ5〜6分。「今半」前から電話がおすすめ。
● 営業時間:月〜土 昼2:00〜朝5:00
      日 昼1:00〜深夜1:00
● 電話:03−3845―0138(予約必)
● 予算:肉だけなら5000円くらいで死にそうに満足。





第4皿 目黒はさんまか?いや、へぎそばだ。『匠 本店』



へぎそば 2・3人前の「中」
蕎麦屋で飲むという行動様式がありますな。板わさとだし巻卵かなにかで、ぬる燗を1〜2本飲み、腹が減っていれば天麩羅をちょちょいとつまみ、ざる蕎麦で締める、という「親父の正しい飲み方」。それもいいが、もう少し変化をつけたいという場合には、ここがお勧め。日比谷線・東横線の中目黒駅から山手通りを南へ5、6分。目黒警察署のはす向かいに暖簾を出しているのが『越後へぎそば・匠本店』。「へぎそば」ってなんだ?食べると直感する、これは蕎麦粉のつなぎに何か独特なモノを使っているな?の答です。正解は、布海苔(フノリ)。新潟では一般的らしいのだが、畑の作物である蕎麦と海産物とのハイブリッドで、なんとも言えぬ味わいを出してます。で、この店、親父だけでなく若い人も結構飲んでますが、先ほどのコースに倣って言えば「焼き味噌」と「蕎麦屋のコロッケ」(確かに蕎麦屋じゃないとできないモノ)で久保田百寿か、越州を冷でくくっといき、珍味発見「げそのホイル焼」(イカのゴロも一緒に味噌仕立てしてある)か「海老しんじょう」で腹の虫をおとなしくさせて、いよいよ「へぎそば」へ。もちろん、天麩羅もなかなかですが、結構ボリュームがあるので、二人くらいだとキツイかも。「ぐるなび」などで探して、ぜひ1ドリンククーポンをお忘れなく。生ビール、百寿も飲めるので。その他地酒豊富。

● 行き方:文中
● 営業時間:(昼)11:30〜14:00 
(夜)17:30〜26:00(日曜は24:00まで)

● 電話:03−3794−8877
● 予算:3000円くらい






第3皿 ITも、自慢のネタです。『ぐるめ亭』


ほや 380円
このへんで、地元ネタをお許しいただきたい。場所は、横浜郊外霧が丘。霧が丘って、すごい地名でしょ。かの嵐が丘を思い起こさせますな。立ちこめた霧の中から、歩いてくる人影。コートの襟を立て、背をちょっと丸めてゆっくりと近づいてくるのは、今ならさながら中居クンでしょう。そんなイメージもある意味、当然。この辺は実はあの世界のクロサワがどーんと買い取ったことから開発が始まったと言われている。昔なら、世田谷のあたりで、戦国スペクタクルの映画が撮れた。電線が無かったから。でも世田谷は宅地化が進み、どうアングルを工夫しても電信柱や遠くの街並みが写りこんでしまう。ロケ不能。それでやむなく一帯に持っていた土地を売って、買ったのが30キロ近く離れたこの霧が丘。むろん当時は、電車もバスも通っていない。そんな歴史の片鱗が、いまでもあるCM撮影の「黒澤スタジオ」や、クロパンこと黒澤久雄氏やその友人の江川投手やプロゴルファー羽川の豪邸が並ぶ一画。でももう住んでないらしいけど。いまはとにかく「霧が丘グリーンタウン」「若葉台団地」という二大団地をかかえるこのエリア。じつはかつてクロサワが撮影を夢見た土地は、いまやファミレス銀座なのである。そんななかにある、回転寿司『ぐるめ亭』。このいーかげんな名前で判断してはいけない。入ってまず最初に驚くのは、大きなガラスケースの中にどーんと鎮座する各種の魚介類。これを目の前で切って、ネタにして握るわけで、そりゃ駅前通あたりのはやらない寿司屋よりは、ずっとおいしくて安いですわな。だって「回転」がいいんだもん(チャンチャン)。もうひとつは、(最近でこそ、ところどころで見かけるようになったけど)、重ねた皿に店員がバーコードリーダーみたいのを当てて瞬時に値段を出す「電子オアイソ方式」。皿のウラに、ICチップが入っているのですね。小泉首相はさる店でこれを見て、「これが日本のITだ!」とご満悦だったそうな。いまガイジンをフツーの寿司屋に連れて行くと「オー、マワッテナイ。ろーてくネ!」なんて言われちゃうとか。それなら見ろ!どーだ、これがニホンの誇るIT寿司だ!

● 行き方:東名横浜青葉インターから5分。環状4号線(横浜の)沿い。
● 営業時間:11:00〜夜はお問い合わせを。
● 電話:045−922−4388
● 予算:一皿200円から500円くらい。「回転」としてはちょい高めですが満足度は高いはず。ビール、酒などもあり。





第2皿 誰が呼んだか「お忍び系」焼鳥屋。『鳥善・瀬尾』

もちろん、新橋ガード下あたりで皿にこぼれる熱燗のグラスに口を寄せながら、串をシーハーシーハーするのも、よくぞサラリーマンに生まれけり(?)というヨロコビの瞬間なのですが、たまにはね、こういう落ち着いたところで本格焼鳥、というのも。場所、わかりにくいです。麻布十番の駅から表通りを六本木ヒルズ方面に向かってガソリンスタンドの角を右に曲がってちょっと。またも地下です(携帯入りません)。満天星の向かいと言ったほうがわかりやすいかな。業界の方ならアオイスタジオ向かい、でしょうか。トリがね、どうせなら美味く食ってくれい、と遺言したのを、店長はじめイケメン度70%のオニイさんたちが忠実に執行してくれる感じです。おまかせのコースもありますが、せっかくですから好みのものを選んで食べたほうが・・。1本200円から300円とお値段もしっかりしてますから。"ぼんじり"とか"シロキモ"とか、わからない部位は聞いて食べるのもいいですよね。お奨めは、"ちょうちん"です。もちろん、"ねぎま"とか"つくね"とか、本流もいけます。最後にスープ付鳥丼を、ハーフポーションでも入れられるキャパを残しておくように。この店も夜中までやってますが、23:00からはいきなり焼鳥屋からバーに変わります。そういえば、焼き鳥タイムからズージャがしっとり流れてた!本職のバーテンがいるので、カクテルも楽しめます。男女比率、ほぼ1:1です。別にカップルじゃなきゃってことはないけど、誰が呼んだか、お忍び系。

● 行き方:上記。電話予約(03−5574−8881)したときに聞いたほうが安全。
● 営業時間:17:30〜26:00(ただし23:00〜BAR)
● 予算:5,000円前後。すごく飲んだら、もっと。




第1皿 その酒場はプラチナ通りのはずれの地下で待つ。『ケセラ』

外苑西通りを天現寺から恵比寿三丁目交差点を越え、白金トンネルに入る直前の信号の右側、山田薬局の地下に入る階段のわきに30センチ四方くらいの目立たない看板を出しているこの店、こんなどの駅からも遠いはずれなのに、夜中でもけっこう善男善女たちでにぎわっています。バブルのころにできてよくもってるな、というのも、忽然として芸能界から消えたあの超実力歌手ゆかりの守護があるのでしょうか。冬でもアロハ標準のスタッフが迎えてくれます。酒はバーボン、地酒、ワインと東西を問わずいろいろ。料理は無国籍料理ではなく多国籍料理ですね(無国籍とか創作料理と掲げている店って、なんか言い訳がましくて信じられない)。お勧めは明石のタコ、ベトナム風生春巻き、タイ風さつま揚げかな。食べて2,3杯飲んで、5000円を出たり入ったり。

● 行き方:上記。または白金方面からプラチナ通りを降りてきて杉の木屋のある交  差点で、向かいを見ると文中の山田薬局が。
● 営業時間:19:00〜25:00ごろ(経験上)

● 電話:03−3442−3959

ミズランジャポン