創語者、色川 大吉氏の「自分史」概念 | |||||||
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最近は「自分史」という言葉を口にしても聞き返されることが少なくなりました。かなり広く受け入れられている言葉です。自分史は伝記や自叙伝それに回想録といった言葉と比べるとはるかに新しく、出自がはっきりした言葉です。造語したのは日本近代史学者の色川 大吉氏です。 1975年に 「ある昭和史 ー自分史の試み」 という著作に用いられたのをもって嚆矢とします。 色川氏の提唱された自分史という概念はこの国で広く反響を呼び、それまでは自伝を残す程のこともない普通の人生を過ごしてきたと考えていた多くの人々が積極的に自分の来し方を記録されるようになりました。
どんな言葉でも年月を経るほどに、また普及した言葉ほど新たな意味が付け加わったりして元来の意味からは拡大し変容します。「自分史」という言葉も例外ではなく、色川氏は明らかに自ら自分の歩みを書くことを想定しておいでです。 しかし創語以来30年の現在では多数の出版社などが営業項目に加えたこともあって、自分史を作るとはあたかも晩年になってからの人生一回限りの自費出版事業となっているかのように見受けられます。「自費出版コーナー」を設けている書店の数も増え、ライターの世話をして一冊にまとめ上げてくれるというビジネスも現れています。 盛況ですが現状を見るとあまりにもったいないのではないか。「もったいない」とは、せっかくの自分史なのに「自分の言葉」からどんどん遠く離れていってしまう。紙数の制限から捨て去る材料があまりに多くなる。つまり極めて不十分な自分史にしかならないサービスが大多数ではないかとの印象を禁じ得ません。 インタビューから始めて情報をディジタル化すればもっと多彩な自分史が取り戻せるのではないかという想いが、私がこのサービスを思い立ったきっかけのひとつとなりました。 |
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