No.31

さる事情により、サーバーを変え、体裁も変えての再開でございます。
同じ事情により、滅茶苦茶精神状態が悪かったため、原稿を書いてあったにもかかわらず、更新もしませんでした。ほんと、人と顔を合わせて普通に話をするのもきつくてね。その辺の事情は追々「生活と意見」の方にアップすることになるかと。

ともあれ一挙四回分更新、参ります。大部分は、去年の五月に書いておいた分です。


Date: Wed, 17 Feb 1999 16:14:23 +0900
From: Seiichiro Yoshii
Subject: ホームページ拝見。

いやあ、およそ半年ぶりの更新ですね。しかも一気に『日蝕』まで持っていってしまうという力技。なんと豪快な(^^)。
それにしても、ずうっとメッテルニヒ先生にかかりっきりだったようですね。しかも脱稿見込みが年末とのこと。もしかして死ぬほど分厚いものになるのでしょうか。それとも調べるのにむちゃくちゃ時間がかかるのかな。なにしろ伝記だし。ともあれ、発表されるのを楽しみにしております。
僕も最近「ナイスバディ」が膨張をはじめたので、フィットネス通いを再開しました。まあ、実は今年もGW期にアメリカへの上陸を目論んでおり、懲りずにまたフロリダにも行くかも知れないので、少し絞らないと水着が着られないな、といういささか不純な動機もあるのですが。そうそう、NYにも行く予定で、そこで山下さんのライブを聴こうかと企んでおります。NYはいいですよ。ここも既に何度も行っていますが未だに飽きません。と言いつつ「自由の女神」にはまだ一度も行ったことがなかったりするんですけどね。しかしうまく休みが取れるかなあ。
何と言っても大蟻食様の近況で思わず爆笑したのは早稲田で先生をやるという件であります。申し訳ないんですが、想像しただけでつい笑ってしまうのです。わはははははははは。「小説の書き方」ということは、一文の文芸専修のクラスなのでしょうか。これはモグってでも見てみたい。とは言え、あたくし一応カタギの勤め人でありますゆえ、講義が土曜日にでもならない限りはちと無理でありますが。残念。

ヴァイオリンが上達したら、楽器のできるひとを集めて音を出して遊びましょう。と言っても僕自身はジャズ/ロック系のタイコしかできませんが。そして音を出した後は腰が抜けるまでワインを飲みたおす、と。これで完璧であります(何が?)。

それではまた。

                    「ナイスバディ」ぶる

*はい、調べるのに死ぬほど時間が掛っております。おまけに無茶苦茶厚いです。真面目な伝記なら千枚は書かんと、というつもりで始めたのですが、千二百枚くらいにはなりそうです。

今時千二百枚は普通かしらん。

早稲田の授業は一文二文で昼夜二回興業となります。何かねえ、未だにどうして声が掛ったのか釈然としないんだけど、図書館が使えるのは有り難い。

去年は色々お誘いいただいたのに一度も行けませんでしたが、いずれ必ず、と思っております。もっともこの二、三年で著しく酒癖が悪化し(大丈夫です、絡みませんし、泣きませんし、暴れません。ただ果てしなく飲みながら喋り続けるだけ)、呆れて誰も遊んでくれなくなりました。それでもよろしければ。


Date: Thu, 18 Feb 1999 18:19:26 +0900
From: Seiichiro Yoshii
Subject: 浅田先生

ううむ、600万円のお召し物ですか。まあ値段自体はいいとして、なんでそれを自分から言うかなあ。「いい色でしょう」とか言うのならまだ話はわかるんですが。ところで浅田さん(浅田彰にあらず)って「文化の最前線」だったんですか?

ただ、身のまわりのものを何でも値段/価格で見ようとする、というのは日本人全般に当てはまることでもありますけどね。何かというと値段を知りたがる。新しい服を買ったというと値段を知りたがり、旅行に行ったというと費用を知りたがる。僕自身も、日本にいる時にはちょっと油断するとついそういうことを口走ってしまい、後で気づいて「げー」と自己嫌悪に陥ったりします。
毎年アメリカに必ず一度は行くようにしているのは、実はその辺にも理由があるのです。日本にずっといると価値観がぐらぐらしてくるんですよね。もちろん、英語を忘れないようにするというのもやっぱりありますけど。

まあ、アメリカもある意味、お金万能の国ではありますが、その位置づけはずいぶん違うような気がします。日本だとどうも値段を話題にするとき、裏に嫉妬心のようなものが見え隠れしているような気がしてならないのですが、アメリカではそういうものが殆ど感じられない。極めてドライな感じがします。すごく楽です。

フランスではどうなんだろう?

 
                   「ナイスバディ」ぶる

*浅田先生は文句なく日本の文化の最前線です。だってここじゃ文化って社会現象のことで、社会現象って部数のことだもんね。

フランスはフランスでそれなりに馬鹿ばかしい傲り方や偉ぶり方がある訳ですが、底にある虚栄心は同じでしょう。違いは正面から気取るか蛮カラに走るかで、正面から気取って笑いものにされたら目も当てられないと思う分、日本人は屈折している気がします。どっぷりアジア即物文化圏の人である私としては、札束で横面張られるような下卑た威張り方にはそれなりに問答無用の説得力がある、という気がしますが。お召し物のお値段を威張るという悪趣味は後で笑いものにすれば済むけど、文化を気取られて目の前で大転倒やられると目のやり場に困る、という問題もありますしね。

とあるフランス人の学生と、リヒャルト・シュトラウスの『エレクトラ』の話をした時のこと。
 「それ、オペレッタでしょ」と冷ややかに告げる彼女。「オペラじゃないわ」
 「いや、リヒャルト・シュトラウスってのは……」
 「『こうもり』の作曲者じゃない」
 そして彼女は無知な東洋人にむかっておもむろに『エレクトラ』の筋書きを教えてくれたのですが、どうもオッフェンバックの『麗しのエレーヌ』とごっちゃになっていたみたい。
 
こんな時どんな顔をしたもんでしょう。

橋本龍太郎がシラクに、無知をただされてとっくりと日本文化論を聞かされた時も、きっとおんなじ気持ちになったと思いますね。ばぁか、とか言うと今後の関係に悪影響が出るし。この類の、思わず目を背けるしかない大転倒に比べたら、浅田先生のお召し物大威張りなんか恥ずかしい部類にも入りません。


From: "shinpei yashima"
Subject: この度、
Date: Tue, 23 Feb 1999 01:45:33 +0900

初めて佐藤亜紀様御自身のHPの存在を知り、早速メールを打つ事にしました。以後よろしく御願いします。   奇しくも今日購入した「鏡の影」、読み進むにつれ増大する既視感は何ぞや、と首を捻ったところ、何のことは無く二年前学校の図書館で読了したあの本だ、と思い至り我が身の物覚えの悪さに呻いてしまいました。同じ様な経験を、アンリ・ボスコの「骨董商」でも 味わった事があり、細密過ぎる世界像というのは等しく記憶の攪乱を招きやすいのだろうか、としばし考え込んでしまいました。   けれどその世界の彼方に「連れ去り」系であろう新作の刊行を、心待ちにしております。お身体に気をつけて、頑張って下さい。     :追記ですが、成城の院試を四日後に控え、どうにも絶望に身を苛まれる日々です。全くのミーハー根性で受けるにはあまりに自分には敷居が高いようです。

From: "shinpei yashima"
Subject: 申しわけありません
Date: Tue, 23 Feb 1999 02:01:19 +0900

先ほどメールを打った者ですが、名前を書くのを忘れていました。少し興奮気味だったようです。   スマートさからはほど遠い。赤面ものです。 申しわけありませんでした。                          八島心平

*ううむ、成城の院試ですか。頑張って下さい。
しかし学校の図書館に私の本が入っているとは知らなかった……。

Date: Tue, 23 Feb 1999 15:00:52 +0900
From: Emi Takayama
Subject: 「皆殺しブックレヴュー」、何とか入手しました。

こんにちは

「皆殺しブックレヴュー」何とか手に入れて、院試が終ってすぐに読み始めました(大学院には何とか受かりました)。

「静粛に!天才只今勉強中」、絶版になっていたんですね...。近頃、私の読みたい本は絶版になっているものが多くて困ります。クロソウスキーの「バフォメット」、バルテュスの「ミツ」、リブロポートから出ていたモンス・デジデリオ画集等など。確か「皆殺しブックレヴュー」で取り上げられていた本の中にも、既に絶版になっているものがあったと思いました。もっと他に、絶版になっちゃっても全然構わない作品が山ほどあるのに。

 
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お茶の水女子大学 理学部 物理学科
宇宙物理研究室 4年 高山恵美
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*モンスの画集はイタリアで割合安価なものが出ていたと思います。amazon.comか何かで探してみたら見つかるかも。絶版の場合はBlackwell の古書部門が結構優秀です。もっとも画集は部数が少ないことがあるからわかりませんが。『バフォメット』は何故か手元に二冊ありますので、見付からないようならご連絡下さい。お譲りします。バルテュスは――ちと難物だな。


From: "倉田宜史"
Subject: はじめまして
Date: Wed, 3 Mar 1999 15:45:40 +0900

 
最近、インターネットをはじめた佐藤亜紀ファンです。ホームページがあるとは知ってましたが、全然更新してないですね。仕事が忙しいのでしょうか?
次回作は伝記になるそうで、楽しみにしています。ところで、春から早稲田の先生をするとのこと地方のファンとしてはうらやましい限りです。
広末とかにも教えるのだろうか?あまり虐めないで下さいね。でも、いじめそう・・・
ホントにその教室に行けないのが残念です。近くなら、潜り込むのですが。で、よかったらホームページで講義録を公開されてはいかがですか?「佐藤亜紀の教える小説論」、僕は是非読んでみたいです。

でも、それ以上に新しい佐藤亜紀の小説が読みたいです。だって、おもしろいですもん。お世辞抜きで。じゃ、仕事がんばって下さい。

 
倉田宜史 

*ご声援ありがとうございます。

講義の方は、実技を半分くらい入れようと思っているので、採録はちょっと難しいかも。一回り終わったら考えてみます。ホームページで公開しちゃったらさすがに講義録使い回しって訳に行かなくなるから。もちろんこれって評判の悪い手だけど、私が教わった古典語の大教授は「カントやヘーゲルに倣った由緒正しい授業の方法だ」と豪語したものです。そこまで言われちゃねえ。内容は充実してたし。

一番心配してるのはですね、「荒れる教室」だったらどうしよう、ですね。大学生はわざわざ教室まで来て暴れたりはしないだろうけど、最近の学生は変に真面目で変に不出来だ、と去年から非常勤講師を始めた友人は言っておりました。一年間全出席の癖してギリシャ語のアルファベットも読めるようにならないんだぞ、とか。
 「あんなものひと月で読めるようになったよね」
 まあ、発音はできるようにはなりましたが、その後の活用で挫折した口です、私。

広末に関してはご安心下さい。当該授業は二年生以上の授業です。もしいたとしてもいじめません。私は可愛い女の子はいじめない主義です。


From: "Makiko ISHIKAWA"
Subject: お元気そうでなによりです
Date: Mon, 8 Mar 1999 22:59:37 +0900

佐藤 亜紀様   久々にホームページを覗いてみたら更新してあったので, ほっとしてメールを書いております. あんまり音沙汰が無いものですからどうかされたのかと思いまして...   あ,これは別に文句メールではありません. (このメールアドレスに送る内容ではないかもしれませんが) ただのファンです. 新作,心待ちにしております.   中身の無いメールで申し訳ありません. 思いがけず更新されていたのが嬉しかったものですから.  

#しかし「鏡の影」絶版はショックです.
#何せあの本を始めに読みましたので.   では.  

***石川牧子

ごめんなさい。とてつもなくだらけてるんです。

Date: Mon, 08 Mar 99 07:10:46 -0800
From: masaji nakamura
Subject: Fan Letter

 はじめまして、こんにちは。

 私は今年の四月から地方公務員として働くことになっている、二十三歳の大学生です。
 佐藤先生の作品は、ハードカバーとして出版されているものは全て読んでいます。どの作品も好きなのですが、特に「1809」は、図書館で借りて読んだあと返却するのをやめようかと思ったほど私を痺れさせてくれました。
 ステンツィ、素敵すぎる・・・。
 ちょっとした所作などの描写が魅力的で、「やっぱり佐藤亜紀は違うな」とつくづく思いました。

 
 さて全く脈絡がありませんが、最近不思議に思っていることがあるので書きます。
 今年の二月、米リーバイス社で大幅なレイオフがあったことは一時期紙面を騒がせたこともあり、ご存じと思います。そのリーバイス社なのですが、正式には「リーバイ=ストラウス社」なのだそうで(NHKのアナウンサーがそう言っていました)、「Levi=Strauss」と綴るようです。初めてこのことを知ったとき、仏の学者レヴィ=ストロースのことが思い浮かび、調べたところ、Claude=Levi= Straussで同じ綴りであることがわかりました。 ここで質問。第一に、Straussはシュトラウス、ストロース等と複数の発音があるようですが、このStraussという姓は欧州全域に存在するのでしょうか。第二に、Levi=Straussと言うとき、Leviはミドルネームになるのでしょうか、それともLevi =Straussで一つなのでしょうか。
 多言語に通じている友人に聞いても「よくわからない」そうで、ならば欧州に詳しい先生に聞いてしまえと思った次第です。非常に個人的な質問で申し訳ありません。
 でも答えていただけたら幸いです。

 最後に。メッテルニヒに関する著作、楽しみにしています。 

・以下ご参考まで。
 もう十年以上前、フランスの雑誌に、陸で腐っていた両大戦間の大型ヨット(Jクラスとか言ったと思いますが、動かすだけでクルー十人だかが必要という、もうほとんど帆船な)を艤装しなおして海に浮かべたフランス人のおばさまのインタビューが載っていたことがあります。このおばさまの名前が Levi-Strauss。もちろん大富豪。で、インタヴュアーも同じことが気になったらしく、「ジーンズのリーヴァイ・ストラウスは親戚か」「人類学者のレヴィ・ストロースは親戚か」という質問をしておりました。回答は、前者に関しては然り。後者は否。このおばさまの家というのは、代々繊維関係の事業をしてきたのですが、その昔、ドロップアウトしてアメリカに渡った人がおり、それが海のむこうで起こしたのが問題のジーンズ・メーカーのもとであるとかいうことでした。
 Leviというのはずユダヤ系の名前だと考えていいと思います。そもそも繊維・被服関係はユダヤ人の多い業界です(父親が繊維関係の仕事をしていたため、私も留学中はユダヤ系のWeilという人の世話になりました。おかげでなんとなく親しみを持ってます。WeilはLewi=Leviのアナグラムだと知ったのは後になってから)。Straussに関しては必ずしもそうとは言い切れませんが、たとえばフランスの蔵相(だったよな、まだ)ストロース・カーン氏などはやはりユダヤ系だと言います。これまた非常によくある名前です。Levi-Straussは二つの姓を繋げた二重姓になります。

Date: Mon, 08 Mar 1999 17:47:17 +0000
Subject: こんな質問してすみません
From: "齊藤裕子"

 はじめまして。
 自分には学がありません。学がなくても頭の切れる人は一杯いるので、つまり、わたしは頭が悪いです。これはとても不便です。 佐藤さんのような方は、頭が明晰な分、想像するのが難しいかもしれませんが、頭が悪いと、考えている(聞いている、読んでいる)色んなことがすぐに混沌として、しまいにポーンと真っ白になります。思考の限界値が低くて、すぐにオーバーヒートするわけです。
 頭がオーバーヒートしてポカンと白くなる度にとても悲しくなります。そこから先を理解したいのにそのための容量がないからです。 わたしは佐藤さんの小説がとても好きなので、このコーナーも読もうとがんばってみるんですが、難しい話は無理みたいで、すぐにポカンが来ます。 この前の京大生の方が書いたのも無理でした。1ページ目でポカンが来ました。 で、ようやく本題です。柳美里さんの小説はどういうところがどうなんでしょうか。柳さんの小説は読んでもポカンは来ませんでしたが全然良さがわかりませんでした。優れてるとかいないとか、好きとか嫌いとかいうのを感じるまでもないように思えました。柳さん本人は頭切れるし魅力的だし濃いキャラだし、出版社とか媒体にしたら使える素材だよなあ、あれならそれだけでお金もらってもいいよなあ、ぐらいに思ってました。
 でも、そういうわたしの卑しい感想は、頭が悪い故の不理解かもしれない、本当は小説そのものがすごく価値があるものなのかもしれない、と不安になりました(前回の佐藤さんと遠藤さんのやりとりを読んで。話の筋とは全然関係ありませんが)。 人それぞれ勝手に読めばいい話ですが、わたしの不理解のせいで不当な評価を受けたとしたら(といってもわたしごときにですけど)、柳さんに悪いですから。 ちなみに佐藤さんの小説は一つもポカンと来ませんでした。 佐藤さんの小説を初めて読んだ時、こういう人がいるのかと思って興奮しました。

・柳さんですか。何と言おうか、日本文学ですね。で、私、正直なところ、日本文学の良さってほとんど判らないのですよ。例外は笙野頼子くらい。


Date: Fri, 12 Mar 1999 18:25:33 +0900
From: Seiichiro Yoshii
Subject: 選挙

こんにちは。メッテルヒニ先生方面のお仕事、何やら風の噂ではもう400枚に達したという話ですが、調子はいかがでしょうか。ロシア遠征軍状態にはなってませんよね(なんかすごくリアルなたとえだなあ)。しかし高校時代にオスカー・ワイルドに溺れていたとは。うーむ。ちなみに僕は高校時代になぜか源氏物語に凝ったりしていました。現代語訳を谷崎版と円地版の両方読んでみたり、図書室でくそ重い古典文学全集のたぐいを借りて原文で読もうとしたりしてましたね。それ以来読み返してないのでもうすっかり内容を忘れましたが。

ところで選挙の話。

えー、白状しますと、あたくしも今まで一度たりとも選挙に行ったことがございません。区レベルも都レベルも国レベルもいっさい投票しておりません。理由はただひとつ「選択肢が不毛だ」。これに尽きます。その上、選択肢の顔ぶれだって毎回そう大して変わらないし、変わったとしてもそれは誰かがとうとうくたばったとか、おやぢが息子に地盤を譲っただけとか、もう今さら他の職業などできず政治家しか生きる道がなくなってしまった苦節ン十年のおやぢがしばしの沈没の後でちょっとだけ浮上したとか、せいぜいそんな程度ですから。現在のこの構造が続く限り、誰が当選したってはっきり言って世の中変わらないですよ。ろくな顔した奴がいないし、馬鹿らしくて行く気になりません。だいたい選挙運動のスローガンなんぞも単なるイメージだけの代物で、あとはひたすら「お願いします」「お願いします」と軽自動車や駅頭や果てはママチャリから一方的に連呼するだけ。「票を恵んでくれ」と言っているのと同じであり、あれじゃ乞食とさして変わらないんじゃないかしらん。

・・・しかし、それが「有効な」選挙運動としてまかり通っているということは、運動の対象たるイッパン大衆がつまりはそんなレベルでしかないということなのかな。まあ、新聞の投書欄なんてたまに見ると結構すごいことが載ってたりしますが。ああいう人たちっておそらくすべての選挙に皆勤なんじゃないかなあ。ちょっと怖いものがあるかも知れない。

実は、青島氏が出た前の都知事選の時はかすかに食指が動いたのですが、彼も結局は周囲に寄ってたかっていびり倒され、1期だけでやめてしまいましたしねえ。もうアタマをすげ替えただけじゃ駄目なんでしょうね。特に日本みたいな役人主導の政治をやってる国はなおさらでしょう。まわりの役人も含めて毎回ごっそりと変わるぐらいじゃないと何ひとつ変わらないし、だいいち面白くありません。

ところで元老院の話ですが、現在の日本で学者方面の「本当のプロ」で、しかも政治をやれるほどの人材が果たしてどれだけいるでしょうか。選ばれたメンバーは全員ペルーに送り込んで、学者政治家の出世頭であるフジモリ大統領にでもかるく鍛えていただいたほうがよろしいかと・・・。

 
GWはNYで遊びたおす予定 "ナイスバディ" ぶる

・以前、朝日ネットで、選挙をサボタージュして無効にするというアイデアを書いていらしたのはぶるさんではなかったでしたっけ。私、あれはいいと思ったのですがね。

ところで、実を言うなら、私も「元老院」に関しては相当諦めているのです。

ある日のうちの会話。
私。新聞を読みながら。「何で日本の国際関係論学者ってこうもお馬鹿なんだろう」
亭主。「お馬鹿じゃなけりゃアメリカの大学で教授のポスト貰ってるから帰って来ないでしょ」
まあつまり、そういうことですな。


From: "Michie Suzumura"
Subject: はじめまして。一ファンからのメールです。
Date: Fri, 26 Mar 1999 01:20:36 +0900

佐藤亜紀さま。

はじめまして。こんにちは。

ネットを検索してこのホームページを見つけた時は、本当にブラボー!と叫びたい気分でしたよ。しかもこのようにしてメールを送ることができるなんて。すごいなぁ。素晴らしいなぁ。

すみません。個人的な感慨にふけってしまいまして。私が佐藤亜紀さんの作品を知ったのは、あの日本ファンタジーノベル大賞を受賞した『バルタザールの遍歴』でした。何かの拍子に書店で見かけて、購入したんですね。当時高校生だった私は、日本人でこういう小説を書く人がいるという事実にひたすらショックを受けた憶えがあります。どういう人生を送ったら、こんなすごい文章が、すごい話が書けるようになるのだろうかと。その後、しばらく間を置いた後、図書館でまた佐藤亜紀さんの本に出遭い、今に至っております。

『戦争の法』にはしびれさせていただきました。“想像力のある人間の言うことを信用したりするものではないのだ”・・・なーんて、カッコよすぎる!『モンティニーの狼男爵』も好きです。なにか人生のうつろいやすさ、はかなさ、そして残酷さが、凝縮されてつまっているような気がします。一貫して“書くこと”“語ること”に関する疑い(?)のようなものが、作品中に必ずあるところがすごく誠実な感じがして好きです。日本語が学校で習った程度には読み書きできるからといって、あまりにも無自覚に文章を書き流している人が目につく中で(たとえ小説家でなくとも)、佐藤さんの文章を読んでいると、自分がいかに凡庸な感性の持ち主であるか思い知らされます。
襟を正す、というんでしょうか。そういう気分になります。そしてこういう自分の態度が、既にダメなのかもしれないなぁと自虐的に考えたりもします。

これからも新作、そしてホームページを楽しみにしています。最後までメールを読んでくださって、ありがとうございました。

                                鈴村 倫衣

・ありがとうございます。


Date: Tue, 6 Apr 1999 20:54:11 +0900
From:(Ooshima Kenji)
Subject: 鏡の影絶版について

 
はじめまして。

佐藤さんの作品はとりあえず片っ端から読ませていただいてます(去年出た「白鳥殺し」とか吸血鬼?のアンソロジーみたいのとかの短編も)。

自分的には「鏡の影」の何ともいえない鬱々とした感じが好きで(図書館で借りて読んだ)、
自分の手元にも欲しくなりとりあえず文庫化をじっと待っていたんですが、文庫化は通常3年後にされるという話を聞いて文庫版の出版は無理か・・・などと思っていたら、
ハードカバーの方も絶版ですか。

そろそろ手に入れようと探していたのに、
全然書店に置いていないのはこういうことだったんですね、残念です。

でも、書店の在庫や古本屋を巡ってなんとしても手に入れるつもりです。

これからも、売れなくても面白い作品を書いてください。
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大島 健司
名古屋大学農学部
分子生体制御学講座
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・あれが絶版に、というのが、サーバーを移るそもそものきっかけだったのですが、そのお話はまたいずれ。

Date: Fri, 09 Apr 1999 18:39:03 +0900
From: Seiichiro Yoshii
Subject: 先日は

楽しゅうございました。ちと最後はエネルギー切れを起こしてしまいましたが・・・。
しかし、直前に「カネカネ言うのは嫌だ」とかこちらに書いておきながら、結局けっこうカネの話をしてしまいました。ああ、やはり日本人であることからは逃れられぬのだなあ、と慨嘆しつつ舞い散る桜の花びらを愛でる春の日であります。まあ、今月末にアメリカに行ったら行ったでまたそっちにすっと順応しそうな気もする。ううむ。

ということでもうすぐアメリカに出発です。ハッテン場が、いやもとへ、白いビーチとズージャの響きがおれを呼んでいる。イエイ。・・・今回はキーウェストには行かないので、昼間からポーチで怠惰にラム酒、なんてのはやりません。でも、キーウェストにはヘミングウェイの住んでいた家なんてのもあったりして面白いことは面白いんですけどね。そこでしか買えないという特別版の『老人と海』なんてのが売られていたりします。まあ観光地化してるんですけど。ただし、ヘミングウェイの飼い猫の末裔という大量の猫どもははっきり言ってかなり汚いです。他にも、どんどん都市から離れて流れ着いたヒッピーくずれの生き残りらしきくたびれた白人どもが結構いたり、カリブ方面から流れてきた連中の末裔の黒人たちなんぞも入り乱れて、なんともあやしげな独特の雰囲気のある島ではあります。昔は密輸の基地だったという話もあるし。また車の免許の書き換えの時にでも行こうっと。

『プライヴェート・ライアン』、やはりオスカーで音響賞および音響効果賞を取りましたね。納得。


「バイスバディ」ぶる

・いえね、最近、暇があったらひと月くらいニューヨークへ行ってぶらぶらしてみようかと思いはじめたんですけど、フロリダってのもいいですねえ。



(以下、第32回に続く)