2002.2.1 fri.

大蟻食がいないので夜はわたしの実家へ。ゴンゾに挨拶したら二度噛まれた。食事をして帰宅する。


2002.2.2 sat.

大蟻食がいないと思うように映画を見ることができなくなる。歩調をとって並んで見るようにしているからである。というわけで大蟻食がいない間は大蟻食がまず見ないような映画を選んで見ることになる。今日はマカロニ戦争映画二本立て。 「アルデンヌの戦い」「砂漠の戦場エル・アラメン」 ということにする。どちらも最後に見てから四半世紀が経過しているというあたりが自分の歳を感じさせて恐ろしい。

さて、ここで大蟻食の近況についてちょっとお知らせしておきます。
別冊文藝春秋の今月発売の号から新作長編「天使」の掲載が始まります。強いて言えば第1次世界大戦を背景にした一種のエスピオナージュということになるのでしょうが、かなり変わった設定を扱っています。


2002.2.3 sun.

雨。終日家にいる。トゥキュディデスがようやく終わったので、今度はクセノポンの「ギリシア史」に取りかかっている。読み始めて一つわかったことは、トゥキュディデスが立派な歴史家であったのに対してクセノポンは立派な従軍戦記作者以上のものではなかったということである。状況が整理しきれないのと、よけいな感情移入に問題があるような気がする。夜になってから 「ドリヴン」 を見る。


2002.2.7 thu.

大蟻食がルディと一緒に新潟から戻る。並んで「アリー・マイ・ラブ4」を続けざまに見て、寝てしまう。


2002.2.8 fri.

大蟻食の体調があまりよろしくない。疲れたみたい。食事は簡単に済ませてお茶を飲んで、 「アメリカン・サイコ」 を見て寝てしまう。原作は大傑作だったんだけどね。


2002.2.9 sat.

大蟻食と一緒に二子玉川へ。まず第一園芸へ行って上から下まで見物する。ペットショップにはロシアンブルーの子猫がいたが、大蟻食の話ではどうやらはやっているらしい。檻の中にいたところを係の女性に抱えだされて耳掃除をされていた。ちょっと我慢しているところがかわいらしい。店内には客に同伴してきた犬がたくさんいて、どれもちょっと興奮気味。あるラブラドルレトリーバーは、お母さんにおもちゃを買ってもらって随分はしゃいでいた。第一園芸を出た後は高島屋に寄って大蟻食の化粧品を購入し、そのまま自由ケ丘へ戻る。夕食はスパゲッティ2種(トマトとチーズ、ペペロンチーノ)。


2002.2.10 sun.

寝不足でほとんど終日朦朧と過ごす。夕食は水餃子。その後は一人で 「ドラキュリア」 を見る。なにこれ? 終わった後、テレビの方を見てみたら 「プライベート・ライアン」 をやっていたので最後の方をなんとなく見てしまう。全体をとおすと欠点の多い映画だけど、場面場面の迫力はなかなかのものなのである。見ているうちに大蟻食がやってきたので、一緒にワインを一本空けて寝てしまう。


2002.2.11 mon.

「亭主の日々」開始以来、これでなんと2年が経過したことになる。断続的ではあっても日記のようなものがここまで続いたというのは、わたしとしては希有のことである。


2002.2.14 thu.

お知らせです。大蟻食の「生活と意見」が久々に更新されました。「文句」の方もちゃんと更新するようにと、粘り強く急かしております。今しばらくご容赦のほどを。


2002.2.15 fri.

夜、家のそばにあるLe Bouillonという名前のレストランへ大蟻食と一緒に食事に行く。男性のシェフ一人、フロアの女性一人という小さな店で、察するにご夫婦でやっているのではないかと思う。メイン・ディッシュは大蟻食がウズラとアスパラ、わたしは豚の肩肉の煮込みだったけど、とてもバランスのよい良心的な料理だったのである。パンにつけるバターに加えて、豚のリエットが出てきたところも嬉しかった。赤ワインを一本あけて、上機嫌で帰宅する。


2002.2.16 sat.

夜はまた手巻き寿司。食べながら 「ジュラシック・パーク3」 を見物する。なんだか懐かしい感じのする映画だった。


2002.2.17 sun.

大蟻食が昼からポトフの支度にかかる。わたしの希望で芽キャベツと小さなタマネギをいれてもらった。で、夜、食べてみたわけだけど、これがもう実にうまかったのである。


2002.2.21 thu.

ジュリアン・ストックウィン「風雲の出帆」(早川文庫NV)を読み終える。「海の覇者トマス・キッド」シリーズの1巻ということで、18世紀末を舞台にした英国海軍物である。珍しいのは設定で、主人公トマス・キッドが強制徴募された水兵ということになっている。本のあとがきによるとこの後10巻かけて提督にまで昇進するらしいのである。かなり無理があるような気もするが、展開のさせかたによってはできないことでもないだろう。というわけで、設定が珍しいから展開の方もかなり珍しい形になっている。つまりこれまでの英国海軍物(というか帆走軍艦物)の主人公は将校で、シリーズ物の場合には士官候補生から出発するのがふつうだったからである(フォックスのように例外的に強制徴募されてしまう場合もあったが、あれは強制徴募されてから将校になったのではなく、将校が泥酔して強制徴募されたのであった)。それでは何が珍しいのかというと、とにかく目線が低いのである。食事をするのは大砲の間の水兵たちの食卓だし、大砲を撃つ時にも「撃て」と叫ぶのではなくて、後退防止索を引っ張るのである。巻き上げ機も押すし、もちろんマストにものぼって帆を広げたり縮めたりする。つまり、肉体労働者の話になっているのである。おそらく作者の意図は戦列艦の操帆作業を精密に描写したいといった、そのあたりから始まっているのではないかと思うのだが、実際、そうした作業の描写はほとんどマニュアルを思わせるほどの細かさとなっている。これはこれで、かなり興味深かった。ただ、扱われているタイムスパンがかなり短いところで無理に昇進をさせようとしている気配があって、主筋の方はいささか苦しくなっているような気もしないでもない(そうするために艦長の性格を途中で豹変させてないか?)。それに訳文があまりよろしくない。もしかしたら正確を期するためにやっているのかもしれないが、擬態語があまりにも多すぎる。そのせいでひどく幼稚に見えるのである(こなれていないのも事実だが)。2巻目が出ればまた読むと思うけど、最後までつきあうかどうかはわからない。結局、フォックスは下品でいやになったし、ボライソーもあの自己陶酔がいやになったし(同じアレクザンダー・ケントの「緋色の英雄」も大嫌い)、ラミジは野暮ったくて読めなかったし、アラン・リューリーは色気が多すぎてこちらの気力が続かない。そしてそこそこに好きだったオークショットは作品の方が続かなかった。やっぱりこの世界はホーンブロワーに始まってホーンブロワーに終わっているような気もするのである。


2002.2.22 fri.

夜、大蟻食と一緒にわたしの実家へ。ゴンゾを膝にのせていたら、なんだかものすごく朦朧としてきた。


2002.2.23 sat.

朝食を食べた後、大蟻食と一緒に渋谷へ。ようやく 「地獄の黙示録 特別完全版」 を見る。見終わったらもう夜になっていた。お腹がすいたのでロゴスキーへ。むやみと食べてから自由ケ丘へ戻り、ビデオ屋に寄って「アリー・マイ・ラブ4」を借りて帰宅する。4巻と5巻を見て寝てしまう。大蟻食はこの第4シーズンで衣装がよくなったと言っているが、たしかにそのとおりだと思う。


2002.2.24 sun.

遅く起きて朝食を食べる。日中はほとんど朦朧と過ごし、夜は「アリー・マイ・ラブ4」の6巻を見る。


2002.2.25 mon.

大蟻食はルディを連れて新潟へ。


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