2001.12.1 sat.

雅子妃に女児誕生。なにはともあれめでたいことである。テレビは皇室関係の報道一色になり、なんだかまるで正月みたい。
こちらは夫婦でだらだらと過ごし、ようやく腰を上げた時にはもう陽が暮れていた。買い物に出て、お茶をして戻り、大蟻食がグヤーシュを作ったので、それを食べながらクストリッツァの 「アンダーグラウンド」 を見て、寝てしまう。この映画は内容があまりにもむごたらしいので、見ていると精神的にちょっとつらい。


2001.12.2 sun.

晴れ。暖かい。大蟻食は朝から教会へ。午後から一緒に渋谷へ出て、「ハリー・ポッター」を上映中の渋谷パンテオンの様子を見る。予想はしていたけれど、たいそうなことになっていた。ビックカメラで大蟻食のウォークマンの増設メモリーを注文して、小岩井のソフトクリームを舐めてから自由ケ丘へ戻る。お茶をして、チルドレン・ミュージアムだのギャップだので新生児用の子供服を見物し、それから帰宅。結局、ギャップのバリエーションがいちばん豊富みたい。前夜のグヤーシュの残りを食べて、「アナバシス」を読みながら寝てしまう。


2001.12.4.tue.

午前中は雨。午後から曇り。日中、大蟻食と一緒に 「デンジャラス・ビューティー」 を見て、気がついたら夕方になっていたので慌てて市谷へ。 日本ペンクラブ 女性委員会主催のシンポジウム『女性が書くとき』へもぐり込む。プログラムは以下のとおり;
開会挨拶  下重暁子
基調講演  林真理子

パネルディスカッション「パートナー作家のひみつ」
東山あかね &  小林司
小谷真理 &  巽孝之
コーディネーター 与那覇恵子

閉会挨拶  入江曜子
(敬称略)

まず林真理子氏が自らと自らの母の経験について語り、次にパネルディスカッションでは二組の夫婦が並んで作家活動をおこなうことの利点と欠点について語った。林真理子氏の話を聞いているうちに「収容所群島」の第3部第8章を思い出してしまったが、これはなぜであろうか。東山あかね氏と小林司氏のご夫妻は共作の方法について話し、これは実に興味深かった。小谷真理氏と巽孝之氏は双方向で発生する刺激について話し、これには深く感銘を受けた。我が家では双方の性格が祟るのか、それほどうまく機能していないからである。で、やっぱり夫婦で互いの作品を論評するというのは相当に難しいらしい。なぜか最後になって大蟻食とわたしに話がふられてきたので、うちもそれで喧嘩になるという話をしてマイクを返す。シンポジウムにもぐり込んだついでにシンポジウムの打ち上げにももぐり込み、夜半近くに帰宅する。


2001.12.7 fri.

朝から胃が反乱を起こす。どうも気温が下がってくると起こるみたい。
夜、大蟻食と一緒に文藝春秋の忘年会へ。その席で筒井康隆氏から、今年のSF大賞に北野勇作氏の「かめくん」が決定したという話を教えていただく。これは本当に嬉しい話だ。北野さん、おめでとう。
帰宅してから大蟻食はワインを抜き、わたしはお茶をいれて、並んでソダーバーグの 「トラフィック」 を観賞する。けなすべきところが何もないという、実にいやらしい映画なのであった。ところで、これはもしかしたらオリジナルのテレビシリーズの方が、もっと面白いのではあるまいか。


2001.12.8 sat.

大蟻食は昼過ぎから渋谷へ。わたしも後から合流して西村フルーツパーラーでイチゴパフェを食べ、それから性懲りもなく渋谷パンテオンの前に行ってみる。同じ時間帯で比較すると「ハリー・ポッター」騒ぎは先週の初日よりも加熱しているように見える。 「E.T.」 並みという感じであろうか。ちなみに「E.T.」の公開当時、わたしは上映劇場でアルバイトをしていて、12月8日の初日から翌年の2月中旬まで、ほとんど常に超満員という状況を経験したことがある。オールナイトの時などは、土曜の朝から日曜の夜まで36時間連続労働なのであった。
買い物を済ませて帰宅し、大蟻食がオリーブとアンチョビーで娼婦のスパゲッティを作り、それを食べながら 「ドクター・ドリトル2」 を見る。大蟻食はこれが好きなのである。前日もビデオ屋さんで貸し出し中だと言って大騒ぎして、店員の人から笑われたのであった。これを見終わった後、わたしは一人で 「クレオパトラ2525」 とかいうのを見る。予想はしていた。見終わってから別冊文藝春秋(2002/1)を開いて、酒見賢一氏が大暴れしているという噂を確かめる。たしかに大暴れしていた。同誌には「亡国のイージス」の福井晴敏氏も短編を寄せていたが、これがなんと合衆国国防省が秘密裏に開発した事実上のロボット兵器が、着ぐるみのウサギ(桃色)と戦うという軍事サスペンスなのであった。


2001.12.9 sun.

起きたら昼になっていた。朝食兼昼食を摂って、一休みしてから大蟻食と一緒に弟夫婦の家へ。赤ちゃん(香琳ちゃんという)の誕生祝いとクリスマス・プレゼントを持っていく。2週間経ったので目はすっかり開いているし、いろいろと好奇心を持って周りを見回している。ひとしきり見物させてもらってから、わたしの実家へ。ゴンゾに挨拶をして、すき焼きを食べてから帰宅する。


2001.12.10 mon.

弟の奥さんの実家から新鮮な魚をいただいた、ということで大蟻食と一緒にわたしの実家へ。まず、見たこともないほど大きな手長海老を焼いて食べる。大蟻食が感動していた。カツオはタタキにしたが、これも絶妙な味わいであった。牡蛎と残りの魚は鍋にして、お腹を一杯にしてゴンゾに挨拶をして帰宅する。


2001.12.12 wed.

夜、大蟻食と待ち合わせをして渋谷パンテオンへ。 「ハリー・ポッターと賢者の石」 を見る。最終回でもほぼ満員であった。


2001.12.14 fri.

大蟻食は新潟へ。ということで夜は一人で 「JSA」 を見る。やっぱ濃い。続いて 「SS-192」 を見る。まあまあ。


2001.12.15 sat.

晴れ。風が強い。午前中、美容院で髪をカットして、それから二子玉川へ。来年用のカレンダーを購入する。帰宅してから黒沢清 「回路」 を見たけれど、こういう思わせぶりは嫌い。続いて前から気になっていた 「ホテル・スプレンディッド」 を見る。こういう思わせぶりも嫌い。どっちにするのかはっきりしてほしいものである。


2001.12.16 sun.

終日机に向かっていた。その割には成果がない。疲れた。


2001.12.19 wed.

大蟻食が新潟から戻る。夜、待ち合わせをして文春の皆さんと一緒に下北沢のお寿司屋さんへ。とにかくここはおいしかった。


2001.12.21 fri.

雨。寒い。大蟻食が「くたくた犬(ドイツ製の綿100%のぬいぐるみ)」をほしがり始めたので、まず現物を確認しようということになって一緒に用賀にあるその方面の店へ。在庫切れということで泣きながら店を後にして、それから渋谷へ出て 「シュレック」 を見物する。傑作であった。自由ケ丘へ戻り、妻家房で夕食。帰宅してからお茶をいれ、並んで 「見出された時」 を見る。頑張ってるとは思うけど。


2001.12.22 sat.

晴れ。朝ご飯を食べ終わった時にはもう昼を過ぎていた。遅く起きたからである。大蟻食と一緒に外出してモンブランでクリスマス用のケーキを注文し、お茶用に別にケーキを買って家へ戻る。大蟻食は新作のゴマのケーキを食べた。わたしはモンブランを食べた。ごろごろと時を過ごしていると夜になったので、大蟻食が白菜と肉団子の煮込みを作る。わたしの提案でキリタンポを入れてみたら、あれはつまるところ乾燥した米の粉だったわけで、それにスープの大半を吸われてしまった。おいしかったけど、少し悲しい。煮込みを食べながら 「恋の骨折り損」 を見る。なんとも微笑ましい映画であった。続いて今度はわたし一人で、サム・ライミの 「ギフト」 を見る。立派な映画なのであった。トゥキュディデスを読みながら寝てしまう。


2001.12.23 sun.

晴れ。朝ご飯を食べ終わった頃にはもう昼に近かった。遅く起きたからである。昼過ぎに大蟻食と一緒に散歩に出て、まず最近できた本屋を見物する。看板に「遊べる本屋」とあって、店内には本のほかにレゴやプレイモビール、ぬいぐるみや各種雑貨などがごちゃごちゃと置かれている。本とそれ以外は一定の文脈で配置されているようで、たとえばトランプの横にはドストエフスキーの「賭博者」が置いてあるという具合で、なかなかに面白い。そこを出てからGODIVAに寄って、それから別の新しい雑貨屋へ。家具と日用品を中心にけったいな品ぞろえをしている店で、なぜかタッカーのミニカーも置いてあって12000円という値段がついている。自転車屋をひやかしBREEをひやかし、小腹が減ったので飲茶をしようと目指す店へ接近したら、閉まっていたのでモスバーガーに入って空腹を癒す。買い物を済ませて帰宅し、夜は大蟻食は帆立て貝のピラフを作ったのでそれを食べる。食後にお茶をいれ、わたしは一人で 「ハード・トゥ・ダイ」 を見る。たいそうB級な映画であった。


2001.12.24 mon.

昼前にモンブランへ。予約しておいたクリスマス・ケーキを受け取る。今年はイチゴのショートケーキ。店の奥にある喫茶室が引き渡し会場になっていて、その有様はさながら戦場であった。ケーキを持って家へ帰り、大蟻食と二人でまず半分食べる。あんまり美味しいのでそのまま全部食べられそうな雰囲気もあったけど、夜まで待って残りを食べる。モンブランのケーキはとにかく実直で美味しいのである。


2001.12.25 tue.

また誕生日がやってきた。
夜、渋谷にあるWombとかいうクラブのレストランへ。アヴァンポップ・クリスマス・パーティなのである。日中にテクスチュアル・ハラスメント事件の判決が出て、小谷真理さんの原告勝訴が確定したのでそのお祝いを兼ねている。小谷さん4年間ご苦労様でした。遅れて到着してごめんなさい。


2001.12.26 wed.

大蟻食は新潟へ。


2001.12.29 sat.

台所を中心に大掃除をする。新しい掃除用具を手に入れたのでそれを試す。あまり効果がないようだ。疲れる。


2001.12.30 sun.

午前中は掃除の続き。昼過ぎに東急ストアへ。家庭用品の売り場も食品の売り場もとてつもない混雑で、レジには長蛇の列ができている。家庭用品売り場のレジではわたしの前に並んでいた夫婦がいきなり喧嘩を始めたのに驚いた。言い合いに夢中になって、なかなかお金を払おうとしないのでレジ係も困っていた様子である。なんだかみんなテンションが高い。年の瀬というのは好きではない。夕方からわたしの実家へ。ゴンゾに挨拶をして、お餅をもらって帰宅する。


2001.12.31 mon.

午前中に買い物を済ませる。午後に入ってから大蟻食が新潟から戻り、一緒にお茶をしてから買い物の残り。大蟻食の実家方面で採れた山芋を味噌仕立ての汁にして、それにニシン漬けとソバで夕食にする。この山芋はわたしの胃には少々重い。夕食のあと一休みして、お茶をいれてチョコレート・ケーキを食べて寝てしまう。2001年はこれでおわり。


 < 亭主の日々 >