2001.11.2 fri.

晩ご飯はベンガル風のキャベツのカレー。大蟻食と一緒にそれを食べながら 「スナッチ」 を見る。食事の後、ワインを抜いて、ちょっとパンを食べながら押井守の 「アヴァロン」 を見る。あまりよい評判は聞いていなかったが、見てみた感じではそう悪いところばかりではない。


2001.11.3 sat.

雨。時々激しい。自由ケ丘駅の南口側にある遊歩道では花屋さんが出店を並べている。この天候では客はあまりなさそうだ。盆栽サイズにまとめられたランというのは初めて見た。どうやるんだろう? 妻家房で昼食を食べた後、GODIVAでわたしの気付け用にチョコバーを買い(利く)、帰宅して横になったら夜になるまで目覚めなかった。目覚めた後も、まだ眠い。それでも起き出してきて、水餃子で遅い夕食。大蟻食と一緒に食べながら 「隣のヒットマン」 を見る。食事の後、ワインを抜いて、ちょっとパンを食べながら(前夜と一緒だ) 「ロック、ストック&フォー・ストールン・フーヴス」 (こういう邦題はなんとかならないのか?)を見る。ちなみに大蟻食は「乞食オペラ/三文オペラ」の系列に並ぶ物、つまり無法状態にある自然な人間というのを見ると、どうやら夢中になるようなのである。


2001.11.4 sun.

予報では雨だったけど、晴れ。昼頃に起き出してきて、遅い朝食。散歩に出て昼食を摂り、その後で二子玉川へ。大蟻食のコロンを買い、自由ケ丘に戻って買物をする。帰宅してからはごろごろと過ごし、夕食を食べながら 「ディボーシング・ジャック」 を見る。IRAから物をもらうと危ないという話らしい。


2001.11.5 mon.

ジョージ・オーウェル「パリ・ロンドン放浪記」(岩波文庫)を読み終える。1920年代後半のパリとロンドンにおける貧困生活体験記である。前半はパリの話で、オーウェルは英語教師の収入を失った後、皿洗いに転落し、食うや食わずの状態でスラム街をうろついている。この当時の高級ホテルの裏側、シックなレストランの裏側、ウェイターから皿洗いまでの階級差や職業意識などが詳述されていて、興味の尽きない内容である。場末のビストロで展開される土曜の夜のどんちゃん騒ぎの様子も面白い。後半はロンドンで、ここでは浮浪者となって文字どおり浮浪している。宿泊所や公営の収容所はあるのだが、どうやら当時の法律では一つの収容所に続けて二泊することができなかった模様である。だから浮浪者たちは収容所から次の収容所へと本当に浮浪しなければならなくなる。しかも似たような法律のせいで、道に座ることも横たわることも、物乞いをすることも禁止されていたらしい。路上の吸殻を拾い上げながら、とぼとぼと何マイルも歩いていく浮浪者の集団というのは、なかなかに壮絶な世界を思わせる。やっていたことの違いが大きいとはいえ、パリの騒々しさとロンドンの侘しさが実に対照的なのであった。


2001.11.6 mon.

北野勇作「ザリガニマン」(徳間デュアル文庫)を読み終える。地に足を着けた人々が日常の中で淡々とSFギミックに取り組む様子を描かせると、北野勇作は天下一品なのである。この乗りで「宇宙の戦士」をやってくれたら「宇宙兵ブルース」を凌ぐ傑作が仕上がるような気がしてならないのだけど、やってくれないかな。


2001.11.10 sat.

雨。寒い。日中はなんだかごたごたと過ごし、夜は大蟻食と一緒に手巻き寿司。大蟻食が通販でまたイクラを買ったからである。それを食べながら 「ハード・デイズ」 を見る。奇妙で、力の入った映画であった。人物造形がどことなく初期のロジャー・コーマンを思わせる。食事の後、富樫義博「ハンターXハンター」13巻を読む。クモ旅団のエピソードもようやく一区切りついた感じで、ちょっと安心した。それにしても相変わらず仕掛けの凄いマンガである。引き続き浦沢直樹「20世紀少年」7巻を読む。ロボットのあたりは抜群にいいけれど、世代ギャップの問題で陰にこもってしまうところがわたしには少々面倒くさい。ちなみに最近、かわぐちかいじ「ジパング」5巻を読んだけど、これは展開待ちというところか。ただ、辻正信はあんなもんだとして、石原莞爾はあれでいいのか? それから幸村誠「プラネテス」2巻も読んだけど、これは1巻目を上回る青春ぶりなのであった。好みからすると、もうちょっと淡々というのがいいんだけど。それから、「あずみ」はもうやめようかなと考え始めているところ。
深夜になってからワインを開けて、NHKで「ダーマとグレッグ」を見てから寝てしまう。


2001.11.11 sun.

晴れ。暖かい。遅く起きる。軽く朝食を食べてから家の中の片づけをして、久々に「壁の穴」へ行ってスパゲッティを食べる。知らぬ間にメニューが変わっていた。食事の後、渋谷へ出てT-ZONEで大蟻食のプリンターを購入する。LEXMARKというアメリカの製品で、筐体がとにかくシンプルでよろしい。帰宅してから動かしてみたところこれが実に快調で、大蟻食は満足した様子であった。


2001.11.16 fri.

おおむね晴れ。大蟻食は新潟へ。夜になってから 「ロスト・ソウルズ」「ホワット・ライズ・ビニース」 を続けて見る。かなり不満。


2001.11.17 sat.

曇り時々晴れ。日中は家の中でごそごそ過ごし、夕方になってから外出して食料を確保。手早く夕食を済ませた後、ハリウッド史劇の中でも何故かまだ見ていなかった 「クォ・ヴァディス」 を見る。


2001.11.18 sun.

お茶を飲みながらごろごろしていた。夕方から実家へ。ゴンゾに挨拶をして食事をして、リンゴを沢山もらって帰宅。午前2時半頃、いちおう空を見上げてみたけれど、家の上空は薄曇りで獅子座流星群を見ることはできなかった。


2001.11.19 mon.

大蟻食が新潟から戻る。


2001.11.21 tue.

随分前にダウンロードしておいた「銃士戦隊フランスファイブ」をやっと見る(QuickTime、日本語字幕版)。我が国の「愛国戦隊大日本」にインスパイアされて、フランスで自主製作された戦隊物で、この夏のSF大会でも上映されている。なんだか知らないけれど大蟻食はたいそう喜んでいた。ちなみに「銃士戦隊フランスファイブ」のホームページは
http://www.multimania.com/francefive/index3.html


2001.11.23 fri.

晴れ。暖かい。朝から軽い頭痛。喫茶店で永江朗氏と遭遇する。「ぬかるんでから」をダカーポなどでとても誉めてくださった方である。ところが、ぼんやりとしていたので最初はどなただかわからなくて、後から慌ててお礼をする。わたしはこういうことが多い。反省して喫茶店を出て東横線に乗り込み、渋谷のビックカメラへ。大蟻食の携帯電話を探したけれど、これと思う物はなかったので徒歩で明治通りを北上する。途中のエイグルで大蟻食のワークブーツを買い、原宿のオシュマンで大蟻食の体操着を買う。原宿は表参道周辺から駅前まで、芋を洗うような混雑であった。頭痛が激しくなる。競技場脇を南下して渋谷へ戻り、エヴァンタイユでお茶をしてから西武のA館で大蟻食の香水を買う。ゲランが次から次へと新作を出しているのである。帰宅して、あれやこれやとしているうちに夜も遅くなり、大蟻食がスープを温め、わたしはボジョレー・ヌーボーの栓を開ける。なんだか19世紀のフランス労働者階級の食卓みたいだね、と言いながら 「ワンダー・ボーイズ」 を見る。傑作であった。ちなみに今年のボジョレー・ヌーボーは評判どおりのおいしさで、香りが軽やかで喉越しがいい。映画を見ながらワインを飲み終えてしまったので、お茶をいれて 「ダンジョン&ドラゴン」 を見る。ジェレミー・アイアンズが出ているというそれだけの理由で、大蟻食が見たいというので借りてきたのである。予想はしていたけれど、感心しない出来栄えであった。


2001.11.24 sat.

晴れ。弟夫婦に赤ちゃんが生まれる。女の子であった。
こちらは日中、大蟻食は自分の仕事場の片づけをして、わたしはトニー・グリーンランド「パンツァーモデリング・マスタークラス」(第日本絵画)なるものを読んでいた。これは第二次大戦中のドイツ軍戦闘車両のモデリング技法をイギリスのトップ・モデラーが解説した本で、わたしは模型を作らないけれど、模型関係の本が好きなのである。夕方になってから買物へ出て、それからまたごそごそと時を過ごしていると夜も遅くなったのでサンドイッチで夕食にする。。ボジョレー・ヌーボーをまた開けて、スモークサーモンや生ハムを皿に並べてパンを切りながら 「ジュエルに気をつけろ!」 を見たけれど、いや、野暮ったい映画なのであった。


2001.11.25 sun.

晴れ。暖かい。また頭痛。大蟻食は朝から聖歌隊へ。わたしはその間に買い物を済ませ、お昼に大蟻食と落ち合ってから簡単に昼食。その後で山王病院へ。生まれてからまだ24時間に満たない赤ちゃんを見る。器量よしであった。身長は50センチに足らず、体重は2500グラムをわずかに越える。見ているうちにわたしの両親、弟の奥さんのご両親とお祖母さんがやってきて、個室とはいえ小さな病室になんだかんだで赤ちゃんを含めて10人もそろう。人口過剰なのでちょっと出て、しばらくしてからまた入って授乳の様子を見学する。お母さんも赤ちゃんもまだ慣れていないので、どちらもたいへんそうであった。げっぷをしたのを確認してから病院を出る。出てからお祝いはどうするのかという話になって、なんとなくジョージ・ジェンセンへ。青山の店は閉まっていたので二子玉川の店まで行く。目当ての物がなかったので、自由ケ丘へ戻ってベトナム料理の店で夕食をして、お茶をして帰宅。お風呂に入って身体を温める。


2001.11.26 mon.

大蟻食は札幌へ。札幌は真冬のウィーンよりも寒いそうである。


2001.11.27 tue.

大蟻食は札幌大学で講演する。


2001.11.28 wed.

大蟻食が札幌から戻る。寒さのせいなのか、飲みすぎたせいなのか、それとも新しい靴を履いていったせいなのか、随分とくたびれた様子である。でも、北海道は気に入った模様。


2001.11.30 fri.

大蟻食と一緒に豪徳寺へ。大蟻食が豪徳寺のバイオリン工房に弓毛の張替えとコマの調整を頼んでいたので、それを引き取りにいったのである。ほぼ20年ぶりで世田谷線に乗った。最後に乗ったのは、たしか下高井戸でキューブリックの 「バリー・リンドン」 を見た時であったと思う。それから二子玉川へ移動して大蟻食の化粧品を購入する。帰宅してから骨付きラムのスープとクスクスで夕食。食べながら 「ザ・ダイバー」 を見る。海軍物には違いないけれど、主人公がダイバーなので艦船が事実上登場しないという映画であった。


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