Final Fantsy XIII
ファイナルファンタジーXIII/SQUARE-ENIX/PS3/2009
キャラクターの基本的なステータスが事実上HPのみになり、レベルアップもなくなり、かわりに『FF-X』のスフィア盤によく似たクリスタリウムに戦闘で稼ぐポイントを投入してキャラクターのアビリティを取得する。そしてゲームシステムは事実上戦闘システムに絞り込まれ、戦闘中にプレイヤーが動かせるキャラクターはリーダー一人だけになり、あとは自動的に行動する。リーダーに対してはコマンドの入力が可能だが、たいていの場合はリーダーも自動で走らせ、プレイヤーはもっぱらオプティマと呼ばれる最大六種類のロールの編成を切り替えることで戦闘に介入することになる。戦闘はかなり速いものになっていて、敵のHPが高くなり、属性の組み合わせが複雑になっていることもあり、しかもアクティブタイムバトルのゲージが複数のスロットに分割されていて、一回のターンで複数の行動をすることができるようになっているので、コマンドをいちいち入力している暇はあまりない。この戦闘システムは非常に作り込まれたもので、アクティブタイムバトルの正統な進化の結果として出現したものだと見ることができる。しかしながら『ファイナルファンタジー』を仮にRPGであると規定したとき、その大半を戦闘システムが占領してしまうことには疑問を感じる。戦闘システムだけを見てもフィールドと戦闘をシームレスにした『FF-XII』からはどうしても後退しているような気がするし、古典的なキャラクターデザインの手法を踏襲しながらリアリズムへの接近を試みる『Fallout 3』のようなアプローチにわたしはやはり健全さを感じるのである。オプティマやクリスタリウム、戦闘はバランスがよく考慮されているが、ゲームの全体を眺めると、バランスの悪さはかなりすごい。『Final Fantsy XIII』はことさらに物語性を意識して13章で構成されているが、そのうちの10章はおそらく戦闘システムのチュートリアルであり、プレイヤーが自由に行動できるようになるのは11章からである。そこまでが本当にチュートリアルであったとすれば、それだけのチュートリアルが必要とされる戦闘システムに問題があることになり、そうなるとプロダクション自体のバランスを疑いたくなってくる。しかも、11章からは自由に行動できる、とは言っても、メンバーの編成が自由にできる、ということだけで、広いマップをうろうろしながら戦闘を黙々と繰り返すくらいしかすることがない。いわゆる「物語」の幼稚さについては、これは何もこのゲームに限ったことではないので、特に感想はないことにするが、「ここまでの物語を保存しますか」と聞かれるたびに腹を立てていたのは事実である。
2010/01/10