推理作家ポー 最期の5日間
- Aloysius' Rating:  4/10
2012年 アメリカ/ハンガリー/スペイン 110分
監督:ジェームズ・マクティーグ
出演:ジョン・キューザック、ルーク・エヴァンス、アリス・イヴ、ブレンダン・グリーソン、ケヴィン・マクナリー


1849年のボルティモアで『モルグ街の殺人』な事件が起こり、現場を調べたボルティモア警察のフィールズ警視は事件の細部に『モルグ街の殺人』との関連を認めてエドガー・アラン・ポーに連絡を取り、そうしているうちに『落とし穴と振り子』な事件が起こって評論家が殺害され、現場に残されていた証拠から次は『赤死病の仮面』の仮面だということでフィールズ警視はハミルトン大佐の仮面舞踏会に警官隊を潜ませるが、そこでハミルトン大佐の娘エミリー・ハミルトンが誘拐され、エミリー・ハミルトンに求婚していたエドガー・アラン・ポーに対して犯人が挑戦状を突きつけ、このあとも殺人事件を起こすのでそれで新聞に連載を書け、と要求する。意外なことに、犯人は文学かぶれの植字工だったのである。植字工の給料であんなことができるとはとうてい思ないけれど、意外なことに植字工なのである。冒頭の古びた石畳がすでに1849年のボルティモアと連結していないように、ポーについても1849年にボルティモアで死んだ、という伝記的事実が採用されているだけで、ジョン・キューザックが演じるポーはジョン・キューザック的な面白みをいちおうまとってはいるものの、まったくのところポーに見えない。ベオグラードでロケしたとおぼしきボルティモアは古すぎるし重たすぎる。ハンガリーのスタジオで撮影されたとおぼしき舞踏会のシーンは堂に入ったものではあるが、これも1849年のボルティモアと接続された場面ではない。1849年にこだわる理由は特にないが、南北戦争前のアメリカには見えないというところで最後まで違和感を味わうことになる。ポーによるロングフェロー糾弾のくだりはちょっと面白いものの、プロット自体はどちらかと言えば頭の悪い仕上がりで、ダイアログは全体に出来が悪くて、くだらない問答にはちょっといらいらした。どこが"The Raven"だったのやら。

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