英雄の証明
- Aloysius' Rating:  7/10
2011年 イギリス 123分
監督:レイフ・ファインズ
出演:レイフ・ファインズ、ジェラルド・バトラー、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ブライアン・コックス、ジェシカ・チャステイン、ジェームズ・ネスビット


不満を抱く民衆を高圧的な態度で追い払ったローマの将軍ケイアス・マーシアスはヴォルサイ人と戦うためにローマを離れてヴォルサイ人の都市コリオライを包囲し、苦戦ののちにヴォルサイ人の将軍タラス・オーフィディアスとの決闘に進み、ヴォルサイ人の軍勢をしりぞけてローマに凱旋するとコリオレイナスの名を授けられ、元老院の支持を得て執政官選挙に出馬するが、コリオレイナスに敵意を抱く護民官が民衆を扇動してコリオレイナスの執政官職を危うくするので、激怒したコリオレイナスは周囲がいさめる声を無視して護民官および民衆を罵倒し、護民官によってローマから追放されたコリオレイナスはヴォルサイ人の地を訪れてタラス・オーフィディアスに協力を申し出てローマ攻略のための軍を進め、コリオレイナス率いるヴォルサイ人の軍勢がローマ領内に侵攻するとローマの貴族やコリオレイナスの家族が嘆願に訪れ、コリオレイナスは母の嘆願、というか事実上の脅迫を聞いてローマとの和解を選び、タラス・オーフィディアスによって殺害される。 コリオレイナスがレイフ・ファインズ、タラス・オーフィディアスがジェラルド・バトラー、コリオレイナスの母ヴォラムニアがヴァネッサ・レッドグレーヴ、コリオレイナスの妻ヴァージリアが 『ゼロ・ダーク・サーティ』 のジェシカ・チャステイン。シェイクスピアの『コリオレイナス』をプロット、ダイアログはほぼそのままで現代に移し替えていて、状況をユーゴ内戦に接続しながらニュース画像を挿入するなど映像的にはダイナミックな翻案が試みられているが、空間的には事実上舞台のまま、というこれはこれでかなり大胆な手法が採用されている。だからたとえば戦闘シーンなどはきわめてモダンに描かれていても演劇的な制約によって分隊規模にとどまり、将軍が関与するような戦略的な状況にはまるで見えてこない、つまりこの将軍はなぜ前線に出て分隊長すらしないようなことをやっているのか、という違和感から逃れることができない、といったような苦しさがところどころでつきまとうものの、レイフ・ファインズはさすがの役作りをしているし、ヴァネッサ・レッドグレーヴは思い切り怖いし、ジェラルド・バトラーもなんだかいい感じだし、セルビア、モンテネグロのロケは雰囲気があるし、手持ちを中心にしたカメラワークも非常に考慮されているし、ということで、見ごたえのある一本に仕上がっている。

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