マイウェイ 12,000キロの真実
- Aloysius' Rating:  7/10
2011年 韓国 145分
監督:カン・ジェギュ
出演:チャン・ドンゴン、オダギリジョー、ファン・ビンビン、キム・イングォン、キム・ヒウォン、オ・テギョン、キム・シフ、夏八木勲、佐野史郎、鶴見辰吾、山本太郎


1928年、両親に連れられて祖父のいる京城を訪れた長谷川辰雄はそこで祖父の使用人の息子キム・ジュンシクと出会い、どちらもかけっこが得意、ということでどちらもやがてマラソンの選手になって互いをライバル視するようになるが、長谷川辰雄の祖父がテロで死んでキム・ジュンシクの父親に嫌疑がかかり、長谷川辰雄は朝鮮人に憎悪を抱き、キム・ジュンシクの一家は家を追われ、東京五輪の開幕に先立って日本陸連が朝鮮人選手を締め出すとキム・ジュンシクはいよいよ選手生命を絶たれるが、そこへベルリン五輪の英雄ソン・ギジョンが現われてキム・ジュンシクを励まし、ソン・ギジョンの力によってキム・ジュンシクに選考会への道が開かれ、その選考会でキム・ジュンシクは長谷川辰雄を抑えて勝利を得るにもかかわらず、日本陸連はキム・ジュンシクを失格とし、それを知った朝鮮人観衆は暴動を起こし、キム・ジュンシクも観衆も逮捕されて日本軍に徴兵されて満洲へ送られ、1938年、いわゆるノモンハン事件が勃発するとソ連軍を前に敗退し、そこへいまや帝国陸軍の大佐となった長谷川辰雄が現われて撤退を命じた前任者を解任するとジューコフの軍団に自殺攻撃をしかけるのだと目を血走らせて宣言するので、特攻隊員に選ばれたキム・ジュンシクは仲間とともに脱営するが、その目の前にソ連軍が現われるのでキム・ジュンシクはきびすを返して奇襲を知らせるために走り出し、丘を越えてわらわらと現われるソ連軍戦車部隊に長谷川辰雄の特攻部隊が激突し、敗走を始める日本軍将兵に向かって長谷川辰雄は銃を乱射し、それを見かねたキム・ジュンシクを殴り倒し、そこへ砲弾が炸裂して二人はどうやら意識を失い、そのまま捕虜となってソ連国内某所の収容所へ送られると友人でもあり戦友でもあった朝鮮人が転向してすでに班長となり、マローズが吹き荒れるなかでの森林伐採作業で捕虜は次々と命を落とし、非情な収容所当局は凍傷にかかった捕虜を端から処分し、帝国軍人としての矜持にこだわる長谷川辰雄はそこでもキム・ジュンシクと対立を続け、捕虜たちは朝鮮人班長に対して暴動を起こし、長谷川辰雄もキム・ジュンシクも捕えられて銃殺されることになるが、そこへドイツ軍侵攻の知らせがもたらされ、捕虜たちはいきなりソ連軍に編入されてトラックでソ連国内某所へ運ばれ、ドイツ軍陣地に向かって突撃を命じられ、ドイツ軍の銃撃を浴び、怖気づいて後退しようとするとソ連軍保安部隊の機銃でハチの巣にされ、その有様を見ながら長谷川辰雄は自分のノモンハンにおける行状を思い出し、気がつくと戦場には長谷川辰雄とキム・ジュンシクが残されていて、二人はドイツ兵の死体から服を奪うとドイツ側を目指してどことも知れない山を越え、越えたところでドイツ軍の捕虜となり、それから3年後、二人はドイツ軍の兵士となってノルマンディーで陣地の構築にあたっていると、部隊はパ・ド・カレーへの移動を命じられ、連合軍の侵攻の前面に出ることを知った長谷川辰雄はキム・ジュンシクを誘って脱走を試みるが、陣地から抜け出そうとした二人の頭上にB-17の大編隊が襲いかかり、海からは艦砲射撃が加えられ、いわゆるノルマンディー上陸作戦が始まるので二人は戦場を走り始める。 実話に基づいている、という話だけれど、そうだとしてもノルマンディーのあたりは相当に自由な改変が加えられているのだと思うし、ノルマンディー上陸作戦が瞬時に終わっているような描写からもあきらかなように(それを言えばノモンハンもかなり変)、作り手は歴史的な状況に必ずしもリアリズムを要求していない。それよりも歴史的な背景を利用しながら一個のロマンを構築することに集中していて、その成果として、いささかファンタジックではあるが、見事に凝縮された時間を生み出している。自信に満ちた映像は問答無用の迫力を備えているのである。オダギリジョーの後半における心の晴れ方は、いささか釈然としないものを感じるとしても、やはりすがすがしいのである。チャン・ドンゴンも熱演をしているので、キャラクターが必ずしも整理されていなくても、さほど気にはならないのである。ある種の力技ではあるが、やはり勢いが肝心であろう。山本太郎がいかにもな日本兵を演じていい味を出していた。

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