ザ・メッセージ
- Aloysius' Rating:  7/10
1976年 レバノン/リビア/クゥエート/モロッコ/イギリス 177分
監督:ムスタファ・アッカド
出演:アンソニー・クイン、イレーネ・パパス、マイケル・アンサラ、マイケル・アンサラ、ジョニー・セッカ


七世紀初頭、メッカでは360もの偶像をカーバ神殿にかざって巡礼者を呼び寄せ、巡礼者が落とす金でうるおっていたが、そこへ神の啓示を受けたマホメットが現われて偶像崇拝を批判し、悪しき慣習の撤廃を訴え、さらには人種、性別、信仰による差別の撤廃も訴え、人間の平等を訴えるので、このままでは商売に差し支えると考えたメッカの支配階級はマホメットとその同調者を迫害、信徒はアビシニアへ逃れ、マホメットはアカバの洞窟へ隠れ、そこへメディナの人々が現われてメディナにおける対立の調停をマホメットに頼み、マホメットは信仰に帰依することを条件に依頼を受け入れ、砂漠を越えてメディナに移ると最初のモスクを建設する。一方、メッカでは信徒の財産を没収する動きがあり、事実を伝え聞いた信徒はマホメットに報復をもとめ、剣を嫌うマホメットもやがて信徒を率いてメッカを目指し、メッカの軍勢と交戦してこれを下すが、翌年、報復をもとめるメッカの軍勢がメディナに迫り、マホメットの軍勢はこれに敗れ、このあとイスラムとメッカのあいだに十年間の休戦協定が成立する。その十年のあいだにイスラムは勢力を伸ばし、メッカが協定を破るとメッカに向かって巨大な軍勢が押し寄せることになり、メッカは焦土となることを恐れて戦わずに降伏、マホメットは帰還を果たし、カーバ神殿から偶像を追放する。きわめて敬虔な態度で作られた映画なのでマホメットは一人称でしか登場しないが、その一人称がやや唐突で、少しばかり不敬にも感じられた。おもにイスラムの寛容をうたう内容は始原期の状況をよく整理し、対立軸にそって人物関係を効率的に配置し、3時間の長尺をもたせている。格別の才気を感じられるような場面はないが、基本に忠実で、粘り強い演出は好ましい。出てくる馬がすごくて、アンソニー・クインも含め、馬上のひとの馬をあやつる手つきも相当に見ごたえがある。

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