マンマ・ミーア!
- Aloysius' Rating:  5/10
2008年  イギリス/アメリカ/ドイツ 108分
監督:フィリダ・ロイド
出演:メリル・ストリープ、ピアース・ブロスナン、コリン・ファース、ジュリー・ウォルターズ、クリスティーン・バランスキー、ステラン・スカルスガルド、ドミニク・クーパー


ギリシアのカロカイリ島でホテルを営むドナは未婚の母で、その二十歳になる娘ソフィの結婚を間近に控えている。自分の父親を知らないソフィは母親の日記を盗み見て候補となる三人に母親の名前で結婚式の招待状を送り、ドナは事情を知らないまま、各地から駆けつけてきた三人の男と再会して心の傷を思い出し、三人の男は自分こそがソフィの父親であると思い込んでエスコートを申し出る。ミュージカルの映画化だが、もともとの舞台にあった空間をあまり考えずに映画的な空間に散らしたような気配があり、本来は一体であったものが解体されているのではないかと推定できる場面がかなりあった。解体されたものは編集でつなげられてはいるものの、これが演出上の居心地の悪さをもたらしているような気がしてならない。撮影はふつうにきれいだが、プランに乏しく、ときどき現れるハイスピードショットは邪魔なだけ。むやみと色数が多いのも落ち着きが悪い。最大の問題は出演者の歌唱力であろう。メリル・ストリープはがんばって歌っていたが、残念ながら決して上手には聞こえない。ピアース・ブロスナンはかなりひどい。ほとんどスターカラオケ大会である。及第点に達していたのはターニャを演じたクリスティーン・バランスキーくらいではあるまいか。なんというのか、舞台出身の監督が見よう見まねで映画を作り、映画俳優が見よう見まねでミュージカルをやったらこうなった、という雰囲気がある。あと、出演者が比較的高齢であるためか、音域がいささかABBAと異なる。ABBAが歌っているわけではないのだから、そもそも別物であると考えるのが筋だとしても、あまり上手ではないところで音を低いところへとずらされると、やはり違和感ばかりを覚えるのである。オリジナルの舞台については知らないが、この映画はあきらかに失敗が目立つ。

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