デス・レース
- Aloysius' Rating: 6/10
2008年 アメリカ/ドイツ/イギリス 105分
監督:ポール・W・S・アンダーソン
出演:ジェイソン・ステイサム、ジョーン・アレン、タイリース・ギブソン、イアン・マクシェーン、ナタリー・マルティネス、イルファン・カーン


『デス・レース2000年』 のリメイク、ということになっているが、オリジナルの陽気でばかな雰囲気は消えうせて、この近未来はひたすらに暗く、レースに参加するのも単なるアホウの代わりに妙に鬱屈した囚人になり、レース自体も公道レースではなく私企業が運営する刑務所内でのレースになり、レースの参加者は通行人を殺すのではなく参加者同士で殺し合う。つまり、すでに最初の設定の時点でSF系刑務所もののふつうのバリエーションになっていて、公道で通行人を無慈悲にひき殺すというオリジナルのいちばん肝心な部分がしっかりと抜け落ちるのは時代を反映して、というよりも、やはり監督がこっちのポール・アンダーソンだからであろう。リアル版の「マリオカート」(わたし的には「クラッシュ・バンディクー・レーシング」だが)を作りたかっただけなのではあるまいか。そう考えると、たしかに公道レースではステージ、アイテム、ボスキャラ、といった概念を織り込むのは難しかろうと思うのである。そういう意味ではまったく別種のおばかな映画になっているわけだけど、やはり監督がこっちのポール・アンダーソンだからなのか、最後のまとめの部分であきらかな要領の悪さが顔を出し、またしてもネタだけ考えて、あとのことはあんまり考えていなかっただろう、と思わず突っ込みを入れたくなるのである。とはいえ、嫌いな映画ではない。

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