バンテージ・ポイント
- Aloysius' Rating:  6/10
2008年 アメリカ 90分
監督:ピート・トラヴィス
出演:デニス・クエイド、マシュー・フォックス、フォレスト・ウィッテカー、シガーニー・ウィーヴァー、エドゥアルド・ノリエガ、ウィリアム・ハート


サラマンカの広場でアメリカの大統領が狙撃され、どこかで爆発が起こり、続いて広場でも爆発が起こり、大混乱に陥った広場でシークレット・サービスのトーマス・バーンズがあたりを見回し、アメリカ人の観光客は握ったカメラで怪しい場面を次々にとらえ、スペイン美女は雑踏に消え、警官の身分証を持った男がどこかへと走り、この状況をはさむ前後30分足らずを視点を変えて繰り返し描き、繰り返していくうちに見えなかったものが目に入り、事件の全容らしきものが浮かび上がる。大胆な構成は成功していると思う。一見したところ複雑に見えても情報量が抑制されているからであろう。緊張感は持続しているし、ちょっとポール・グリーングラス風のアクションシーンも迫力があり、けっこう面白いので見ている分には悪いところは特にないのだが、しかし、このテロリストたちはなぜトーマス・バーンズをあれほどまでに恐れたのか。そのトーマス・バーンズはずいぶんと渋い風貌になったデニス・クエイドが演じていて、これはこれで見栄えがしたが、ほらトーマス・バーンズだ、トーマス・バーンズの注意をそらせ、トーマス・バーンズが追ってきたぞ、となんだかもう、次第に意味不明の事態に陥ってきて、トーマス・バーンズに滅ぼされるために自滅的なテロを仕掛けてきたようにも見えるのである。ほかにも観光客のフォレスト・ウィッテカーはいったい何を考えて走っていたのかとか、奇妙なところが多いのだが、問答無用という感じで一気に最後まで押し流してしまう勢いはある。

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