グッド・シェパード
- Aloysius' Rating:  7/10
2006年 アメリカ 167分
監督:ロバート・デ・ニーロ
出演:マット・デイモン、アンジェリーナ・ジョリー、アレック・ボールドウィン、タミー・ブランチャード、ロバート・デ・ニーロ、ケア・デュリア、マイケル・ガンボン、ウィリアム・ハート、ティモシー・ハットン、リー・ペイス、ジョー・ペシ、ジョン・タートゥーロ、オレグ・ステファン


エドワード・ウィルソンはイェール大学在学中にいわゆるスカル・アンド・ボーンズの一員となり、FBIから学内の対独協力組織内偵を依頼されてそれをこなし、卒業後はOSSに誘われて戦時下のロンドンで諜報戦の技術を学び、大戦後のベルリンで冷戦の幕開けに立ち会い、帰国してCIAの立ち上げに加わり、中米諸国への干渉を指揮し、ピッグズ湾事件で危機を迎える。最終的にはいわゆるラングレーの誕生まで(引越しがたいへんだったろうなあ)。重厚な力作で、しかもきわめて古典的なスパイ映画になっている。やるべきことはひととおりやっていて、消えるインクや水に溶ける紙が出てこないのが不思議なくらいである。キャラクターと配役がうまく出来ていてると思う。まずマット・デイモンが ジェイソン・ボーン とは一転してデスクワーク系のスパイになり、『サンダーバード』のブレインズみたいなばかでかい眼鏡をかけて登場し、しかも誰よりも背が低い。しかも上司のウィリアム・ハートよりも、子分のジョン・タートゥーロよりも背が低いし、女房のアンジェリーナ・ジョリーもどうかすると背が低くて、そして息子よりも背が低いのである。他人から見下ろされる場所にいて、小柄な男が人生の悲惨を黙々と噛み締めている様子がよく出ていた。ジョン・タートゥーロは大卒なのにOSSの下士官出身という役回りで、この映画のジョン・タートゥーロはひどく粗暴に見えるけれど、イタリア系という出自のせいで冷遇されて怒っているように見えるのである。エリック・ロスの脚本は 『ミュンヘン』 同様、時代背景を尊重しながら状況を丹念にまとめている。ピッグズ湾事件以降の時間の経過がやや不明瞭になるものの、作品の瑕疵にはなっていない。上院議員の役でケア・デュリアが顔を出している。

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