ぜんぶ、フィデルのせい
- Aloysius' Rating:  7/10
2006年 イタリア/フランス 99分
監督・脚本:ジュリー・ガヴラス
出演:ニナ・ケルヴェル、ジュリー・ドパルデュー、ステファノ・アコルシ、バンジャマン・フイエ


1970年、スペイン貴族出身で弁護士のフェルナンド・デラメサはフランコ政権下のスペインで反政府活動をおこなっていた姉マルガを家に向かえ、そのはずみで自分にできることを考え始め、考えた結果、マリー・クレール誌で編集者をしている妻とともにアジェンデ政権下のチリを訪れ、案の定、というか、革命家になって帰国する。そしてキューバ人亡命者で反共主義者の家政婦を解雇し、庭付きの家から狭いアパルトマンに引っ越してギリシャ人活動家(投獄中)の妻を家政婦に雇い入れ、パリを拠点にアジェンデ政権の支援に取り掛かり、一方、妻は妻で未婚の母の問題を取り上げるので、とにかく家には見知らぬひとがいつも出入りしているような状態になり、だから小学生でお姫様の話が好きなアンナはとにかく面白くない。引っ越したせいで自分の部屋もなくなってしまって、弟と二段ベッドで寝なければならないし、学校では宗教の時間に一人で自習室にいなければならないし、ふくれっつらをしているせいで家を訪れるひげ面の革命家たちから反動呼ばわりされるからである。原作があるようだが、監督本人の実体験が折り込まれているような気配もあり、なかなかに興味深い。非常にていねいに作られた映画で、愛情のこもったまなざしが多くの場面を引き立てている。そして主人公アンナに扮したニナ・ケルヴェルの強烈な存在感が忘れがたい(弟役のバンジャマン・フイエもよかったが)。

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