ギャング・オブ・ニューヨーク
- Aloysius' Rating:  6/10
2002年 アメリカ 167分
監督:マーティン・スコセッシ
出演:レオナルド・ディカプリオ、ダニエル・デイ=ルイス、、キャメロン・ディアス、リーアム・ニーソン、ヘンリー・トーマス、ブレンダン・グリーソン


1846年、ニューヨークのファイブポインツ。アイルアンド系の移民を率いるヴァロン神父は敵対するギャンググループ、ネイティブズと対決するが、ネイティブズのリーダー、ウィリアム・カッティングによって殺害される。それから16年後、ヴァロン神父の息子(ってなに?)アムステルダム・ヴァロンはファイブポインツへ戻り、父親の復讐をするためにウィリアム・カッティングに接近する。
ハーバート・アズバリーによる同名のノンフィクションの映画化、ということになるらしい。原作は懐古趣味に引きずられて資料価値を損なっていたが、それでも当時のニューヨークのタブローとしては機能していた。映画はそこに不恰好なストーリーを持ち込むことで、タブローとしての機能まで損なっている。ストーリーは日常的な対立と憎悪を個人的な怨恨に集約することで対象を単純化し、本来中心に置かれるべきいわゆる徴兵暴動は後景に押しやり、事件そのものの重大さも背後にある社会的な構造も簡単すぎる言及で片付けてしまう。察するに、ただ懐古趣味に引きずられていたのであろう。時代の様相を写し取ろうとする意図はいちおう働いているように見えたものの、美術、衣装、撮影のいずれにおいてもほめるべきところはない。とりわけ衣装と衣装をつけた俳優の所作はしばしば見るに耐えなかった。一方、出演者に関して言えばレオナルド・ディカプリオは十分に主役の存在感を示しており、敵役ダニエル・デイ=ルイスもまた見事な役作りで楽しませてくれる。ただしキャメロン・ディアスはおそらくミスキャストであろう。ファイブポインツの女スリを演じるには、この女優はモダンすぎる。出演者がよい仕事をしているのと、放っておいても背景がカラフルなのに救われて3時間近い上映時間で退屈することはあまりないが、ともすれば即興が目につく不器用でデザインに乏しい映画であり、TVのミニシリーズ程度の風格しか備えていない。

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