硫黄島からの手紙
- Aloysius' Rating:  7/10
2006年 アメリカ 141分
監督:クリント・イーストウッド
出演:渡辺謙、二宮和也、伊原剛志、加瀬亮、中村獅童、裕木奈江


硫黄島守備隊の戦いを日本側から。帝国軍人の主要なバリエーションが登場し、戦略的見地から戦術を立てる冷静な指揮官として栗林中将、いわゆる将校としての機能を備えた西中佐、どうにも堪え性のない伊藤中尉などが地獄の最前線で対立し、対立する命令の狭間で一般将兵がうろうろしながら全滅していく。戦記的事実は適当に刈り込まれ、あるいは創作されているが、いずれの局面においてもキャラクターは手間を惜しまずに最後まで描写され、見えないところで万歳突撃を命令する顔のない指揮官までがどこかで感情の動きをうかがわせる。栗林中将に扮した渡辺謙、大宮のパン屋西郷に扮した二宮和也、たったひとりで体当たり攻撃に出かけていく中村獅童など出演者はそれぞれに存在感を発揮し、本音では「勘弁してくれよ」とつぶやきながら結局はみんなで自殺攻撃をするところまで、実に立派な「日本映画」になっていて、ここはむしろ、これがなぜ日本映画ではないのか、ということを問題視すべきであろう。感情的な要素を適度に抑制しながらていねいにつくる、というそれだけのことなのである。アメリカ軍による爆撃のシーンが恐ろしい。あと、ほんの一瞬だが噴進砲が登場する。

<Iwo Jima>
父親たちの星条旗
硫黄島からの手紙

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