THE 有頂天ホテル
- Aloysius' Rating:  4/10
2005年 日本 136分
監督・脚本:三谷幸喜
出演:役所広司、松たか子、佐藤浩市、香取慎吾、篠原涼子、戸田恵子、生瀬勝久、伊東四朗、西田敏行、原田美枝子、オダギリジョー、YOU、津川雅彦


大晦日のカウントダウン・パーティを間近に控えたとあるホテルで、そのパーティに出演する予定の芸人のアヒルが脱走したり、汚職政治家が追い詰められていたり、客の服が盗まれたり、ホテルの探偵がうろうろしたり、謹賀新年の垂れ幕が謹賀信念だったり、というようなことが同時進行で次々に起こる、というような内容を世に言うところの グランド・ホテル 形式でやったものらしい。長い。出演者はおおむね魅力的だが、登場人物の判断と行動はしばしば幼稚なほうへと傾いていく。まっとうな大人が事実上ひとりも登場しない。感情表現はおおげさで、しかも単調である。古めかしい上に野暮ったくて騒々しい割りに非映画的なダイアログは冗長で、場面構成は要領が悪く、カット数の全般的な低減は撮影と編集をさぼるための言い訳にしかなっていない。シチュエーションの消化を急いでいるだけで、なにかほかの、もっとましなことをやっている暇がなかったのではあるまいか。とにかくひどく居心地の悪いしろものであったが、その原因の少なからぬ部分はこのホテルの従業員がホテルの従業員とも思えぬことを、つまり客のいる前で仕事の相談をする、客の通る廊下で場所をふさぐ、といったことを平然とやっているあたりにもあったような気がしてならない(いや、そもそもまともに仕事をしていた従業員がひとりでも存在したのか)。だいたいフロントが一度も出てこないのは変であろう。いまひとつ以上に映画的ではないという以上に、舞台のホテルがホテルに見えなかったのである。

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