モスキート・コースト
- Aloysius' Rating: 7/10
1986年 アメリカ 119分
監督:ピーター・ウィアー
出演:ハリソン・フォード、ヘレン・ミレン、リバー・フェニックス、コンラッド・ロバーツ


アメリカの現状に対して激しい嫌悪を抱く発明家が思いつくままにアメリカから逃れ、女房と子供(長男、次男、まだ幼い双子の娘)を引き連れて中米ホンジュラスのモスキート海岸に辿り着き、そこで奥地の村を入植地として手に入れるとその周囲を開拓して畑に変え、川には生け簀を作り、塔のような形状の巨大な冷蔵装置を作り上げてエアコンを入れ、周辺住民に文明の福音として氷を与え、そして山奥に氷を知らない原始部族がいると聞くと息子たちを連れて出かけてゆく。
原作はポール・セロー、脚本はポール・シュレイダー。原作は未読。ハリソン・フォードが発明家を熱演している。これがまたひどく独善的な男で、矛盾に満ちていて、文明を呪詛する一方、自然界に直線を持ち込もうとたくらみ、家族に対しては一方的で支配的で、過ちを認めることを知らず、劇中、当の本人が認めているように、間違えるときには大きな間違いをする。家族にしてみればいい迷惑で、いや、見ているこちらですらが、もう誰かさっさとぶっ殺してしまえ、という気持ちになった。ピーター・ウィアーの演出はこの壊れた男のこどもじみたゆがみ具合を実に手際よく示していく。ヘレン・ミレンがちょっと油っ気を落としてまるっきりの主婦を演じており、その様子にはすがすがしいくらいの感動があった。

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