十字軍
- Aloysius' Rating: 5/10
1935年 アメリカ 123分
監督:セシル・B・デミル
出演:ヘンリー・ウィルコクスン、ロレッタ・ヤング、イアン・キース


12世紀の中東、イェルサレム。ハリウッドの訓練された俳優が演じるイスラム教徒の群れがキリスト教徒の聖地を占領し、教会を破壊し、ハリウッドの訓練された俳優が演じるキリスト教徒たちを奴隷に売る。その有様を見たキリスト教徒の隠者はその場に来合わせたサラディンに対して挑戦をおこない、ヨーロッパ諸王の軍隊を当地に導いてイェルサレムからイスラム教徒を駆逐すると宣言する。売り言葉と買い言葉の応酬があり、隠者はさっそくヨーロッパに渡ってフランス王に声をかけるが、当のフランス王は英国が主張するフランスへの覇権がいささか気になっていて、そこでまず妹との縁組みによって政治的安寧を得るとともに、英国王もまた十字軍に誘ってイギリスを不在の状態とし、物理的にも安寧を得ようとたくらむのであった。ところがその英国王、つまりリチャード獅子心王は父王が定めた縁組みを嫌い、身に迫った結婚を迂回するために十字軍に志願する。そこで英国王、フランス王などは徒党を組んで十字軍遠征に出発し、困難の末にマルセイユに到着、そこで恐るべき食糧不足に直面し、イギリス王は糧食を確保する代償としてナヴァール王女ベレンガリアと結婚する。事実を知ったフランス王の妹は金髪のベレンガリアに向かって泥棒猫と叫びながら飛びかかっていくが、そのベレンガリアはリチャード王の粗暴を嫌い、リチャード王は美貌のベレンガリアを一目で気に入っていた。さて、中東に到着した十字軍はアッカの攻略に取りかかり、その間に英国では留守をあずかったジョンが兄を廃位したりするので指揮権の問題で悶着が起こり、リチャード王とベレンガリアの間には愛が目覚め、ベレンガリアはヨーロッパ騎士に扮したサラディンにさらわれ、隠者はイスラム教徒の捕虜となってアッカの城壁の上に縛りつけられると、その状態のまま腕を前に差し出して(つまり腕は縛られていない)十字軍を招き寄せる。アッカは陥落し、ヨーロッパからやってきた偶像崇拝者どもは聖十字架をあがめて陶然となり、一方、サラディンはベレンガリアを伴ってイェルサレムに逃れるが、リチャード王暗殺の計画を知り、リチャード王はサラディンの手勢に救われてイェルサレムの手前で講和に応じる。
ある種の大作には違いない。シンボリックな映像表現やいくつかの野心的なカメラワークは面白いと思う。とはいえ話の盛り込み方にまとまりがないし、登場人物の頭がほとんど空っぽ、というのも困りものであろう。

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