マイノリティ・リポート
- Aloysius' Rating: 6/10
Minority Report (USA 2002,146min.) [D] Steven Spielberg, [W] Scott Frank,Jon Cohen, [C] Tom Cruise,Max von Sydow,Steve Harris,Neal McDonough ,Patrick Kilpatrick,Jessica Capshaw

ワシントンDCの犯罪予防局は予知能力者を使用して殺人を未然に防止する組織であったが、そこにチーフとして働くジョン・アンダートンはある日未来の殺人犯として同僚に追われることになる。予告された犠牲者は見知らぬ他人であり、犯罪予防局は全国組織となるべく政治活動を継続中であり、その暁には組織の支配権を獲得しようと司法省が介入を加えてくる。罠にはめられたことを悟ったジョン・アンダートンは陰謀を暴くために目玉を変え、顔を変え、犯罪予防局に乗り込んでいって予知能力者の少数派報告を覗き見る。ディックの同名の短編とはほとんど関係がないけれど、おそらくそれは問題ではない。話題の未来派工業デザインは個別に見れば面白いものの、全体を通すととってつけたような雰囲気が否めない。むしろ各種のギミックの扱いはアナクロニズムの気配を帯びているようで、だから現代から予測される21世紀中葉というよりも、60年代に製作されたイタリア製SF映画のように見えることがある。さらに露骨にアナクロであった衣装は50年代か、それ以前であろう。スピルバーグの目はそれほど未来に向けられているというわけではなさそうだ。子供がらみの妙なストーリーは邪魔なだけ。「誰でも逃げる」なら逃げるところでアクション映画に徹底すべきであった。とにかく 「A.I.」 よりもだいぶましだし、マックス・フォン・シドーの声を聞いているだけで実を言うとこちらは癒されてしまう。偉大な役者は、つまり偉大だということである。