フレンチ・コネクション
- Aloysius' Rating: 7/10
The French Connection (USA 1971,104min.) [D] William Friedkin, [W] Ernest Tidyman , [C] Gene Hackman,Fernando Rey,Roy Scheider,Tony Lo Bianco,Marcel Bozzuffi,Frederic de Pasquale,Bill Hickman,Ann Rebbot,Harold Gary,Arlene Farber,Eddie Egan

ニューヨーク市警のドイル刑事(ジーン・ハックマン)が相棒(ロイ・シャイダー)とともにヘロイン密売組織を追い詰めていく。売人を叩いて情報を集め、入荷の前触れを察して目や耳を凝らしているうちに怪しいフランス人シャルニエ(フェルナンド・レイ)の姿が浮かび上がり、そこで尾行を始めるとグランド・セントラル駅で素早く地下鉄に乗り込まれてまかれてしまう。まかれた上に何者かにビルの上から狙撃される。反撃に出ようとすると狙撃犯は素早く地下鉄に乗り込んで運転手に銃を突きつけるので、ドイル刑事は民間人の車を挑発して線路高架下を猛スピードで駆け抜ける。このシーンは有名。狙撃犯は射殺され、シャルニエに罠を仕掛けることに成功したドイル刑事は麻薬取引の現場を包囲するが、シャルニエは素早く遁走に移り、最後には神秘的な銃声が一発残されるだけなので、決着は 続編 を待たねばならない。
アカデミー作品賞、監督賞、脚色賞、編集賞に輝く傑作である。撮影には手持ちカメラを多用し、全体にドキュメンタリー的な手法が採用されている。慎重に準備されたショットが編集によって偶発性を帯びた現実に変貌する瞬間の数々は見ごたえがあるが、その一方、視点の多くを物語性から切り離したために、ドイル刑事の横にドキュメンタリー・クルーが控えているのではないかという余計な想像を観客に抱かせてしまう。つまりきわめてよく計算された作品である一方、その仕上がりはよくできた実録警察特番とあまり区別がつかないのである。この映画の主要な価値は、人工物であるというその一点に集約されることになるのかもしれない。つまり、力作だが、どこか空々しい。人工的に作り出された現実の中で生身の刑事を熱演したジーン・ハックマンの役者根性は素直に評価されるべきであろう。だからアカデミー主演男優賞にも輝いている。 ちなみにわたしの見解ではウィリアム・フリードキンは 「エクソシスト」 も同じ手法で監督しているのである。つまり、力作だが、どこか空々しい。