突入せよ!「あさま山荘」事件
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突入せよ!「あさま山荘」事件(東映 2002,133min.) [D] 原田眞人, [W] 原田眞人, [C] 役所広司,宇崎竜童,伊武雅刀,串田和美,山路和弘,天海祐希,藤田まこと

佐々淳行の『連合赤軍「あさま山荘」事件』に基づく。役所広司が佐々淳行、藤田まことが後藤田正晴である。官僚の世界の燃費の悪さのようなものはそれなりに描けていたのではないだろうか。少なくとも冒頭の警察庁内部の描写から長野県警に話が移っていく過程には好感を持つことが出来たと思う。しかし中央対地方の対立の構図を、おそらくは時間の関係から作戦会議の場へと圧縮していったのは失敗だったのではあるまいか。構造がどうしても単純になってしまうし、現場で起こるべきことまでが会議室に持ち込まれている。そして時間を節約した結果が現場の場面の退屈さや、よけいな人間描写であるとするならば、この演出も燃費が悪いということになる。基本的に現場で進行する話なのだから、現場に集中して駆け回っていればよかったのである。脚本がまずい。加えて時間の経過がはっきりしない。あさま山荘に突入した後の空間が説明できていない。天候の描写に至ってはめちゃくちゃのような気がしたが、あれは忠実な再現によってそうなっているのか? それとも撮影がいい加減だったからそうなっているのか? 何かというと雄大な大自然の光景が挿入されるのは、監督が目前の状況に集中していなかった証拠ではないのだろうか。これではまるで 「戦ふ兵隊」である。あと、音楽も最低であった。