将軍と参謀と兵
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将軍と参謀と兵(日活 1942,90min.) [D] 田口哲, [W] 北村勉, [C] 阪東妻三郎,中田弘二,押本映治,水島道太郎,見明凡太郎

昭和16年の北支戦線。日本軍は中国軍に対して包囲殲滅戦を強行するが、図らずも敵の強力な防御戦に遭遇し、強行突破を試みても犠牲者が出るばかり、砲撃で無線機まで破壊されてしまうので勇敢な参謀は敵の弾幕の中へ馬を駆り、我が身を犠牲にしながら救援を呼び寄せて作戦を成功へと導くのであった。昭和17年に製作されたいわゆる戦意高揚映画で、実際に中国山西省でロケされている。阪妻が日本軍の将軍で、参謀がああでもないこうでもないと騒ぐのをうんうんと黙って聞いている。いいひと、という設定なのであろう。だから部隊が食糧不足に悩んでいるところで従兵が頑張って卵を調達してくると、卵がうまかったぞ、と部下の苦労をねぎらうのである(若い参謀が自己犠牲で戦死しても福々しい感じが崩れないのが奇妙ではあるが)。タイトルが示すように、将軍、参謀、兵士、さらに従軍記者と前線部隊を多面的に描こうという意欲があり、戦闘シーンも派手さはないものの、それなりの迫力がある。これで中国軍側も公平な視点で描いていれば悪くない戦争映画に仕上がったのではないかと思うのだけど、戦意高揚映画なのでそういうことはやってない。ちなみにクライマックスで救援にやってくる戦車は戦車ではなくて九四式軽装甲車「TK」で、いわゆる「豆タンク」である。これが十両ほど戦隊を組んで進んでくる場面はなかなかに印象的であった。