ユリョン
- Aloysius' Rating: 4/10
Yuryeong (South Korea 1999,103min.) Directed by Min-byung Chun Written by Joon-ho Bong,Jun-hwan Jeong Cast: Min-su Choi,Woo-sung Jung,Kyeong-Gu Seol,Byeon-chul Min

韓国が経済援助の代償としてロシアから原子力潜水艦の現物供与を受ける。それでいったい何をしようとしていたのかがはっきりしないのだが、韓国政府は原潜保有の事実を知った日米の圧力に屈して潜水艦を公海上で自沈させることにする。その最後の航海で副長が反乱を起こして艦長を殺害し、核ミサイルの照準を日本にあわせる。「沈黙の艦隊」の韓国版といったところだが、とにかくそれを映像作品として作ってしまう根性は評価に値する。とはいえ作劇にはかなりの難があった。これはおそらく 「シュリ」 にも共通する問題であろう。ストーリーが整理されていない。人物関係を脈絡なく発展させてしまうので個体識別が困難になる。それから潜水艦に乗っている連中が潜水艦乗りに見えなかった。そもそも近代的な軍隊の兵士に見えなかった。話を単細胞に解釈すると、乗員はどいつもこいつも上官殺害の前歴をもっているようなのである。そういう連中を集めて秘密の原子力潜水艦には乗り込ませたりしたら、何が起こるかは火を見るよりも明らかである。脚本の欠陥なのか隣国の国民性なのか、おそらくは脚本の欠陥なのであろうが、方針が合理的な手段を備えていないのである。それが結果としてのリアリズムの欠如となり、いくらでも面白くなる筈の話が「恨」に溺れて滅茶苦茶になってしまっている。