私家版
- Aloysius' Rating: 5/10
Tire a part (FRANCE 1997, 85min.) Directed by Bernard Rapp Writtend by Richard Morgieve (novel:Jean-Jacques Fiechter) Cast:Terence Stamp,Daniel Mesguich,Maria de Medeiros,Jean-Claude Dreyfus,Frank Finlay

ロンドンで出版業を営むエドワード・ラムの元へフランスの作家ニコラ・ファブリが現われ、新作の原稿を手渡す。これはそれまで書いていた娯楽小説(どうやら「プリンス・マルコ」のようなものらしい)ではなく、作者自身を投影した文学作品であるという。エドワード・ラムは原稿を読み、30年前にチュニジアの海岸で自分の恋人を強姦し、自殺に追い込んだ犯人がこのニコラ・ファブリであることを知る。復讐を決意したエドワード・ラムはファブリの新作であると宣伝する一方、持ち前の贋作技術を使用してファブリのテキストを第二次大戦で戦死した英国人作家の作品に仕立て上げる。そしてこれを古本屋に流し、ファブリがゴンクール賞を受賞したところであれは盗作だという噂を流すのである。裁判が始まり、エドワード・ラムの贋作本は1939年に出版された本物であると認定され、ファブリは作家生命を絶たれて自殺する。
さらっと書かれた短編小説という風情に仕上がっていて、見るのに苦労がいらない一方、話にひねりがないのでいささか欲求不満を感じる。なんというのか、お茶漬けの味で、人物造形に深みがないのであの結末はちょっと唐突すぎる。テレンス・スタンプの重量感で、なんとか画面が緊張感を保っていたという印象も否定できない。これでもう少し話を複雑にして、テレンス・スタンプの役をジョン・クリーズがやって、傲慢な作家をマイケル・ペリンがやっていれば随分と面白い映画になったのではないかと思う。