感染
- Aloysius' Rating: -/10
Doomsday Man (USA 1998, 93min.) Directed by William R. Greenbrat Written by Andrew stein Cast:Esai Morales,Yancy Butler

その昔、わたしがまだ中学生だった頃、 「カサンドラクロス」 という映画を見て、中盤から登場する滅菌服の軍隊をかっこいいと思った。白ずくめでガスマスクをつけたあの格好に現実を超越したSF的な要素を見たのであろう。それ以来というもの、滅菌服(またはバイオハザード宇宙服)の出てくる映画はできるだけ見るようにしている(というよりもなんとなく見てしまう)。あの厭世的な 「細菌兵器に襲われた町」 は好きだった。「絶対の危機」のリメイク 「ブロブ」 は最低映画だったが 「アウトブレイク」 は傑作だったと考えている。あの「ET」でも、実はいちばん興奮したのが滅菌服の連中がぞろぞろと現われて家が化学的に隔離する場面だったのである。こんなわたしのことを家内は滅菌服フェチなどと言って笑っている。もしかしたらほんの少しだけ変なのかもしれないが、だからといって別段、弁解しようとは考えていない。
この「感染」のジャケットにも滅菌服を着けている写真が載っていて、それでうっかり借りてきたのだがとんでもない偽物だった。映画も偽物だったが、滅菌服も偽物だったのである。見た感じからすると、いちばん安い耐火服を改造したものではないのだろうか。頭巾の下がすかすかで防毒マスクを着けているわけでもないのであれではとても滅菌はできそうもない。安物の耐火服を使っているのが悪いというのではなく、何を使っているにしてもそれらしく見えないということである。レベル4のウィルスだと劇中で断っているのだから、それらしさというのはやはり必要なことだろう。
ストーリーはたいそう単純で、まず軍の細菌研究機関に勤めている医者がいる。この男は自分の研究成果が軍事に利用されることをいつものように恐れてウィルスを持ち出し、そのことに気がついた軍隊が追跡を開始する。男はすでにウィルスに侵されており、放置しておけば疫病が蔓延する危険があった。
これが悲しいまでの低予算で、軍隊も総勢5人くらい。医者が逃走中と称して基地の周りをうろうろすると、軍隊も追跡中と称していつまでも基地の周りをうろうろとしている。おきまりのヘリコプターは飛ばないし、走り回る車の種類はこれ以上はないというくらいバラバラで、おそらくはスタッフ、キャストの自家用車であろう。最後になって医者は一軒の家に追いつめられるが、これを包囲する軍隊の車両になぜか突然キャデラック・ゲージ社の本物の四輪装甲車が混じる。スタッフの知り合いが州兵にいて懇願して借りてきたのか、あるいはスタッフ、キャストの誰かに軍用車のコレクターがいたのかもしれない。話がすべてメリーランド州の狭い地域に限られていることから、メリーランド洲インディペンデントといったような小さな映画産業がもしかしたらあるのではないかと想像していた。