海自が空母型護衛艦 
ヘリ3機同時運用
次期防で初 2隻建造 多目的用途に

海上自衛隊は6日までに、近く退役するヘリコプ夕ー護衛艦(DDH)2隻の後継艦を「ヘリコプ夕ー空母型護衛艦」とし、来年度から5年間の次期防衛力整備計画(次期防)で2隻建造する方針を固めた。ヘリ3機を同時運用するため、広い飛行甲板を持つのが特徴。指揮通信機能を充実させ、自衛艦隊の指揮艦になるとともに災害派遣など「多様な任務」に活用する。戦闘機は搭載しないが、海自初の空母型艦船に周辺国から批判が出ることも予想される。

海自は対潜水艦戦を強化する狙いから対潜ヘリ機を搭載したヘリコプ夕―護衛艦を4隻持ち、「はるな」が2008(平成20)年度に退役、また「ひえい」が09年度に退役する。建造に5年かかるため、後継艦は04年度とその翌年度に予算化する。建造費は一隻約900億円が見込まれる。

後継艦は、ヘリコプ夕ー護衛艦の対潜戦能力を向上させ、同時に洋上の指揮通信機能を併せ持つ。新たに航空機運用の中枢艦として、対潜ヘリとMH53輸送ヘリの搭載を計画している。

また、「多様な任務」を想定し、緊急時の邦人輸送や国連平和維持活動(PKO)、災害派遣に活用できる「多目的艦」を目指す。

ヘリを同時に3機離着艦させることから、広い飛行甲板が必要になるが、海自は具体的な艦船デザインを決めていない。甲板全体が平らな全通甲板を持ち、艦橋を船体右側に寄せる「空母型」、または艦橋を中央に置き、飛行甲板を前後に分ける夕イプが想定される。格納庫を含めヘリコプ夕ーは常時4機を搭載、基準排水量約15000トンの海自最大の艦船になる。

英国やイ夕リアの軽空母とは違って、垂直離着艦ができるシーハリアー戦闘攻撃機は搭載せず、甲板をスキージャンプ型にもしない方針。戦闘機70機を搭載する米海軍の空母のような攻撃力は保有しない。

だが、空母型艦船の保有は「侵略の意図あり」と誤解される可能性も。

空母のような外観を持つ輸送艦「おおすみ」建造の際に「空母保有の前段階」と指摘された経緯からも、周辺諸国の反発が出そうだ。

『攻撃力』持たぬが・・・
空母型の多目的艦
 内外に十分な説明を

海上自衛隊がついに空母型艦船の保有を決断した。輸送ヘリコプ夕ーと対潜へリコプ夕ーを同時に3機離着艦できる機能を追求した結果とはいえ、夕ブー視されてきた “空母型”保有の衝撃は大きい。

防衛庁は「憲法上保有しうる空母はある」と国会で答弁。「対潜ヘリコプ夕ーのみを搭載する艦艇であれば、これは明らかに攻撃型空母とは言えない」(1988年10月20日、参院内閣委の日吉章防衛局長)とヘリ空母保有に含みを残してきた。

海自は「あくまで護衛艦」と主張。「空母」の文字が独り歩きすることを極端に警戒している。しかし、海自の目指す航空機運用を満たすには、外観が空母型になるのは避けられないのも事実だ。

米海軍が保有する空母との大きな違いは、攻撃力を持たない点にある。米空母が3個飛行隊分の戦闘機を搭載するのに対し、海自の空母型は対潜ヘリと輸送ヘリのみ。むしろ主眼は多様な任務を担う多目的艦とすることにある。

米空母の運用には一隻当たり、5千人以上の乗員と一日一億円の費用がかかる。海自にその意思も能力もないことを内外に鮮明にする必要があるだろう。

(社会部・半田滋)


海上自衛隊が保有を目指す新護衛艦のモデルの一つ、イタリア海軍の空母「ジュゼッペ・ガリバルディ」(ジェーン海軍年鑑から)

(出典)東京新聞2000.12.7