[本の感想] [官能小説]

本の感想

「スカートの下の劇場」 「パンツが見える」

「スカートの下の劇場」(ひとはどうしてパンティのこだわるのか)  上野千鶴子著、河出書房新社、1989年


1、本との出合い
2、男性がパンティにこだわる理由
3、女性がパンティにこだわる理由
4、性の商品化
5、下着は想像の世界
6、ナルシズム


1、本との出合い
この本に出会ったのは、たまたま女性の下着に興味もって検索していた時でした。副題の、どうしてひとはパンティにこだわるのか、 を見て、その内容を知りたくなり、購入しました。 著者が女性だということも興味をもったもう1つの理由です。

著者はパンティにこだわり、またパンティにこだわる女性や男性にも こだわってきたのです。そこから見えてきたものは、下着そのものの意味だけでなく、人が下着にいかなる意味を与えているかです。 この本が書かれたのは1989年ですが、読んでみてこの内容は今でも十分通用するし、色あせていないと思いました。

2、男性がパンティにこだわる理由
アンケートによれば、男性が女性と関係する時、女性の下着に関心を持って見るかの問いに、ほとんど男性は見ないと答えています。 目的はパンティではなく、その下にあるからです。

男性が女性の下着に興味を抱くのは、下着の下に手が届かない時です。その代わりとして下着に興味をもつようになるのです。 もちろん下着の下に手が届くようになれば、下着への興味は減少していくでしょう。しかし、 男性によっては下着の下をあきらめ、あるいは女性への恐怖から下着だけに興味を持つようになることがあります。

下着の下に手を出すには、その女性と個人的に人間関係を築きあげねばならず、そういった人間関係が嫌い、あるいは苦手な 場合があるからです。すると、下着フェチの世界に入っていきます。

3、女性がパンティにこだわる理由
女性の場合もセックスを避け、下着だけに興味をもつ場合があります。 中年になり、肉体に自信がなくなっているものの、自分の魅力的なイメージを捨てきれない場合です。 下着にはそれに相応するボディイメージがあるので、装飾の多いパンティを愛用するのです。 着用するといっても他人に見せるのが目的ではなく、ひそかに自分が楽しむのです。 実際、メルヘン調の繊細なレースのついたパンティは、値段も高く、若い人ではなく、 こういった中年の女性によく売れているのだそうです。

4、性の商品化
この本で触れている他の点に性の商品化があります。本来、性とその人とは切り離せません。 性的関係を持とうとすれば、その人と付き合うしかないのです。ところが、人から 性だけを切り離して、売るのが性の商品化です。

多くの場合は男性がお金を払って性的欲望だけを満たし、女性はお金をもらって性だけを切り離して サービスします。これは男性側がより容易に性的欲求だけを切り離すことができるからでしょう。 単純な例を挙げれば、壁の窓から男性がその性器だけを出して、反対側の部屋にいる女性が男性の顔を見ずに その性器を刺激して射精させる場合です。男性側にはそれでよいのかもしれません。いや、本来ならば そういったあり方にむなしさを感じるでしょう。女性には本来、性と人格が一体化している傾向が強いので、抵抗が 強いように思います。経済的な状況などで追い詰められたり、従順に従うことに喜びを見出さない限り難しいでしょう。

ある若い女性が、もしも自分がそうしたら、手が汚れて、その汚れはどんなに強く洗っても、洗っても落ちないから嫌だ と言っていたのを覚えています。印象的な言葉でした。 肉体上の汚れではなく、精神的な汚れなので、洗っても洗っても落ちないのです。しかし、その女性がある男性と付き合い、納得して 相手の性器を刺激したら、それは何ら汚れにはなりません。自分で納得して行動をすることがとても大切なのです。

5、下着は想像の世界
もう1つ、パンティの世界はなぜ卑猥でセクシーなのは、女性器そのものは現実的ですが、下着の世界は想像により 成立しているという著者の指摘です。現実より想像の世界の方がはるかに豊かなのです。 想像は無限だから、その世界はどこまでも広がっています。

想像の世界に遊ぶのもいいでしょうが、しかし、男性のフェチにしろ中年女性のフェチにしろ逃げの姿勢が感じられはしないでしょうか。

6、ナルシズム
その他、女性のナルシズムはそれだけで完結する場合としない場合があり、男性のナルシズムは女性の存在をその内に 含むなど興味深い内容でした。

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