去る1999年 8月 4日、久々にマクリーンのライヴに足を運んだ。
場所は六本木「Sweet Basill 139」。 お初のライヴ・スポットである。
当日になって知ったが、ドラムスのビリー・ヒギンズが体調が優れず急遽来日見送りとなっていた。
マクリーンと最も相性の合うドラマーだけに、チェスナット参加に次ぐ今回の見所としてかなりの期待を抱いていたのだが、大変残念である。
トラとして参加のエリック・マクファーソンは、以前原宿「キーストン・コーナー」のマクリーン・セクステットで生を聴いて以来である。
アルバム「Rhythm of the Earth」 「Fire&Love」にも名を連ねる、「アーティスト・コレクティヴ」の優等生だ。
当日のメンバーだが、アナウンス嬢に紹介されながら一人ずつステージ登場となった。
ジャズ・ライヴでは珍しい登場の仕方に、メンバー大照れの様子である。 見てるこちらも、何だか照れくさい時間が過ぎる。
こういった登場はぜひ止めてもらいたいものである。
<メンバー>
さて、オープニングは「Fire & Love」からのナンバーで「Mr.E」。
マクリーンの音にただ圧倒される。 またもや楽器を替えているようだが、図太いトーンは健在だ。
年齢的な衰えを心配していたが、全くの取越し苦労であった。 1曲目から快調に飛ばすマクリーン。
フレイズが以前にも増して複雑になってきている。 ウネりながらどこまでも続くライン。
大きな螺旋を描くようなP・ウッズとは対照的な張り詰めた緊張感がヒシヒシと伝わってくる。
続くD・バレットのソロになった途端、チェスナットが暴れ出した。 熱情的な若さ溢れるバレットのソロを煽るコンピング。
強烈なテンションをぶつけてくる。 さらにそのコンピングに反応するマクファーソン。
火だるまの熱演だ。 マクリーンのライヴということを忘れて没頭してしまう。
チェスナットのソロを経て、ホーンのエンディング。 ソロの時にも感じたが、マクリーンが登場するとサウンドが一変するようだ。
マクリーンの支配力というよりは、バックが押さえ気味で演っているといった感じだ。
2曲目は「’Round about Midnight」。 意外な選曲だ。 「マクリーンらしい」としか言えないアプローチで、しかも本物のマクリーンが演奏している。
至福の一時である。 ビール片手に充分に堪能できた。 しかし、ここでもマクリーンのバックは控えめ。
どうも今回は、そういう「キマリ」になっているらしい。 ここでのバレットのソロは、フェイク程度に軽く流し、早々にチェスナットへバトン・タッチ。
バトンを受けたチェスナットは茶目っ気たっぷりに、モンクを思わせる節回しを連発し、主役を食うようなソロが印象的であった。
おそらく新曲と思われる3曲目もマクリーンは快調に疾走する。 破掟寸前まで行くマクリーンは久々に聴くが、危うさが全く無い。
新生マクリーンとでもいうのであろうか、90年代のアルバムそのものの演奏だ。
ライヴでは洒落で昔の様な演奏をしても良さそうなものだが(私が期待しているだけか)、力を抜いたところが全くない。
まあ、そこもマクリーン的ではあるが。 続くバレットのソロになった途端、バックの様子が一変するのが微笑ましい。
チェスナットなどバレットのフレーズに瞬時に反応し、そのフレーズ展開にさらに奥深さを付け加えている。
バレットのフレイジングが怪しくなってくると、巧みにリズミックな展開へ導き、至る所でクライマックスを創り出していた。
凄いピアノである。 マクリーンのバックで大暴れが聴けなかったのが残念だ。
続く4曲目は、演奏前の打ち合わせが長かったので何事かと思ったが、演奏が始まるや合点がいった。
モード色が強く、途中で曲調がめまぐるしく変わる難曲(新曲)である。 途中マクリーンは「ココ、アタマカ?」のジェスチャー。
見失った様だ。 ライヴならではの光景で何だか得をした気分、とは不謹慎か。
他のメンバーは何とかソロをこなしているといった様子だったが、やはりチェスナットだけは緩急自在の構成で理知的なソロを展開していた。
頭の良いプレイヤーといった印象を強く受けた。 チェスナットのソロが終わったところで、やおらといった感じでマクリーンがマイクを手にメンバー紹介を始める。
時計を見るとまだ50分しか経っていない。 明らかにアンコールを意識したステージ構成で、少々幻滅である。
ステージ袖へ引き上げるメンバーに当然の様に鳴り止まないアンコール要求。
アンコールでは恒例となったマクリーンの短いファンファーレを合図に、再びぞろぞろとメンバーがステージに上がり、これまた恒例の「Left
Alone」で幕。 あぁ、マクリーンだ。 と実感する以外、特に感想は無い。
多少の時間的割高感(1セット・¥7000)はあるものの、マクリーンの健在ぶりが嬉しいライヴであった。
チェスナットの怪物ぶりや逸材バレットのガッツ溢れるプレイにも新鮮な感動を覚えた。
次回来日にも勿論駆け付ける予定だ。
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