KEF

    
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   KEF 104aB  華やかさはないものの、良いバランスの音だった。

    LS3/5a のツイーターであるT27を使ったスピーカー・システムで3/5a以外にもうひとつ、なかなか魅力的なものがありました。ユニットの親元のKEF製104aBです。ウーファーはB200という、 LS3/5aのB110(14センチ)より一回り大きな20センチの黒いベクストレーン・コーン(紙に代わるプラスチックの振動板で、ダンプ剤を塗って使う)で、さらにB139という楕円型のウーファーの磁気回路を取り除いたパッシブ・ラジエーター(B D139。ドロン・コーンとも言い、バスレフの代わりに低音を拡張できるもの)を備えていまし た。比較的小型だったにもかかわらずバランスが良く、同時期の国産スピーカーがどれも癖のある高音で目立ちっ子競走を繰り広げていたなか、生の楽器の音を知った全然次元の違うバランスで驚かせてくれたものです。ツイーターのT27が f 特的には上の方まで伸びてはいるものの、今のものと比べ、あるいはオーダックスのツイーターなどと比べても前に出る明るさ、繊細さよりもおとなしさが感じられる性格であることも一因だったと思います。KEF の創業者であるレイモンド・クックは前述したようにBBCの技術顧問だった人で、彼の作り出すスピーカーはどちらかというと生真面目な、無機的な意味では なくフラットで色付けを感じさせないものが多かったように思います。代表作のように言われたリニアフェイズで階段状の105は高域が前へ出るせいか分析的 で響きに余裕がなく、あまり好みではありませんでしたが、104aB以外にも魅力的なスピーカーがありました。

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   KEF Cantata   低域まで伸びた、どっしりしたバランスのフロア型。

 カンタータというモデルで、ウーファー にB139という楕円のものを使い、中音ユニットはLS3/5aと同じB110でした。フロア型の大きめの箱に入っていて、モニターシリーズとは違う家庭向けのラインだったと思います。高音ユニットがT52という、T27 より大きな1.5 インチのものだったこともあり、高い方の倍音がT27と比べてもあまり繊細には出ませんで したが、中域が充実していてどっしりとした良いバランスでした。セレッションのディットン66などのように朗々と響くきれいな色を持たせたシステムではな く、より真面目な音作りが当時としてはいくらかモニター寄りの感じもさせていました。B139の特性か、量感はあまりないものの低域がかなり下の方まで伸 びていたのも魅力的でした。このシステムを手に入れてT27のユニット(以前は単体で売っていました)に交換することを夢見ましたが、それもただの夢想に 終わりました。

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  KEF LS50   最近の英国製のスピーカーの中ではクリアながら音像が前へ出過ぎない。

 
クック亡き後、最近のものではKEFの創業50周年を記念して作られたLS50というモデルがちょっと気になりました。それまでの UNI-Q シリーズのスピーカーはどうも好みの音ではなかったのですが、同じ格好をしたコアキシャルのユニットを使っていながら、高域が出しゃばらず癖がなく、楽器 の音がナチュラルでバランス良く聞こえます。最近の流行でウーファーは金属製のコーンなのがちょっと心配でしたが、アルミとマグネシウムの合金ということ で、嫌な鳴きはないようです。マグネシウムは内部損失が大きく、金属の中ではコーンの材料として適しているものの、腐食の問題があって難しいところがあっ たようです。ここでは合金にすることでクリアできているのでしょうか。内部は二次以上のネットワーク回路を使っているようですが、現在のチーフであるマー ク・ドットが開発時間に余裕を持って好きなように音を聞いて作ったと雑誌等で書かれていることが十分納得できる音だと思います。買って家で聞き比べたわけ で はないのであまり詳しく書けませんが、値段が高くないことも合わせて考えると、かなり良いのではないでしょうか。



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