セレッション (Celestion) とスペンドール (Spendor)

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 セレッションのツイーター HF1300 を使ったBBCモニター系統のスピーカー。一番左は実際にBBC規格で作られ、型式承認されLS3/6 (スーパー・ツイーターは Celestion HF2000)で、左から二番目がスペンドールのスペンサー・ヒューズが1969年、LS3/6 とほぼ同時期に相前後して完成させた派生品とも言える BC1 (Spendor BC1/スーパー・ツイーターは Coles STC 4001)。開発に携わっていたスペンサーこの頃BBCを引退したのでこういう二種類のシステムが存在することになったらしい。これらはこの時代を代表するモデルとなったが音圧は出ず、88年頃までには現役から退いた
 右から二番目は1970年代初めにロジャースが
LS3/6 を家庭用に改造したイクスポート・モニター(Rogers Export Monitor/オフセットした角形ダクトが特徴で、ウーファーはアルミ・ダイキャストから鉄プレス・フレームのものになった)。
 一番右はイクスポート・モニターから発展した同じくロジャースのスタジオ1(Rogers Studio1/スーパー・ツイーターは KEF T27)。
 どのモデルもウーファーにはベクストレン・コーンを使っており、ツイーターはセレッション
HF1300 だった。スペンドールの 'BC' が表すのは Bextrane - Celestion とのこと。傑作だったため、同じようなユニット構成のスピーカーは下段のものも含めて多く作られた。


      
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  左の2台は BC1の改良型であるスペンドール BC2(Spendor BC2 1973)のサランネットありとなし。右2つはB&Wで、左側がDM4、右側がDM2。セレッションHF1300 の後期型 (Celestion HF1300U)を使っている。スーパーツイーターはコールズ4001G (Coles STC 4001G) で、この構成のスピーカーシステムは当時の流行とも言える。
 
 
   イギリスのコンシューマー用スピーカーはタンノイやQUADを除いても、セレッションやB&Wなど他にもありました。B&Wは創業者から代が変わってハイ テクの会社になり、現在大変人気がありますので後で触れますが、以前はBBCモニターのLS3/6の流れを汲む、ツイーターがセレッションのHF1300
/Uを用いた小型3ウェイ(DM2とDM4が日本に入って来ました)などを作っていました。同じようなユニット構成のスピーカーに73年に出たスペンドールBC2と いうものもあり、そちらは高域寄りのバランスで線が細く、明るめの音がしていました。しかしそのバランスが意外と人気があり、日本ではオーディオ評論家に よって雑誌でも高く評価されていたようです。チークのキャビネットでサランネットがラベンダー・グレーの複雑な織糸風であり、所有欲を刺激する外観でした が、音色はちょっと不自然だった気がします。

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                     Celestion HF1300U tweeter

 このセレッションのHF1300/U、樹脂を染み込ませた布の円錐形ドーム振動板にディフューザーキャップが付く独特のデザインで、13KHz までしか再生しないものの、タ ンノイのホーンとはまた違った癖のある艶を持っていて魅力的でした。その後KEFのT27やオーダックス製のものなどが英国製システムによく使われるよう になりましたが、この当時最も優れたツイーターの一つだったのではないかと思います。とくに弦の音はきれいでした。このユニットを手に入れて自分のシステ ムに組み込んでみたことがありますが、ハイファイというのとは違い、一個遣いでは能率も低かったために結局メインのシステムには採用できず、 ロジャースのLS2という小型のシステムにツイーターだけ交換する形で別室で使うことになりました。

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   ロジャースLS-2の箱にセレッションHF1300 Uを入れ、ウーファーにKEFのB110を組み合わせてみた。独特の艶とムードのある音。

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  セレッション・ディッン25(左)と66 (Celestion Ditton 25, 66 1975)   大らかに響いて艶があり、うっとりする個性的な音。

 そしてそのユニットを作ったセレッション本家では、BBCモニターLS5/1に似た構成のディットン25というモデルにこのツイータが2個使われていました。その上には ディットン66というモデルもありましたが、若干違うバランスながらどちらも独特の響きを持った魅力的なスピーカーでした。どんなソースもきれいな色々と鳴らしてくれたのです。とくに66の方は大きめの箱に入ったややグラマラスなパッシブ・ラジエーターの低音でリアルな音ではないなと知りつつも、ホールのような響きが加わった、それにしかないくつろいだ音に降参してしまいます。スーパー・ツイーターがついているのでレンジは狭くないのですが、ちょうど昔のクレテンザ やエレクトローラといった蓄音機がナローレンジだったにもかかわらず甘く美しい音色を響かせていたのに若干似ているかもしれません。


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