ポジパンDJ
〜80年代暗黒青春物語〜


 1980年代。音楽誌が判を押したように不毛だったと決めつける、パンク後の焼け野原。でも、そんなメディアの煽り文句を鵜呑みにしないでほしい。80年代文化の裏側には、この時代だからこそ登場し得た貴重で刺激的な音楽がいくつもあった。

 パンクがロックを解体した後、パンク的精神のもとにロックの欠片を集めて再構築した新感覚のサウンドが大英帝国のアンダーグラウンドで続出した。それらは「ニュー・ウェイヴ」と呼ばれ、一大勢力となってオーバーグラウンドを侵食していった。

 1982年のある日、新進のニュー・ウェイヴ・バンドたちに、イギリスの音楽メディアはひとつの名前を与えた。ポジティヴ・パンク。日本では通称ポジパン。ポスト・パンクを感じさせる刺激的な音とビジュアルは、新たなムーブメントの到来を予感させた。が。

 実際にはポジパンとは、音楽マスコミの場当たり的な商業主義の産物だった。新人タレントたちを無造作に束ねて強引にグループを作り、まとめて売り出そうとするような、そんな感じででっち上げられたジャンルだった。そんなものが大きなムーヴメントに育つはずもなく、ポジパンは結局ニュー・ウェイヴという大きな波の中の小さな波紋に終わった。ほとんどのバンドは短命に終わり、今ではポジパンなんて言葉すら無かったことにされている。

 しかし現在、欧米でゴスと呼ばれる勢力や日本のビジュアル系の連中はある意味でポジパンの直系だし、ポーティスヘッドもプロディジーも椎名林檎も浜崎あゆみも、ポジパンをホウフツとさせる要素は十分に持っていたりする。こうしたアーティスト達が意外な大衆性を獲得している現状をみるにつけ、消えていったポジパンたちの不遇を嘆かずにはいられない。

 「ポジパンDJ」とは、時代のあだ花ともいうべきポジパンを13回にわたって紹介することで、うかばれなかった彼らと、そして彼らに夢中になってしまった自らの暗黒の青春を安らかに永眠させてあげる、「1980年代への鎮魂の儀式」です。 R.I.P.


■第一夜 終わりの始まり
■第二夜 ポジパン前夜
■第三夜 日本ポジパン英雄列伝
■第四夜 ビジュアル系のルーツを求めて
■第五夜 シスターズ・オブ・マーシーの奇跡T
■第六夜 ロック史には絶対載らない日本ポジパン外伝
■第七夜 夢宴 〜バットケイヴ生き証人インタビュー〜
■第八夜 暗黒の歌姫たち
■第九夜 ハイスクールは惨殺テリア
■第十夜 シスターズ・オブ・マーシーの奇跡U
■第十一夜 ダークサイド オブ エレクトロ
■第十二夜 ポジからゴスへ
■第十三夜 時の葬列


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