12/25、クリスマスの夜にロック・イベントに行ってきた。「俺流 vol.6 〜センダイヴ〜」@ZEPP SENDAI。大坂ともおという仙台でラジオのパーソナリティーをしている人がオーガナイズしているイベントで、出演者は、54-71、the band apart、ASIAN KUNG-FU GENERATION、ZAZEN BOYS、smorgas。センダイヴ、と言いつつ、今回、実はそんなにダイヴが激しくなるバンドは出ていないのだった。観客も、パンク系のバンドのイベントに行くとポピュラーなロックを聴いてる層とは明らかに違う尖った雰囲気をもった人たちがいてちょっと怖かったり、もしくは音楽なんてそっちのけで暴れるためだけに来ているような人たちがいて身体的な危機感を感じたりするんだけど、ここに来ていたのはそういうのに比べたら、普通の(JAPANでも読んでそうな)ロック好きの青年男女って感じ。もちろん少しのモッシュやダイヴは起こっていたけど。
初っぱなから54-71。まぁ、知名度からいって仕方ないのだろうが、どうも違和感が。CDはずいぶん前にインディーズの1stミニアルバムを買ったきり、ライブは初めて見たのだが、かっこよかった! 独特の「間」のあるリズム、読経のようなラップ(何言ってるかほとんどわからない)、ボーカルの奇妙なパフォーマンス、それにノイズ。変拍子のリズムが悶絶もので、ダウナーなんだけど、踊れるのだ。HIP HOP的な曲だけかと思っていたら、一応ちゃんとしたメロディーのある曲もやっていた。Voのパフォーマンスについては特に驚くことはなかったが、ビジュアルにはちょっとびっくり。(笑)あの髪型と口髭はヤバイよ。893入ってるよー。道ですごまれたら即言うことを聞いてしまいそうなドスのきいた声と顔だった。まあ、ライブ見てる分にはいいんだが。ライブ時間が短すぎたので、今度は他のイベントに来たときも行ってみるかな。ファンもそんなに変な雰囲気じゃないみたいだし。
次はthe band apart。ずっとライブを見てみたいと思っていて、でもうまく予定が合わなくて見られなかったのが、やっと、という感じ。CDで聴いたときはもっと落ち着いたライブをするのかと思っていたが、思っていたよりずっとアグレッシブ。聴き始めの頃、ドラムがちょっと走り気味、と思ったけど、よく聴いてみると他パートと微妙なバランスでちゃんとリズムを保っているのだった。うまいなあ。ギターもボサノヴァ、メタル、AOR等々自由にアレンジしたフレーズを弾いており、テクニックがめちゃ高い。バンド全体としても、疾走感がありつつ腰の据わった演奏を見せていて、まるで熟練のポップバンドみたいだった。20代前半のメンバーのバンドとは思えないわ。ラスト近くに演奏されたのが、彼らがパンクバンド達によるディズニー音楽のトリビュート・アルバムに提供した「星に願いを」(アルバムではボーナス・トラックとして収録)。これ、あの名曲をディスコ・アレンジにしてみごとに換骨奪胎した意外な一曲なのだが、この曲が始まったとたんに天井のミラーボールが回って会場が一気にディスコ空間に。なんて粋な演出! 演奏も、これがまたうまいんだ。CDで聴くよりディスコ色が強く、こういう演奏ができるってことはやはりバンドの演奏力が高いんだなと再確認。とても楽しく踊れるいいライブだった。
次はASIAN KUNG-FU GENERATION。最初、会場の前の方でちょっと見てみたのだが、あまり好みな感じではないようだったので、途中からはカクテルを飲みながらライブハウスの一番後ろの方で見ることにした。演奏力は高いしいいライブをしていたとは思うが、メロディーもアレンジも直線的であまり面白くない。あれだな、USのDRIVE-THRUレーベルのバンドみたい。メロコアからエモ方面にアクセスしてきた、みたいな。その上に青春ロック的な風情をたした感じなので、人気がでるのはわかる気がする。ただ、少なくとも曲にもうひと工夫ないと、見ていてノレないなあ。
次はZAZEN BOYS。元ナンバガの向井秀徳のバンド。てっきり次はsmorgasだと思って再びライブハウスの前の方に入っていっていたのでちょっとがっかり。でもライブは思っていたよりはよかった。演奏がタイトだし、ラップや浪曲やファンクなど、いろいろおもしろそうなことをしているな、とは思う。ただ、リズムが単調なので聴いていて飽きてくるんだな。これはHIP HOPとして聴かせるには致命的なのでは。比べるものではないかもしれないが、54-71を聴いた後だと余計そう思ってしまう。それにいろんな音楽を取り入れてやっているのも、結局のところ「向井の発想を音にしてます」という域を越えてないのではないだろうか。と、ナンバガにも向井にも何の思い入れもない私などは思う。まあ、smorgasが出てこなくてがっかりしたのと、3時間以上立ちっぱなしで腰が痛かったので早く座って休みたい早く終われ・・・、と念じながらの鑑賞だったので、私の感想はその分辛さ3割り増しくらいになってるだろうけど。
ラストはsmorgas。彼らも、いつかライブ見たいと思いつつなかなか機会がなかったバンドだ。そんな彼らのライブは、すごかった。リズム隊の出すグルーヴがすごい。他のバンドとは迫力が違っていた。それまで、腰痛ぇよぉ。なんて、腰をおさえながら見ていたのに、彼らの演奏を聴いたら体がかってに動いてしまっていた。もう、踊りまくり(おかげで今も首筋の変なところが筋肉痛だったりする)。来門の煽りも最高。MCも熱い! 戦争のことや世田谷一家殺害事件のこと(事件の現場は来門の家の近所だったそうだ)を取り上げて、でもそんな世の中を音楽のパワーで変えていこうぜ、と盛り上げる。青いっちゃあ青いけど、熱い男だな、彼は。ある曲の冒頭で突然、礼拝の文句(「天にまします我らの神よ・・・」という、あれ)をそらでフルで読み上げたのに驚いたんだが、あれはそういう曲だったんだろうか。それともクリスマスだったからかな? 来門はクリスチャンなのかな。お母さんがイタリア人だし(ヒデとロザンナの、ロザンナね)たぶんそうか。そんなことはライブには無関係かもしれないけど、これって来門のMCだとかバンドの姿勢だとかにいろいろと影響してるんじゃないかなあ、そういえばアメリカにはクリスチャン・パンク・バンドってのがいるんだよなぁ、なんてことを、ライブ中にふと考えてしまった。
最後は、出演者全員がステージに出てきて、チケットの半券に書いてある整理番号を使ったクリスマス・プレゼントのくじ引き(当たった人はなんと東京から来ていた。東京でだとチケット取れないような組み合わせだからだろうか)と、出演者のサイン入りボール投げ、で、終わり。実はライブがあることを知ったのが前日のことだったので、行くかどうかかなり迷ったのだ。でも行ってよかった。最後にいいライブで一年をしめることが出来た。

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