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重要な事は、1次リーグの最終戦の順番だ。フランス、アルゼンチン、ブラジルの順番なのである。そして、この3チームの願いは、準決勝まではお互いに当たりたくないと言う事だが、そのうち1チームが1次リーグ落ちしない限りは、必ず、どこかとどこかが1回戦か準々決勝で当たってしまう。そこの駆け引きをどう読むか。
そこの読みを語る前に、組み合わせを分析してみよう。
F組はなるほど「死のグループ」だ。しかし、私の見るところ、A組も「準死」に値する組み合わせだ。まずシードのアルゼンチンとフランスは互角と考えてよいだろう。セネガルとナイジェリアでは、むしろ前者の方がチームとしての完成度は高いように思われる。昨秋この2チームと相次いで闘った我々が一番よく知っている。ウルグアイとイングランドは共に優勝経験あり。モンテロを軸にした守備は下手をするとウルグアイの方が上。もちろん攻撃はオーウェン、ベッカムの「2発」分イングランドが上だが、ウルグアイもレコパの「1発」がある。スウェーデンとデンマークはほぼ互角と言ってよいのでは。ストライカが充実している分デンマークの方が強いかもしれない。もっとも、トマソンも小野がいないとそれほど猛威を発揮しないかもしれないが。
そして、A組、F組が悲惨なのは、ようやくの思いで2次トーナメントに出たはよいが、いきなりお互いのチーム同士が当たる事である。つまり彼らは4試合続けて、凄い試合をしなければならない。そして、アルゼンチン、フランスは一つ間違うと、決勝トーナメント初戦でお互いいきなりガッチンコ。駆け引きどころではないかもしれない。
さらにフランスにとって弱り目に祟り目なのは、アルゼンチンを回避しても、1回戦でイングランドと当たる可能性が高い事である。かてて加えて、ピレスの離脱に続いて、ジダンの序盤戦欠場。
一方、ブラジル。予選では散々だったが、元々この国には本大会に入ってからチームを仕上げていくのが得意の伝統がある。そして、1次リーグの組み合わせは非常に楽と来ている。
しかも、1次リーグが1位だろうが2位だろうが、2次トーナメント初戦の相手はH組のチーム。悔しいけれど、ドングリの背比べから抜け出したH組のチームがブラジルに歯が立つとは思えない。日本に関して言えば、「中田、小野、名波をズラリと並べ(短い時間帯でよいから)MFのパスワークでブラジルより優位に立つと言う壮大な目標を実現できればあるいは」と思っていたが、名波はいない。他のH組の3国共々、1次リーグ突破で精神的にはいっぱいになっているだろうから、1回戦でブラジルに勝つのは残念ながらほとんど不可能だろう。したがって、ブラジルはかなり容易に準々決勝まで進出する事になる。
ここまでの前提条件で、3強の思惑を検討してみる。
まずフランス。2次トーナメントでいきなりアルゼンチンとの対決は避けたいのはやまやまだろうが、あれこれ駆け引きしたところで、イングランドが来る可能性も高い。
彼らは超一流のプロフェッショナルだから、駆け引きをして価値があるならば、ありとあらゆる策謀を行うだろう。しかし、試合順を考えると、フランスが立場を決めた後で南米の両巨頭が動くのである。せっかくの努力が駆け引き倒れに終わる可能性もある。あまり意味がない駆け引きをするよりは、現役の欧州チャンピオン、世界チャンピオンのプライドを重視した方が、モラルアップの意味でもよいだろう。
従い、フランスは淡々とA組の1位を目指すことになろう。無論、容易なグループではないし、序盤ジダンも使えない状況では、結果的にグループ2位になる可能性もある。しかし、それらは駆け引きの結果ではなく、最善の努力の結果であろう。また、ジダンが負傷した事により、最悪の状況では来日できずに帰国する可能性すら否定できないと思う。
全くの余談。我々の身近に1人フランス人がいるが、彼は典型的な駆け引き倒れの性格をしている(それがまた我々に愉しさを提供してくれるのだから文句を言う筋合いではないのだが)。我らがエースが欧州で「フランス人は皆あのような性格なのか」と聞いたと言う噂があるが、彼ならずとも私もそれは知りたい。
さて、アルゼンチン1,2戦でが余裕を持って第3戦に臨めたと仮定しよう。彼らは単純にフランスを避けにいくべきか、いやそうではない。ブラジルの動きを読む必要があるのだ。
フランス、アルゼンチン両国が1抜けし、ガッチンコが無事避けられた場合は、ブラジルも1抜けする(フランスの1回戦の相手はおそらくイングランドだから、ブラジルもアルゼンチンとの準々決勝よりは、疲れたフランスとの準々決勝を選択するはず)と、準々決勝はブラジル−フランス。アルゼンチンからすれば、準々決勝は、H組とC組のブラジル以外となり、非常に楽(こう書くと悔しいが、仕方がない、しつこいが「名波がいれば、せめて一泡」)。準決勝で疲れたブラジル−フランスの勝者を待ち構えればよい。アルゼンチンとしては理想的である。
しかし、フランスが2抜けした場合、アルゼンチンはあえて2抜けでフランスを回避すべきだろうか。そこでは、ブラジルの複雑な立場を考慮する必要がある。ブラジルは楽過ぎる1次リーグの組み合わせから、2位に終わる事そのものが難しいのだ。ブラジルの実力からすれば、1次リーグの2試合を2連勝して当然だし、そうしないとフェリペ氏もクビが危ない。すると、第3戦は、大差で負けない限り2位には落ちる事ができない、と言う状況すら考えられる。しかも、このサッカー王国のファンの多くはイタリアのファンと異なり、1次リーグで2位を選択し最後優勝するリアリズムを持っている人は少なく、毎回のワールドカップで70年の再来(攻撃的に戦い優勝する)を期待している。ブラジルからすれば準々決勝でフランス、アルゼンチンどちらかとやるのは決まっているのだから、わざわざ国民の非難を浴びて2抜けを選択する必要はない。したがって、アルゼンチンがあえて2抜けを選択しても、準々決勝で、きつい相手と4戦して疲労した状態で、楽な相手と4戦したブラジルとやる事になる。必死になってブラジルを下しても、準決勝には準々決勝で一休みしたフランスが待ち構える。フランス、アルゼンチン双方1抜けと立場が逆転するのである。
アルゼンチンとすれば、そうなるくらいならば、1回戦で同じ程度の疲労状態のフランスを打ち破り(反対サイドでイングランドがブラジルを苦しめるのを期待し)、一休みしてから準決勝でブラジルと雌雄を決する方が、まだ決勝への道は開ける事になる。
つまり、アルゼンチンにも駆け引きは存在しない。「死のグループ」でも目標は1抜けあるのみである。そのために重要な事は、初戦に勝つこと、それも2点差以上の点差をつけて勝つことである。おそらく、初戦のナイジェリアに対して、相当なプレッシャをかけ、完勝を目指すだろう。
私は不思議である。何ゆえ、かほど多くの人がフランスを本命視するのか。フランスの試合順を推定してみよう。1抜けしたとすれば、例えば、セネガル、ウルグアイ、デンマーク、イングランド、ブラジル、アルゼンチン、イタリア。歴代の優勝国5国を撃破しての優勝を目指す事になる。このような道のりを突破できるチームが果たしてあるのだろうか。
もし、フランスが2抜けしても、セネガル、ウルグアイ、デンマーク、アルゼンチン、日本、ブラジル、イタリア。やはり、優勝は難しいのではないか。
しかも、ピレスはおろか、ジダンが負傷しているのである。はっきり言おう、フランスの優勝はない、いや決勝進出すらないと見る。
かくして日本ブロックでは、フランス−ブラジルの死闘の後、埼玉でアルゼンチンとブラジルが相見えるのではないか。埼玉の試合は、終盤疲労した両チームの精神力の戦いとなる。勝負を分けるのは、アイマール、カカ両チームの将来のスターの力量のような気がする。 |