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トルシェ氏が指向するサッカーは、中盤で組織的なプレスをかけ、
浅いラインでオフサイドトラップを多用しボールを奪い、素早い攻撃を狙うものだ。
そして、その組織化のための反復練習は非常に見事なものだと言う。
A代表にその徹底がなされるのに、いささか時間がかかったと言う問題はあるが、
トルシェ氏は指向するサッカーと、その実現のための指導力は素晴らしいものがある事は間違いない。
ここで重要な事は、日本の伝統的サッカースタイルが、
トルシェ氏の指向とよく一致している事だ。日本のサッカースタイルは、
以前より中盤での豊富な運動量による統制が取られたプレスと浅い守備ライン、
そして技巧的で素早い攻撃にある。トルシェ氏が韓国やUAEの監督に就任したら、
その国の伝統と自分の指向の乖離にさぞ苦労する事だろう。
もっとも、中盤のプレスと浅い守備ラインはモダンサッカーとして、
欧州でも南米でもトップチームでは主流となっている訳で、
トルシェ氏の指向は決して珍しいものではない。
ただしその中でも、監督による色付けの違いがある。
最も極端な例だが、前イタリア代表のチェーザレ・マルディニ氏の指向も中盤での厚いプレス、
浅いライン、速い展開だったが、技巧に富んだ創造的な攻撃的選手
(はやりの言葉で言えばファンタジスタ)をFWとして1名しか起用しない点が独特のもの。
前フランス代表監督エメ・ジャケ氏のサッカー指向も同様だったが、
攻撃についてはジダンに全権を任せるためか、カントナ、
ジノラのような他の創造的な選手は排除した。
この両氏に限らず、ファンタジスタを並べると、お互いが干渉し邪魔しあったり、
ファンタジタにボールを配給する選手が不足しうまくいかない事を恐れる監督は多い。
したがって、ファンタジスタを多数保有しながら、
同時に起用する人数は最小限に留めているチームも多い。
一方、トルシェ氏はフラット3を基礎にしているためもあるが、
サイドMFを含め中盤に多数の創造的な選手を起用するのを好み、
攻撃的なサッカーを狙う。そして、今の日本は創造的な中盤選手を多数有するのだ。
中田、中村、小野、少しスタイルが違うが、名波もその系列に加えてよいだろう。
今の所トルシェ氏は彼らをズラリと並べ、攻撃的サッカーを機能させるのに成功している。
このようなチーム構成と、攻撃的なサッカーへの指向は、
我々サポータの自尊心を満足させる。
自国のおもちゃ箱に入っている宝物は他国に見せびらかしたいではないですか。
世界中の監督の多くは、「攻撃的サッカー」を目指すと公言するが、
内実は非常に守備的なサッカーを狙う場合が多い。しかし、
トルシェ氏のサッカーは本当に攻撃的だ。敵がブラジルだろうが、
メキシコだろうが、フランスだろうが、絶えず攻めを指向する。
もっとも、中盤の組織が機能しないと、ペルーに殲滅されるリスクもあるが。
そう考えてみると、
創造的なMFを多数抱える日本とトルシェ氏の邂逅は見事なものだとも思えてきませんか。
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