● FIFA対AFC解決策  

 ■日韓の無条件出場権の返上

     

 2002年の出場枠を巡るFIFAとAFCの対立はまさに「泥沼化」 してきたようだ。本稿では、 その対立を文字通りアッという間に解決する抜本手段を提供する。

 結論を先に言おう。 日本と韓国はW杯開催国に許されている無条件の本大会出場権を返上し、 アジア予選に参加すればよいのだ。 アジアの出場数はFIFAが提示してくれた2.5+日韓の2=4.5と、 フランス大会の3.5が一気に増加する。 さらに返上するドサクサに紛れた交渉により 4+0.5×2=5程度の増加も可能になるかもしれない (ここからはまさに交渉技術の問題である、 臨時総会を退席する程度の知恵しかない交渉者には非常に難しい交渉となろうが)。

 ■日韓にとって問題は少ない

     

 開催国特権を返上する事に、 反射的に異論を唱える方は多いかもしれない。でも、落ち着いて考えてもらいたい。 正直言って(残念ではあるが)、過去のW杯において、 韓日とも(ここは偉大な隣国に敬意を表して順番を逆にして見ました) 何ら重要な役割を演じたことはなかった。それでも両国がW杯を招致したのは、 自国が上位進出しなくても、大会を成功裏に遂行する自信があったからだろう。 とすれば、別に両国とも自国の出場を声高に主張できる立場にはないはずだ。
 むしろ、今回のボイコット騒動により、 アジア各国が予選をボイコットした方が、日韓両国にとって被害は大きい。 何故ならば、大会そのものがシラケたものになり大会前から「失敗したW杯」 と烙印を押されるのみならず、アジア各国から期待できる収入(放映権料など) が減るなどの直接的な被害も予想される。のみならず、 ボイコットの制裁措置として(日韓両国とも「退席」している事を忘れてはいけない) 2006年W杯のアジア枠にも影響があるかもしれない (FIFAが日本の「経済力」に期待し阿ってくる可能性も高いが)。
 もちろん、 今後の展開次第でFIFAとAFCの間で何らかの妥協が行われる可能性は高い。 無理して、当方の既得権である無条件出場権を放棄する必要はないかもしれない。 しかし、現状の混乱を日韓両国が手をこまねいて見ているのが得策だろうか。 最終的な妥協は、南米、 オセアニアあたりの出場枠を若干削る方向でなされる可能性が高いが、 将来的にそれらの協会の「恨み」を買うことは、 AFCあるいは中東のサッカー協会よりも、 (将来世界制覇を目指している)日韓両国のサッカー協会にダメージが大きいはずだ。 今回、理に通らない理屈を振りかざし世界中を困らせている連中と、 我々は目指す所が違うのである。

 大体、今の日本、韓国がアジアのベスト4に入ることはそれほど、 難しいことではない。おそらく、両国とも本大会に出場する可能性は低くない。 しかし、可能性は低かろうが、どちらかあるいは双方がコケル可能性も十分ある。 でも、それはそれで仕方がないのである(日本が負けたら本当に悔しいだろうけど)。

 はっきり言ってしまおう。日韓両国は、 2002年の無条件出場権に拘泥するよりも、 身を切ることで将来の本質的な利益を狙うべきである。もし、 地元開催のW杯に予選敗退して出場できなければ、確かにみじめであろう。 しかし、本当の意味で長い目で将来W杯の制覇を狙うべき両国にとって、 高々1回のW杯の不出場が、致命的なものになる訳がない。もし、 それが致命的なものになるとしたならば、 所詮両国とも永久にW杯の優勝はおろか上位進出などできる訳がない。
 みじめだとか、将来のW杯の優勝だとかを切り離して考えて見よう。 両国ともあれだけの熱意で(私から見れば見苦しいだけだったが)招致、 あるいは誘致活動を繰り広げたのだ。地元チームがいなくたって、 立派なW杯を遂行するに決まっているではないか(そうでなければ、 予選でこけて出場できない以上に本当にみっともないと思いませんか?)。 少なくとも、韓国は知らないが、日本国内は(賭けてもいい)、 全てのチケットが売り切れになるのは間違い無い。

 大体、2002年のW杯自体、成功すること自体、 W杯を実際に見たことがある人間のほとんどが心もとなく思っているはずだ。
 フーリガン対策のノウハウのない日本の警察(あるいは自衛隊) にどこまで警備をお願いするのか。
 フーリガンではない(欧州南米標準として普通にふるまう)サポータたちは、 (日本の普通の人から見ればフーリガンそのものとなるが)、 彼らをどのように制御するのか。
 英語以外の言葉を話せるボランティアをどのように確保するのか。
 ただでさえ足りないチケットはどう配ったって、不平不満の素となるが、 どうさばくのか。
 日韓の物価差とチケット代をどのように制御するのか (運用上、本件が最大の問題になる可能性がある、 ヨハンソン氏に「ポルトガルとスウェーデンで共同開催するつもりですか?」 と尋ねた時、どのような表情をするか見物である)。
 TVマネーに支配されるFIFAが欧州のゴールデンタイム (つまり日本の夜中または明け方)のキックオフを要求してきたら (間違いなく要求してくるに決まっている)どうさばくのか(もっとも、 明け方4時のキックオフはサラリーマンには都合いい、 横浜国際でイタリア−オランダ戦を観てから仕事に行くのも悪くない)。
 少し考えれば、観客動員以外は史上最低最悪のW杯になる可能性は極めて高いのである。

 やや皮肉が過ぎたかもしれないが、満更はずれた事を言っているつもりもない。
 でもここで、逆に考えて見よう。柏市がストイチコフの関連で、 「ブルガリア代表のキャンプ地に立候補」と言う話があったが、 このような形態でキャンプ地となる各都市が、 世界中の各国に狙いを絞りそれぞれの国を歓待したら、 どんなに素敵なW杯になるだろう。予選が始まったら、 それぞれの都市が対象とした国を応援する。 晴れて晴れて応援した国が出場権を得た暁には、 キャンプ地して大歓迎する。世界中から日韓のホスタビリティは大歓迎されるだろう。 それこそ、新しいW杯の形態になり得るのではないか。
 いっそ、無条件出場権を辞退して予選で日韓が出場権を獲得したら、 それぞれ相手国で1次リーグを闘うのはどうだろう。 あくまでも世界中の列強に純粋にサッカーを闘う場を提供する。 そのようなW杯の新しい形態を開くと言う意味では、 日韓の開催は世界サッカー界にとって非常に価値あるものになるのではないか。 人口比においてインテリ比率が高く、かつ国民の多くがお祭り好きな両国ならば、 その気になれば相当の事ができるはずだ。

 ■ホンネ

     

 私の小原稿を読み続けてきた方々は、
「このあたりでそろそろホンネを吐きなさい。」
と思っていることでしょう。そうです。否定しません。

 私は予選が見たいのです。

 皆さん、思い出しましょう。2年前、FIFAと加茂氏のお陰で、 私たちはどんなにスリルとサスペンスを味わうことができたでしょう。 85年のW杯予選、私はあれではまりました。それ以降、 W杯予選は私の人生のタノシミなのです。近い将来、 W杯そのものがタノシミになる日が来るかもしれません。でも、 今の私たちにとって、アジア予選は分相応なタノシミではありませんか。 このタノシミは4年に1回訪れてくるのです。それが、2001年に限って、 サッカーで金儲けばかり考えている人々のお陰で私から取り上げられてしまったのです。
 増して、地元開催のW杯の予選ですよ。「もし負けたら」 と言うスリルは前大会の比ではありません。もしかして、 最後の出場権を日韓で争うことになったりでもしたならば、 その時の興奮たるや、想像を絶するものがあるではないですか。 地元開催のW杯の出場権を争う一騎打ちなど、 過去世界中のサッカーファンの誰もが味わったことの無い劇的な体験ではありませんか!!!
 勝った時の感動はジョホールバルを思い出せばよい。
 負けた時の感動はドーハを思い出せばよい。
 どちらにしても、心の底から感動だと思いませんか。もちろん、 昨年フランスで味わった感動も最高のものでしたよ。でも、あの感動は、 私自身としては30年近く抱き続けてきた夢が、かなったからのものでした。 あくまでも、85年のソウル、93年のドーハ、 そして1年前のジョホールバルなどの積み重ねの上での感動だったのです。
 もしかして、サッカーの神様は私を見捨てていないのかもしれません。 上述してきたように、AFCの愚行のお陰で、 後は鄭夢準氏と岡野俊一郎氏の決断一つで、あるいは...
 岡野先生、私はあなたの文章、翻訳、TV解説から、 多くのことを学んできました。ここで、新たな決断をされることで、 間違いなく貴方の名前は、 世界サッカー界に偉人として記録されることになると思います。是非に是非にご決断を。

 そして私に予選の観戦権を...


 <無断転用・転載を禁じます> 

武藤文雄のサッカー講釈 TOPへ  
サポティスタ TOPへ