広瀬一朗氏のコラム 第27回 (静岡新聞 3月1日掲載)
【サッカー勝手連のすすめ】 〜非公式パワーで応援〜

 「勝手連」ということばをご記憶だろうか。 かつて北海道知事戦に横溝氏が初立候補したおり、 地元の若手有志が中心になって「勝手に」応援する組織を作った。 それが勝手連である。 「勝手」の斬新さとは、第一に、立候補者に主導権があるのではなく、 応援する側、つまり投票権者が主導権を持っている点。 誰に頼まれたのでもなく、 自分達の判断で「勝手に」応援するのだという立場を明確にした点。 第二に、「勝手に」とは「非公式だ」という点。 「非公式」を逆に売り物にして、 既成の政治勢力や政治手法とは一線を画したところが多くの共感を生んだのであろう。 横溝氏は圧勝した。
 前回の当欄で、W杯開催に向けた「勝手連」を2つご紹介した。 一つは、日韓関係の向上をテーマにした「KJふれあいクラブ」。 他のひとつは、障害者の社会参加をテーマに、 10の開催都市における車椅子導線を明示した地図作りをしている「challengedM@P」。 この二つが結びつけば、 韓国の開催都市における車椅子導線地図の作成まで広がりを持てるのではないか。
 どうも肝心なサッカーの「勝手連」が登場していないことに気がついた。 そこで「サロン2002」という勝手連を紹介する。 もともとは日本サッカー協会科学研究委員の一部有志が中心となり、 勉強会として活動していたのが始まり。 それがJリーグ以降のサッカー関連産業の発展と、 サッカーを取り巻く環境が激変したにもかかわらず、 それらに関する情報交換の場がほとんどなかったため、 自然とこのグループの会合に様々な分野の人が集まるようになった、 とは筑波大学付属高校のサッカー部監督でサロンの代表を勤める中塚先生の説明。 このグループから「サロン2002」が生まれたのは、97年.4月。
 口コミで会員数は増え続け、会員の質も多様化している。 案内を送っている人は、北海道から福岡・高知まで、あわせて約200名。 月例会には通常20〜30名が参加し、 次々に新しいネットワークが築き上げられているようだ。
 参加者の中には文部省や、サッカー協会や、 JリーグあるいはJAWOC関係者という「公式」側の者も多い。無論私人での参加である。 (今まで取り上げたトピックについてはホームページを参照。) 東京以外の地域にも展開しつつある。 現実にここで築き上げられたネットワークを活かした例として、 当コラムの第17回で取り上げたサロン・メンバーの宇都宮氏の写真展が、 新潟にできた支部の方が中心になって新潟でも開催された。
 主催者としては参加者の多様化に伴い、参加の動機にばらつきが目立ってきて、 その調整が必要になっているようだ。 また、財源がないため具体的な活動に展開できないという悩みもある。 どうも責任なき"ボランティア"活動の限界を感じつつあるようだ。
 以下、メンバーからよせられた意見より。
・サロンは、具体的な解決方法を示すべきである。言いっぱなしはだめ。 (傍観者不要)
・各地方にサテライトがつくられていくようになればよい。
・個人ではなく、法人の受け皿を作って、 しっかりした基盤の上に立って展開していくべきではないか。
 主催者中塚氏の将来展望も、 「まずは「任意団体」としてできることをし、 2002年までにNPO法人化を検討したい。」とのこと。
 そこで筆者からの提案。 サロン2002が、W杯開催の10地域に支部を設ける。 無論中核は志ある一般市民。そ のネットワークで地元の開催情況に関する情報交換を行い、 開催の目的、意義を確認しながら、 「開催成功の条件」を明確化し、日本中で共有する。 第9回(9月29日)「スポーツと地域振興〜評価を測る規準が必要〜」で、 開催成否の「格付け」を行えるようなモノサシについて言及したが、 この「格付け」を行う「勝手連」として名乗りをあげるのは如何か? 評価される方は焦るだろうなあ。 だが、本来この点を明らかにしないで、責任の取りようがない。 県内の我と思わん者は是非ご参加を!
 最後に「勝手連」を始めるにあたって、守るべきルールについて言及しておく。 「勝手」とは「無軌道」を意味しない。 まして、対象となるのはスポーツだ。ルールは当然ある。
 第一に「勝手」は「非公式」であるが、公式と対立するものであってはならない。 それは「勝手に応援する」意味からは本末転倒である。 第二に、敵対しないだけでなく、足手まといにならないこと。 「勝手連」作ったんですけど何をしたらいいか教えてください、というのでは、 「公式」のスタッフに新な仕ことを増やすだけで、やはり応援にはならない。 また、せっかくの好意(勝手)が、 意図せず「対立」したり「足手まとい」にならないためには、 対象を良く理解することが必要だ。 好意の押し売りもノーサンキュー。 中途半端な気持ちなら、「勝手連」はやるべきではない。 勉強し、情報収集すること。 「公式」の邪魔をしない範囲で情報を聞きに行き、 情報交換をしておくことは必要だろう。 要は双方がハッピーになるような活動ができるかどうか。 それが「勝手連」の評価を決めるだろう。


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