広瀬一朗氏のコラム   第26回 (静岡新聞 2月23日掲載)
【W杯に参加する方法】 〜車椅子MAPなど製作〜
  

 あれからはや半年…。月日の経つのは早いもの。そうこのコラムが始まったのは、昨年の8月。
第1回は、W杯のもつ3つの顔の話であった。そして3つ目の「祭」という側面に、どんな形で関わるのか個々人で考えよう、と述べた。この間、読者諸兄は一体どんな形で関わるのかを考え、既に決意し、行動を開始したものと推察する。
…開始してない?
まさか、「組織委員会や県が、まだ何をするのかはっきりしないから」とか、「始めない理由」を準備しているだけではないでしょうね。
 無論、「TVで見るだけで満足」とか「とにかくチケットを入手して会場に行く」ことで十分だとお考えの方もいるだろう。それはそれで結構。だが、せっかく地元で開催する以上(そしておそらく、我々の存命中、静岡で同じことは二度とない以上)、単なる観客となるだけでは勿体ないと思いませんか。
思われる方は、自分から何ができるのか積極的に探したり、同士を募ったりすることを開始されることだ。
気がついたら手遅れ、なんてことが無いように。
 とは言いながら、志はあるが一体何をしたらいいのか思いつかない、という方たちのために、筆者の周りで既に行動を開始した人達を紹介しよう。仲間うちでは、この動きを「同じアホなら踊らにゃソンソン」連盟(略称「オナ・アホ連」)と呼んでいる。(無論、冗談です。)何かのヒントにでもなれば幸い。
 最初は「ふれあいKJクラブ」。これは在日本大韓体育会中央本部が中心となって、2002年大会を契機に日韓関係の親密化を図ろうという集まり。一昨年フランス大会で、両国の代表チームを現地で応援しようというサポーター同士が、お互いアジアの代表として、また次の大会の共同開催パートナーとして、双方の代表の応援もサポートし合おうと話合い、応援し合った。その時の仲介をした在日の人達が中心になり、帰国後も2002年大会に向けて活動を持続することになった、というのが誕生の経緯。日本人メンバーもかなりの数だ。
 昨年8月に横浜で行った、日本青年会議所が主催する「地球環境の日」に行うイベントの一つとして、「第3回日韓代表OB戦」を実施した。(第1回は97年春に茨城県の鹿島で開催した。)引退記念試合を直後に控えたラモス選手だけが、随分と目立っていたゲームを
スポーツ・ニュース等でご覧になった方もいるだろう。その際、「ふれあい」の方たちには、随分協力してもらった。「OB戦」は、今年も同じく8月に横浜で行う予定だ。
 先日(2月2日)に、「ふれあいKJクラブ」が開いた「日韓サッカーの軌跡をビデオで楽しむ会(正式名称は日韓サッカーミレニアム・パーティー)」が、銀座にある日本ビクターのショールーム・イベントホールで開かれた。「日韓キックオフ伝説」の著者、大島裕史氏が日本サッカー協会の倉庫から探し出してきた「お宝映像」を皆で楽しみながら、これから2002年に向かって何ができるかをざっくばらんに語り合った。

ちなみに当日のお宝リストは以下。(古い!)
・韓日戦 @54年W杯予選(神宮競技場、1―5)筆者が生まれる前年!
    A56年メルボルン五輪予選(後楽園、0−2)
・日本代表戦B51年スウェーデン・ヘルシンクボリ(西宮球場、0−3)
      C53年全香港華人選抜(神宮競技場、4−3)
      D53年ドイツ・オッフェンバッハキッカーズ(神宮、0−9)
      E53年スウェーデン・ユールゴルデン(難波球場、1−5)
           同            (神宮、1−9)
      F64年東京五輪アルゼンチン戦(駒沢、3−2)

連絡先:「ふれあいKJクラブ」(在日大韓体育会中央本部内)
事務局長:鄭龍男さん 電話03−3454−8894
ホームページ:www.geocities.co.jp/Colosseum/3016/

 次に紹介するのは、大会会場となる10都市の「車椅子導線MAP」を製作しているグループ。
本連載の第7回目(9月22日)で、「電動車椅子サッカーのW杯」開催を目指している人達を紹介した。
そこでも登場した友人、吉井さんが今回も発起人。プロジェクト名を「Chllenged M@P」という。
チャレンジドというのは「障害を持った人達」を指す米国生まれの呼称。(「チャレンジド」の方が、積極的に立ち向かっている「チャレンジングな感じ」が出ていて「障害者」よりカッコいいなあ。)
 聞くところによると、IOCや国際陸連等の競技団体を統括するGAISFという組織から、各競技団体に障害者の参加を検討すべしというお達しがあり、昨年FIFA内にもそれに対応する委員会ができたらしい。日本でも担当が決まったという話も聞いている。いよいよ2002年に、車椅子のサッカー仲間達が登場する話が現実味を帯びてきたようだ。
 ところで「ユニバーサル・デザイン」という言葉をご存知だろうか。前回までの話題で「ユニバーサル・アクセス」という放送用語に触れてきたので混乱するかもしれないが、今回はまったく放送には関係がない。健常者も障害者も、老いも若きも、誰でもが(ユニバーサルに)使いやすいようデザインされたものは、結果的に優れたものだという思想である。
例えば、リンスのボトルに、触ったら分かるようにギザギザをつけておけば、視覚瘧Q者がシャンプーと間違えなくて済む。でも我々だって湯気の充満した風呂場で、シャンプーを流し終わったあとまだ滴るお湯が入らないよう目を細めているため、間違えてもう一度シャンプーを髪につけてしまうこと、ありません?(ある、ある。)だったら、ボトルにギザギザがあれば皆にとって便利なはず。繰り返すが、障害者にとって優しいデザイン(設計)は、全ての人にとっても優しいはず。だから結果的に優れたデザインなのだ。
(今年浜松に新設される予定の静岡県立文化デザイン大学は、たしかこの分野に相当力を入れる、と聞いている。(ブラボー!)
 「車椅子の導線」が町に十分確保されていれば、その町は障害者にとってだけではなく、幼児やお年寄りにも歩きやすい町であろう。従って、車椅子導線がどうあるのかとは、その町がどれだけユニバーサルにデザインされているか、つまりどれだけ人に優しい思想で
設計されているのかというバロメーターでもある、と言っていいだろう。
(無論、スタジアム・エコパにもその思想は活かされているはず。(ですよね?石川知事。)
 「車椅子導線MAP作成」に参加したい人は、呼びかけ人グループ代表、吉井勇氏まで。
連絡先は、月刊「ニューメディア」編集部内電話03−3542-5231。
Eメール:yoshii@newww−media.co.jp。
大学として製作協力なんてのも、静岡県としてはカッコいいね。

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