【W杯キャンプ地立候補】〜「公認が必要」は誤解〜
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2002年W杯キャンプ地立候補が9月末に締め切られた。立候補の受付け発表をした昨年来、多くの自治体が興味を示していたが、実際に立候補したのは全国で83ヶ所。静岡県内からは裾野市、御殿場市、清水市、藤枝市、磐田市の5つであった。当初の予定によれば、現地の調査を経て、2000年12月ごろに公認を決定することになっている。
この連載の第一回で、W杯という祭りにいろんな形で関わろう(同じアホなら踊らにゃソン、ソン…。)と述べた。何とかしてこの世紀の大イベントに関わりたいという自治体の方たちが、出場チームのキャンプ地にその可能性を見出したのは至極当然ではある。
思い起こせば岡田ジャパンがフランスで滞在した「エクス・レバン」という街は、ほとんどの日本人がそれまで聞いたこともなかった名だった。それが代表のキャンプ地となったことで、小さな山間の温泉療養地の名は一躍日本中に知れ渡るところとなったのである。、「この際我が町の国際的アピールを」と意気込む自治体が現われるのも無理はない。
エクス・レバンには、筆者も一度だけ訪れたことがある。昨年の6月23日、フランス大会での日本の最終戦となった第3戦、リヨンでの対ジャマイカ戦が行われたその夜に、岡田監督の労をねぎらうためホテルを訪れた。3戦全敗という結果に、悔しい思いはあったろうが、突然の監督就任から始まった激動の9ヵ月がこれで終ったという安堵の思いもまた大きかったようで、既に戦う者の顔ではなく穏やかな表情になっていた。
辛かったこと、苦しかったこと、嬉しかったこと等、深夜まで話は尽きなかったのだが、
その中でキャンプ地選定について話が及んだ。
フランス組織委は136のトレーニング施設と56の宿泊施設を公認し、候補地として示したのだが、「フランスから示された候補地のメニューの中には、めがねに叶った場所は無かったんです。」「で、どうしたの?」「やあ、とにかく妥協したくなかったので、他に候補を探すと言ったら、じゃあこれを参考に、と言って別のリストを持ってきたんです。」それは最終的に公式推薦リストからもれた町の(裏?)リストだったのである。その中にエクス・レバンが有り、説明を聞いて良さそうなので、早速自分の目で確かめるべく現地にでかけ、「即、合格!」
さて、この事で分かるように、キャンプ地の決定に関しては、FIFAや組織委員会に決定権は無い。契約は、飽くまで当事者同士、つまりチームと当該自治体の間で行われる。組織委員会がどんなに立派な推薦リストを用意しても、チームが気にいらなければ、リスト外から選ばれる可能性だってある。リストは参考資料以外の意味を持たないのである。この点を誤解して、リストに入ることがキャンプ地となる最低条件だと思われていないだろうか?例えばリストに入るため、「芝生のグランドが2面」という立候補条件を見て、ウチはダメだ、と諦めた自治体もあっただろう。ところが前回フランス大会では、キャンプ地に芝生が半面しかなかった所も選ばれている。(ユーゴスラビアではなかったか?)
他にも誤解がある。キャンプ地は、「W杯の予選が終わり、出場が確定してから選定する」と思われている方も多いだろう。常識的な理解だが、これも現実には違ったケースがあった。イングランドとノルウェーは出場が決まる遥か前に、キャンプ地を決めていたのである。つまり、キャンプ地を決めるということに関して、決まったルールなどはなく、全て個別に対応しているというのがこれまでの実状だったのである。そして今のところ、その方式が変わったという話は耳にしていない。
「では早速出場が有力視される国に売り込みに行こう。」と行動を開始した自治体がある。売り込みに行った先は「フランス」。確かに前回優勝国であるから、現段階では開催国以外の国で間違いなく2002年の大会に出場が決まっている唯一の国である。だから目のつけどころはいい、と言いたいところがそうは行かない。前大会の優勝国は、次の大会のオープニングゲームを戦わなければならない。そして2002年の6月1日に行われるオープニングは、韓国で行うことが既に決められている。となると、フランスはキャンプを日本で行うだろうか。また、韓国にも面子があるだろう。チームが日本でのキャンプを希望しても、すんなりそれが叶えられるとも思えない。もっとも先日韓国の延世大学と意見交換をした友人の話では、「韓国はスタジアムを造るので手一杯で、キャンプ地の整備などの余裕はないから、韓国以外の31カ国は日本を選ぶかもしれない」という危機感を訴えていたという。
キャンプ地の選定一つをとっても、ことはなかなか単純ではない。この辺りの理解もトータルとして、W杯というものをどれほど理解しているかどうかのリトマス試験紙の一つかもしれない。 |
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