浜村真也はこう考える〜

なぜ横浜FCについての議論は不毛なのか?

2001.01.29

 
 

【前提となる基礎知識】
前提となる情報 〜 わかりにくい横浜FCのこの1年の混乱を説明した文章
「協約書」問題を勉強したい人はこちら

【浜村原稿・目次】
情勢分析
危機を認識せよ! 横浜FCが生き残れるとしたら、それは何を達成した時か?
良心的反対派諸君 〜 あるいはアクティブな面々への疑問
無意味な戦い、有効な戦い
横浜FCの傍観者達へ 〜 サッカーの価値って、上のリーグにしかないの?
結論 〜 では可能性はどこにあるのか?



情勢分析

不満分子のソシオ退会を奨励した「協約書」をめぐって、ここ1週間論争が勃発していた横浜FCでは、事態の正常化を目指して、27日奥寺社長と数ソシオ理事長のTOP会談が実現。奥寺氏本人が、声明文「協定書・協約書のいずれも現時点では前提とはせず、(中略)協議を開始する」を読み上げた。
昇格審査時に、Jリーグ事務局が通達した「紛争収拾令」発表以降、主導権を握ってきた「協約」派。その攻勢も遂に限界点に達したわけだが、これは反協約派の勝利というより、むしろ「協約」派の自滅といったほうが適切。横浜FCの周縁部は一連の騒動により、幻滅の念を増しており、率直に言って、両派とも今後の展望は厳しいといわざるをえない。
「市民スポーツクラブの実験」なんてとんでもない。「稚拙な経営ごっこと市民自治活動」という半面教師として歴史に名が刻まれる公算大。
協約派に展望があるわけはないのだが(笑)、反協約派も同じ穴のムジナに過ぎない。


危機を認識せよ! 
 横浜FCが生き残れるとしたら、それは何を達成した時か?

横浜FC。その危うい存立の基盤について考えてみよう。
昨年の平均観客動員3千人は、夏に資金ショート→緊急融資という事態を招いた。
この危機は辻野がトンマだったから陥ったのではなく、クラブの構造に根ざした危機であることを認識する必要がある。いわんや今年はJ2をや、だよ。
現在の横浜FCは「応援好き」の集金組織に過ぎない。
「応援好き」=「市民クラブなんて? チーム強けりゃどうだっていいじゃん」の人。
その人数で経営が成り立っていけるんだったら構わないんだけどさ。
でもね、フリューゲルスは「応援したい」人の数が足りなくて消滅したんだ。
「スポーツの社会実験」の夢を見る人、その実験による利益享受者が仲間に入れないと、チームとして成り立たない構造なんだよ→勿論神奈川県リーグのレベルならやれたよ。でもJリーグ目指しちゃったんでしょ。このままだと同じこと繰り返すよ。
手続き論に終始してる現状はまさに「小田原評定」=核戦争時にシェルターの入室順位を議論してるのと大差ない。
議論するべきは「どうすれば横浜FCがより多くの喜びを生み出せるのか」その一点。
何故なら横浜FCの存続は(発展ではない!)、それが喜びを爆発的に生み出せるか否かにかかっているからだ。
その意味で横浜FCよりも、「横浜海賊の実験」の方が地に足がついている分だけ、百倍尊敬するね。

(「横浜海賊」は合併前のマリノスサポーターを仕切っていたグループ。合併に反対した宮崎氏を中心としたグループが、マリノスサポーターであることを止め、自らクラブチーム「FC横浜海賊」を結成。2000年シーズンは神奈川県3部リーグで戦ったが惜しくも2部昇格はならなかった詳しくはこちら

(2月25日加筆)
横浜FC海賊は神奈川県リーグで未登録選手の差し換え出場、審判免許不所持者を
偽って審判として供出するなどの事実が明るみに出、日本サッカー協会から処分
を受けた。
表面上の事実だけをもとに「地に足がついている」と評価した己の浅はかさを恥
じるとともに、海賊に関する誤ったイメージを広めてしまったことを深くお詫び
します。


良心的反対派諸君 〜 あるいはアクティブな面々への疑問
チームの私物化を食い止めようとするのはわかる。ただ奪権したら何をやるかが掲げられないのなら、大勢は変わらないんじゃないのかな。
現執行部と異なるどんなヴィジョンがあるっていうんだい?
えっ「クラブとソシオの関係正常化」? たったそんだけ。
いきなりBIGなことをやれといっているんじゃないんだ。要はあなたが横浜FCの中でスポーツ(サッカー)で何がやりたいのかということ。
一言でいえば、横浜FCの論議には、スポーツの臭いが感じられない。
「スポーツ」抜きに「スポーツクラブ」について語るのって本当に不毛。
結局「金」か、になっちゃうよ。それって自らの貧しさの証明じゃん。
百年構想の「百年」を批判するのは容易い。が、ソシオだって1年後、2年後の夢を語ることができていない点では大同小異。
横浜FCを利用して何ができるか、横浜FCと関わっていて面白い目が見れるのか?
クラブに対する忠誠心なんて捨てて、シビアに利害計算する人と僕はつきあいたいね。
ソシオが具体的なメリットを提示できない限り、3千人の観客動員、2千人代後半のソシオ会員は減り続けるよ。


無意味な戦い、有効な戦い

会社の設定した土俵で戦うな。
協約派の馬鹿さ加減はわかるが、それにつきあわされてしまっている時点において五十歩百歩。
正規軍の戦いに、パートタイムの兵士しかいない義勇軍が勝てるわけ無いじゃん。
土俵の外に、「喜びを提供する場」を作って、それを背景にクラブとの力関係を変えていくことができない限り、ジリ貧だよ。

「生活全てはかけられない」というセリフを言い訳にしつつ、それでも余暇の大半をYFCに捧げてる人、結構いるわけでしょ。(あっ、応援好きの人は関係なしね)
大きなお世話だけど率直に時間勿体無いなあと思うよ。
あなたのアフター5はそれでいいの?

横浜FCが潰れたからって、「市民クラブ」の夢が10年後退するなんてことはないから、安心して下さい。メディアが取り上げてくれるだけ、滅茶苦茶恵まれている今の立場に気づいて下さい。一度目は同情したけど、二度目は自己責任。今度クラブ潰しても誰も救いの手なんか差し伸べない。

あるいは横浜FCの戦いは、既に「敗戦処理」の過程に差し掛かっているかもしれない。であるとすれば、その中から何を救い出せるかを考えて行動することが、現在必要なことなのかもしれない。
関係者はフリエの二度目の消滅後、スポーツクラブの夢を一切諦めてしまうというのか。三度目の挑戦にスクラムを組むに足る仲間は誰か? スクラムの役割分担は? 自分の力量はどの程度のものなのか? 
よく敗れることは、よく勝つことと同様非常に難しいことだ。 

また、既に横浜FCは既にTOPチームだけのものではなくなっている。既存の横浜市の中学生のクラブにYFSCの名を暖簾分けする形ではあるが、横浜FCの名を冠したジュニアユースが生まれている。(水島武蔵氏をヘッドに組織化を進めている)
前回の合併と異なり、二度目の消滅時にこの少年達を面倒見てくれる、指導者の給料を払ってくれる組織はないのだ。責任ある立場にある人間はスクランブル時の避難方法を密かに研究するべきではないか。


横浜FCの傍観者達へ 〜 サッカーの価値って、上のリーグにしかないの?

甲府しかり、チームなんて潰すなというのが自己目的化していないか?
地に足がついてもいないのに、背伸びをするクラブが潰れるのは仕方がないこと。
「銀行」だって潰れたていいのに、無理に救済しているのと同じ無理を感じるわけ。
JFLの新規5チームを見てて感じるのは、非常に背伸びをしているなということ。
いずこもクラブ単独の会計ではJFLに上がれないから、地域リーグ決勝大会で好成績を収めることで、地元企業、自治体を説得してスポンサードを得ようというクラブがほとんど。
選手が高いレベルでやりたいのはわかるけど、運営側は高いレベルでやることによるメリットだけでなく、リスクをシビアに見極めるべきでしょ。潰れちゃもともコもないじゃん。
いくら今の日本は、スポーツぐらいしか夢が見られないからって、収益構造もないのに、大金を使うのって、クラブを大事にしていない証拠でしょ。
長い目で見れば全然焦る必要なんてないんだから。
会員数900人の日本最大のフットボールクラブ=神戸FCのTOPチームは関西社会人リーグに在籍しているんだけど、年間70万円の登録費(交通費、諸経費込みで150万円)分のメリットがクラブにあるかどうかをキチンと議論している。

神戸FCに関するインタビュー記事がこちら


結論 〜 では可能性はどこにあるのか?

「フリエを愛していた」程度の帰属意識は「スポーツクラブ」を成り立たせるには、チンケすぎて役にたたないということ。
「スポーツクラブ」は具体的に顔の見える人間関係を基盤に作るしかないものだ。
すなわち仲間と作った草サッカー、フットサルチームをどこまで大切にできるか?
サッカーの喜びの為に、生活をどこまで割けるのか? 
生活を賭けてスポーツを支える有志の信頼関係が深化する以外にスポーツクラブ=市民クラブなんてできっこない。

もう一度言う、信頼できる仲間、時間を共有したい仲間と「スポーツ」をどう楽しみたいのか?どのような仲間とめぐり合いたいのか?
「市民クラブ」という名の迷宮で道に迷わないためには、原点の思いを固く握り締めるしかない。

 
     

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