<青い翼通信 37GO!  特別レポート>
もう一度、仕切り直そう

〜「市民クラブ」横浜FCの2年(1)〜

2001.01.13

 
 

【目次】

1、2年目の虚像〜昨年度チーム予算の蹉跌
2、
赤字5200万が生じた経緯?
3、間に合わなかった、待てなかった=ソシオの成長
4、
対立の構図 〜 市民を信じられなかった辻野・奥寺執行部


1、2年目の虚像〜昨年度チーム予算の蹉跌

 運営会社の経営悪化に伴い親企業は支援放棄と縮小、一方的にマリノスとの"合併"を発表。そこから始まった横浜フリューゲルス再建運動。そして、フリューゲルスに代わる新しい「市民クラブ」としての、横浜FCの設立から2年が経とうとしている。JFLを圧倒的な強さで勝ち抜き、悲願のJリーグ昇格を決めようとしている横浜FCにとって、この2年間は何だったのか。取材をとおして、J昇格後の横浜FCの抱える課題を検証する。

 12月に入り横浜FC公式HPに掲載された「予算」について、驚きや不安を感じた人が多いのか?それとも当然と感じた人が多いのか・・・?
 今年8月6日の公開理事会で、横浜FCは一部のソシオ会員から不安視されていた来期予算についての説明資料を配った。そこには総額5億円から3億円まで、4通りの予算額が書かれており、公開理事会の席上で経理担当の加藤氏(現取締役総務部長)から「3億円の予算では、選手の年俸も半分近くになります。クラブの運営経費も出ず、事務所を誰かの自宅に移すなどしなければならなくなります」と説明していた。12月5日に送られてきた予算案には「事業収入 4億1637万円」とある。この数字だけ見ても、8月頃までの辻野前社長や会社スタッフの「来期予算は5億程度」という説明と大きく食い違っている。
 項目ごとに見ていくと、実質的な選手・監督などチームスタッフの年俸である「クラブ経費」の項目が2000年度に比べて5000万円以上も減っている。注記には「一部スタッフの報酬を販管費へ移行」とあるが、これは取締役に入った奥寺GMと田部強化部長のことを指しているのだろうが、それをはるかに上回る減少額だ。選手・スタッフの数が仮に今年と同じだったとしても、平均年俸は8割の切り下げになる。まして、来年は試合回数が2倍以上に増えるため、2、3名の選手増員も予定していたはずで、それを含めば現役選手には3割以上の激烈な年俸切り下げが提示されたことになる。
 この報告、よく見るとおかしいと感じる点がある。商品の仕入れ額に比べて物販収入が不自然に多い。今期銀行から借り入れた3000万円の返済の原資が含まれていない。来期のスポンサーが確定していないこともしかり、図抜けた観客数で鳴らした浦和と札幌がJ1に昇格したうえに、J1・J2が同日開催になることの観客動員への影響が考慮されているかどうか不明な点など、問題点は数多い。
 だが、そうした詳細よりもずっと残念なのは、この予算案が公開理事会などの直接説明の機会もなく、ただ会員に提示されただけだったということである。「会社のソシオが話し合い、その創意をJリーグに資料として提出する」という6月24日の公開理事会での望月理事長の約束は、あっさりと破られてしまったのだ。
 会計に詳しいあるソシオ会員は「この予算案でも、来年2月末(浜村注、2001年)に迎える資金繰りはきわめて厳しい」と指摘している。その遠因は、やはり当初4億円で立てておきながら、実質的な収入が3億円しかなく、結局年間の収支で5200万円もの大赤字を出してしまった、2000年度の予算に行き着く。
 横浜FCというクラブの2年間、そして今後のあるべき姿を考えるとき、決して通り過ぎることのできない問題が2つある。一つはこの大幅な支出超過予算が、なぜどのようにして作られたのかということ(経営の見通し)、そしてもう一つはこうした過ちが起きるのを、どうして誰も止められなかったのかということ(経営組織)、この2つの問題である。これについて、冷静に"敗因"を分析し、反省をすることからしか、おそらく次のステップはあり得ないだろう。

 
     

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