時評随筆(189)

働き方改革とプロフェッショナル


2017-3-2 佐 藤  晋



かつて(1990年前後)の勢いを生活に取り戻すために課題や諸策を前号まで6回も取上げてきた。それには労働生産性の改善が必須の条件であることも分かった。

昨年8月に内閣にできた「働き方改革」では、労働生産性の改善を正面から取り組む姿勢を示したものとして行政の方針を歓迎した。ところが国会審議(2/17)では、主として長時間労働の防止策に質疑が終始し、国を豊かにするための生産性向上に関した質疑は全くなく期待外れであった。

考えてみると民主政治では、与党が多数で初めて政治が行えるので、議員の皆さんは国益の政策よりも先ずは党勢拡大の政局を優先せざるを得ないのが実態であろう。労働生産性の向上策は就労者に努力を強いるので国会で取上げにくいテーマといえる。

この際、審議テーマを政策や政局など目的別に分類し、分野の大系(Outline)を定め、細部を体系化(Systematize)し、MH配分を明らかにし、政局に偏らない審議により政治の効率性向上を期待したい(37号「国会議員のMH分析」参考)。

日本の1人あたりの総実労働時間は2011年が平均1728時間で、統計をとり始めた1970年の2243時間より減少傾向が続いている。しかし英国(1625時間)やドイツ(1413時間)、オランダ(1379時間)など主要国に比べると、まだまだ短縮が求められている。

また労働生産性の国際比較(2011年)を見ると、日本は労働時間1時間あたりの生産性は41.6ドルで、米国(60.2ドル)、フランス(57.7ドル)、ドイツ(55.8ドル)より著しく低く大幅な改善が求められているのが現状と言えよう(165号)。

労働生産性の改善策を算出式から考えてみると、労働生産性=GDP/就職者で表されるので、改善にはGDP(国内総生産Gross Domestic Product)を増加させれば良いといえる。

GDPとは、積算対象や範囲が複雑で理解しにくいが説明では、
@ 一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額、
A 国内で新たに生産された商品やサービスの付加価値の総額、
B 日本人が働いて稼いだ儲けの総和
などと言われ、Wikipediaでは「一定期間に企業が財・サービスの市場で自身の最終財・サービスを売り、その対価として得た金の総額を国内総生産(GDP)」と説明している。

要約すればGDPの増加、即ち労働生産性の向上には就業者がより付加価値を生み出す社会の構築が重要と言えよう。それには就業者各自がそれぞれの道でプロフェッショナル(専門職・専門家)を目指すことではなかろうか(106号参照)。

その理由は、生産性本部が例年発表する「日本の生産性の動向2016年版」の図3-3に各国の労働生産性の順位がある。日本(21位/34ヶ国)より上位には、中世期のギルド社会やその思想を受け継いだ国々が多いのである。

ギルドとは、31号「日本版ギルド社会を」で紹介しているが、専門職同業者の特権集団で、専門職を重視する社会通念があった。

丁度5年前146号で震災の復興から世界への挑戦を願い、@「国民皆労働」、A「国民皆納税」、B「国民皆IT武装化」の実現を提言したが、今後は生産性向上のためにさらにC「国民皆プロフェッショナル」を追加したい。



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