時評随筆(188)

「一億総活躍」と「働き方改革」(6)


2017-1-27 佐 藤  晋

 
182号の世界賃金ランキング19位から、再び「豊かな生活」を取り戻すためにとり上げた表題のシリーズも6回になった。前号では行政にプロジェクト運営の改善を提案しているが、中国行政のプロジェクト国際入札の厳しい一例を87号「「談合国家」は衰亡する」で紹介しているので行政には是非参考にして頂きたい。

「政府の効率性」の向上となると、その範囲は内閣、国会、行政とその外郭団体(主として税金で運営されている団体)も効率化の対象になるので続けたい。

政治に効率性は馴染まないという意見もあるが、各国では政治制度により意思決定に要する時間も異なるので国際競争力の視点からはその意義は大きいと考える。

内閣と国会については、既に
177号「「政府の効率性」と首相の在任期間 」、
178号「「政府の効率性」と首相の役割」、
179号「「政府の効率性」と参議院の役割」
で直接とり上げているので、ここでは首相の任期と国会について補って見たい。

国のリーダーの任期についていえば、主要国では1期4年から2期8年が多い。ところが日本は、戦後31人中3年を超えた首相は7人のみ、1年以下が9人、平均在任期間は約2.2年で、主要国に較べれば著しく短命政権と言える(177号)。

短命では党利党略の政争に費やされる時間と選挙や選出回数が多くなり、実質的に政策論議の時間が少なくなるので、日本の政治は効率が低くその上コストも高いと言える。

また日本では、新首相は施政方針と10年前後の長期経済政策を発表するケースが多い(152号)。しかし在任が1〜2年では、成果が未達で終わることになり、政策も予算も朝令暮改になる懸念がある。

その影響は当然実行機関の行政にも及び都度無駄なMH(マンアワー)を消費していることになる。内閣も国会も行政も、この繰り返しでは「政府の効率性」の改善は望むべくもないと言える(151号)。

現安倍政権は衆参共に与党が過半数で安定し、就任5年目の長期政権で国の内外で大いに活躍されているが、現政治制度の延長では次の政権交代は「ねじれ国会」の公算が高く、再び短命政権が続くことが大いに懸念される(141、157、179号)。

また政府の経済政策に、@(富の生産)>(富の分配)、A(歳入)>(歳出)の兆しがなければ、国際競争力の向上は期待できない。そう努力すれば負債は縮小傾向になり、かつての豊かな生活を取り戻せるきっかけになるだろう。

国会では@とAの左辺の議論をとりあげて貰いたい。例えば「ふるさと納税」の類で経済が成長しても国民の生活は決して豊かにはならないのである(花見酒経済?)。

日本は鉱物資源に恵まれていないので、富を得るには貿易・観光立国と科学技術創造立国を目指さざるを得ないだろう。日本再生には、今こそ輸出や観光関連事業の活性化と科学技術基本法の実施部門である総合科学技術会議(109、110号)の成果が期待される。

また日本は小集団活動など「同質の強度」で経済大国を達成したが、成熟社会では個性(プロフェッショナル)を重視した「異質の強度」の社会を目指すべきではなかろうか(4号規制緩和と個の確立、76号「同質の強度」と「異質の強度」参照)。



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