英語談義(第6回)

無料の英字新聞


前 嶋  寅 蔵
fwhd1032@mb.infoweb.ne.jp


ここ一年ほど英語をあまり使わなくても足りる仕事をしていますので、実戦的英語勉強法のヒントがなかなか出てきません。“不必要は不勉強の母”とでもいうように、現在、英語の勉強らしいことはあまりやっておりません。

そんな中で、私にとって、ほぼ毎日英語に触れる機会となっているのは、インターネットで英字新聞を読むことです。

皆さんもお試しになっては如何ですか。検索エンジンで「英字新聞」のキーワードで探せば、いくらでも英字新聞のサイト集が見つかります。

最近"goo"で試してみましたら、「新聞の街角」や「新聞リンクβ版」がすぐ見つかりました。これらを手がかりに気に入った英字新聞を捜します。こんなに英字新聞があるのと思えるぐらい、ネットにも沢山の新聞が出ています。一部有料のところもあるようですが、殆どが無料です。

沢山あり過ぎて、何新聞のどんな記事を読んだらよいかを決めるのは、なかなか骨が折れます。外国紙と日本紙の選択、政治欄、経済欄、技術欄等の記事ジャンルの絞り込み、この辺は出来るだけ早く決めておいた方がよいでしょう。毎日のことですので、興味のあるものでないと長続きしません。

私の愛読紙は、"The Japan Times"です。ただ、ニュース記事は殆ど読まず、もっぱらOpinionという社説・論説のみを拾っています。内容は政治、経済、社会と広範囲に及び、対象地域も日本のみならず全世界をカバーしております。記事の数は、月当り70-80件程度です。土日も含め毎日出ますので,新聞のように毎日フレッシュなものに触れることが出来ます。

通勤中に読めるように記事をプリントします。勿論、インターネットの記事をそのままプリントしても良いのですが、私の場合は読みやすいように「ワード」に落とします。ワードへの落とし込みを能率よく行なうために、若干のテクニックが必要です。

まずブラウザーソフトとして、NetscapeでなくInternet Explorerを用います。Netscapeを使うと、どういうわけかワードに貼り付けた時、途中で勝手に自動改行されてしまい、後で行端を揃える処理が面倒です。視力にあったフォント・文字サイズの選定をして下さい。私は老眼が進んでいるので、MS Pゴシック14ptを使っています。段落処理は固定値15ptにしています。

私はこの記事をすべてパソコンにダウンロードしてデータベースとして利用しています。データベースソフトはLotus Notes、パソコンショップで5,000円以下で売っています。

こまめに記事を集めると時事問題の立派なデータベースになります。我がPCは、今年初からの記事を貯えています。月に70−80件のペースで記事が増えてゆき、既に9月末現在で約700件になっています。

例として、9/11に起こった米国でのテロ事件で一躍有名になったタリバーンを引いてみましょう。スペルは"Taliban"です。これは"Pakistan"のキーワードで検索をした記事から見つけました。

"Taliban"による検索では、1-8月で8件の該当記事がありました。その内6件がTalibanが主題でした。1月の記事がタリバーンの支配するアフガニスタンに対する国連制裁の関するものです。制裁は、Osama bin Ladenの引渡しを拒否するアフガニスタンに対し、武器流入阻止、テロリストを養成する訓練施設の閉鎖、麻薬製造の禁止を求めるためのものです。今回の事件後の経過を見るとタリバーンは国連制裁を全く無視しました。

3月の3件の記事はタリバーンによるバーミヤンの石像破壊に関するものです。3月にはイランのハタミ大統領をモスクワに招き、ロシアがイランとのそれまでの敵対関係を改めようとの姿勢を示したと言う記事がありました。敵の敵は友と言うタイトルが示すように、タリバーンという共通の敵を意識しての政策変更です。

6月の記事ではアフガニスタンに対する国連の制裁はアフガン人の生活状況をより一層みじめなものにしており、米国やロシア等が力によりタリバーンの態度を変えようとする政策を変更すべきと言っております。8件の記事をキチット読んでみると9/11の“同時多発テロ“の背景がよく分かってきます。

これらの記事をざっと分析すると、タリバーンは国連制裁によりかなり追い詰められ、内部の結束を固めるのが難しくなったのかもしれません。バーミヤンの石像破壊というデモンストレーションをしたが世界の反応が薄く、やむなく一か八かで今回の暴挙に出たような気がします。

タリバーンに対しては米国以上にロシアが気にしており、米国の対応如何によっては、アフガニスタンはロシアの支配下に組みこまれる可能性があります。そんなこともあり米国の態度がなかなか決まらないのでしょう。当然のことですが、Talibanをキーワードとする9月の記事は一挙に増加し、8件もありました。

どうです、大変な時事問題のデータベースでしょう。このデータベースは時事英語の辞典としても使えます。小泉首相の唱える「聖域なき構造改革」や「構造改革なくして成長なし」の英文はすぐ見つかります。構造改革は、"Structural reform"ですが、この二つの単語をキーワードとしてANDで検索すると、沢山出てきます。100件以上もありました。

「聖域なき構造改革」は、"Structural reform with no sacred cows"で, 「構造改革なくして成長なし」は、"no economic recovery without structural reform"のようです。With とwithoutの使い分けが面白いですね。"with no sacred cows"というと聖域を一つとして残さないという感じがよく出ています。

辞書編の続きとして「同時多発テロ」というのを見てみましょう。聞きなれない言葉ですが、最近のテレビ番組のニュースでは最初に必ず出てきます。米国発の言葉のようですが、どうでしょうか。

"Attack"をキーワードとして調べてみましたが、あちらでは「同時多発テロ」というような難しい言い方をしていません。"the terrorist attacks"の表現が殆どです。9/11に起こった事件であることを明示するために"the Sept. 11 terrorist attacks"としていた例がありました。 "apocalyptic"、"bloody"、"disastrous"といった形容詞をつけて事故の恐ろしさを強調する表現も見られました。

「同時多発テロ」の英訳は、日本人の書いた文章にありました、"the simultaneous terrorist attacks"となっていました。これから見ると、「同時多発テロ」という聞きなれない日本語は日本のマスコミの造語のようです。

いかがですか。面白いでしょう。私は国際問題を扱った社説を集めましたが、国内記事のみとするとまた違った面白さがあります。この場合には、The Japan Timesより、Daily YomiuriやAsahi Eveningのような“日本の新聞”の方がよいかもしれません。

Lotus Notesは大変使い勝手のよい全文検索ソフトで、コレポンの英文メールをストックすると、立派な例文集になります。