バーブラ・ストライサンド アルバム紹介


Color Me Barbra (1966)


バーブラ二つ目のテレビスペシャル、"Color Me Barbra"のサウンドトラック。ビルボードアルバムチャート最高位3位。ゴールドディスク獲得。このアルバムに収められた曲は"My Name Is Barbra"関連の2枚のアルバムと違って、すべてこのテレビスペシャルの中で使われています。

このスペシャルは3つのセクションに分かれ、Act1がフィラデルフィア美術館での森村泰昌風コスプレパート(要はバーブラが絵の主人公になりきるわけです)、Act2が動物とお遊びパート、Act3がコンサートパートと、3部構成なのは"My Name Is Barbra"と一緒ながら、これまた趣向を凝らしたものとなっています。またこの番組は当時まだ珍しかった総天然色(笑)で撮られており、そう言った意味でもCBSのバーブラへの期待ぶりが容易に想像できようというものです。

で、なぜジャケットが絵なのかって?それはこの絵がテレビスペシャルの冒頭で出てくるからなのですが、さてここで問題。ではこの絵は何の曲に合わせて描かれたものでしょうか?(ヒント:これまでに発売されたバーブラのアルバムに収録されています)。

1. Yesterdays [3:05] (O. Harbach / J. Kern) 
 邦題「過ぎ去りし日々」。1933年のミュージカル"Roberta"より。このミュージカルでは他に"Smoke Gets In Your Eyes"が有名ですね(バーブラは歌ってませんが)。この曲はAct1の最初の曲で、バーブラは美術館の中を所狭しと走り回っています。因みに村上龍の「恋はいつも未知なもの」という小説にもこの曲をモチーフとした短編が入っています。

2. One Kiss [2:17] (O. Hammerstein II / S. Romberg)
 1928年のミュージカル"New Moon"より。バーブラはこの他に"Stouthearted Men","Lover, Come Back to Me"の2曲をこのミュージカルから取り上げています。

3. The Minute Waltz [1:59] (L. O'Kun)
 ショパンのピアノ曲"子犬のワルツ"に歌詞をつけたもの。バーブラはギロチン直前のマリー・アントワネットに扮し、コメディエンヌぶりを遺憾なく発揮しています。早口言葉かつ息継ぎなしの限界に挑戦、みたいな。歌詞も面白いですのでぜひ読んでみてください。

4. Gotta Move [2:01] (P. Matz) 
 邦題「心を決めて」。"The Second Barbra Streisand Album"にも収録されているある意味この年代のバーブラを代表する曲の一つ。こちらではホーンセクションがフィーチャーされて、よりダイナミックなアレンジになっています。この曲でのバーブラの衣装はど派手なサイケで、当時のモードにカラーテレビが与えたであろう影響を追認することができます。

5. Non C'est Rien [3:27] (M. Jourdan / A. Canfora / J. Baselli) 
 邦題「そんなはずないわ」。このアルバム(というか番組)中一番の名唱。モジリアニの恋人(高名なジャンヌ・エピュテルヌではないらしい)になりきったバーブラが耐える女を(別れ話か?)熱演。ただフランス語なので何言ってるのかさっぱり分からないんですよね(爆)。どなたか訳してくださいませんか?

6. Where Or When [3:06] (L. Hart / R. Rodgers) 
 邦題「いつかどこかで」。1936年のミュージカル"Babes In Arms"より。このシークェンスでバーブラはエジプトの女王、ネフェルティに扮していますが、こういったエジプト風のメイク、バーブラ似合いますね。この曲自体はデジャブというか他生の縁をロマンチックに歌ったものですが、バーブラはネフェルティの生まれ変わりといった具合なのでしょうか。エジプトの神殿を模したセットにジャケットの顔が掘られているのも芸が細かい感じです。実際バーブラのどこまでも伸びる歌声は時空を超えるかのごとくでAct1を締めくくるにぴったりの曲となっています。しかしネフェルティの胸像は大英博物館にあるので、この映像に出てくるのはレプリカなんですかね?。大英博物館でロケしたという話も聞かないし...。因みに"Babes In Arms"からはバーブラは"My Funny Valentine"と"Johnny One Note"を取り上げています。

7. Medley: [9:00] 
 Act2の"顔"メドレー。Act1のバーブラは衣装も含め少しババ臭いのですが、ここでは割と年相応な感じで動物と共演しています。メドレーとしてコンセプトはしっかりしており、これはこれで楽しめるのですが、曲としてのつながりに欠けるのが惜しいところ。ビデオには後数曲追加で入っています。
* Animal Crackers In My Soup
 今は議員さんでカクテルの名前でもおなじみのShirley Templeで有名な1935年の曲。
* Funny Face
 フレッド・アステア&オードリー・ヘプバーン主演のミュージカル映画"Funny Face(1957)"より。
* That Face
 「追憶(The Way We Were)」や「愛のたそがれ(You Don't Bring Me Flowers)」でおなじみのAlan Bergman作詞による曲。彼の曲をバーブラが歌ったの、これが最初の曲だそうです。
* They Didn't Believe Me
 1949年のミュージカル"The Girl From Utah"より。H. Reynolds & J. Kernの曲。 
* Were Thine That Special Face
 "Kiss Me Kate"より。Cole Porter作曲。
* I've Grown Accustomed To Her Face
 Frederick LoeweとAlan Jay Lernerのペンによる1956年のミュージカル"My Fair Lady"より。意識したかどうかは分かりませんが、ヘプバーンのことをfunny faceというのと、バーブラのことをFunny faceというのは、自ずと意味が違うように思うのは筆者だけでしょうか?(笑)。
* Let's Face The Music And Dance
 Irving Berlin作曲。
* Sam, You Made The Pants Too Long 1940 
 "Lord, You Made The Night Too Long."のパロディって書かれてもねぇ。クリスチャンでもないし。Lewis/Young/Whitehouse/Berleによって書かれた1940年の曲。
* What's New Pussycat?
 「何かいいことないか仔猫チャン」の主題歌。Tom Jonesの歌でヒットした。
* Small World
  1959年のミュージカル"Gypsy"より。Jule Styne曲,Stephen Sondheim詞という、ある意味バーブラ的な曲ですが、あまりに引用が短すぎてよく分かりません。
* I Love You 
 すみません。これはどこからの曲かよく分かりません。どなたか情報提供ください。
 →1943/1944年のコール・ポーターのミュージカル「MEXICAN HAYRIDE」からの曲だそうです。情報提供、thanksです>KONTAさん。
* I Stayed Too Long At The Fair 
 "The Second Barbra Streisand Album"でお馴染みの曲。
* Look At That Face 
 Anthony Newley/Leslie Bricusseによる曲。 

8. C'est Si Bon (It's So Good) [3:40] (J. Seelan / A. Hornez / H. Betti) 
 Act3のコンサートより。題名からも分かるように、原曲はシャンソンですが、"Non C'est Rien"と違って、この曲は英語で歌っています。しかしこの曲、大阪ローカルのCF、洋酒喫茶「セシボン」のイメージが強すぎて、関西出身の筆者にはどうしてもマジメに聴けないのです...。

9. Where Am I Going? [2:50] (D. Fields / C. Coleman) 
 1966年ブロードウェイ初演のミュージカル"Sweet Charity"より。というより、日本ではシャーリー・マクレーン主演の1969年の映画での方が有名でしょうね。イントロがあるかないかでさりげなく歌に入っておきながら、最後はこれでもかという感じで畳み掛けていく演出は心憎いばかりです。因みにこのミュージカルからバーブラは"You Wanna Bet"も取り上げています。

10. Starting Here, Starting Now [2:53] (R. Maltby, Jr. / D. Shire) 
 "Take my hand for the greatest journey, heaven can allow. Starting love, Starting here, Starting now"とくると、なんだか「見上げてごらん夜の星を」みたいですが、個人的な節目にもパブリックなキャンペーンソングにも使えそうな高いメッセージ性を備えた曲。だからこそバーブラは民主党のファンドレイジングパーティーである"Live Concert At The Forum"でもこの曲を取り上げたのでしょう。ところで1977年にこの曲名をタイトルに据えたレビューがオフブロードウェイで上演されたようです。そのときにはどんな場面で使われたのでしょうね。興味のそそられるところです。




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