通常、コントロールはWM_COMMAND(コモンコントロールの場合はWM_NOTIFY)
メッセージを親ウィンドウに送信します。
親ウィンドウはそれらのメッセージに応答して処理を実行します。
しかし、コントロールが送るそのようなメッセージを、
親ウィンドウではなくそのコントロール自身に応答させたい場合があります。
メッセージリフレクションは、これを実現する仕組みです。
メッセージリフレクションを使うと、コントロールが親ウィンドウに送ったメッセージは
親ウィンドウからコントロールに返送され、コントロールが応答することができます。
次に示すのは、コントロールからのメッセージを返送する、親ウィンドウクラスのメッセージマップです。
// 親ウィンドウ
class CMainDlg : public CDialogImpl<CMainDlg>
{
...
...
// メッセージマップ
BEGIN_MSG_MAP_EX(CMainDlg)
MSG_WM_INITDIALOG(OnInitDialog)
...
...
REFLECT_NOTIFICATIONS() // 処理されなかったコントロールからのメッセージを返送
END_MSG_MAP()
...
...
|
親ウィンドウ(この例ではCMainDlg)はコントロールからのメッセージを受け取ると、
メッセージマップにそのメッセージ用のメッセージマップエントリがあるかどうか調べます。
該当するメッセージマップエントリがなければ、
REFLECT_NOTIFICATIONSマクロによってメッセージを送ってきたコントロールに返送します。
次に、返送されたメッセージに応答するコントロールクラスを定義します。
ここでは、ボタン用クラスCUrlButtonを定義します。
CUrlButtonクラスはボタンのキャプション文字列をURLと仮定し、
ボタンを押すとそのURLを開きます。
この例ではUrlButton.hというヘッダファイルを用意し、
そこにCUrlButtonクラスを定義しています。
// UrlButton.h内
class CUrlButton : public CWindowImpl<CUrlButton>
{
public:
DECLARE_WND_SUPERCLASS(_T("UrlButton"), _T("BUTTON"))
// メッセージマップ
BEGIN_MSG_MAP_EX(CUrlButton)
MSG_OCM_COMMAND(OnCommand)
DEFAULT_REFLECTION_HANDLER()
END_MSG_MAP()
void OnCommand(UINT uNotifyCode, int nID, HWND hWndCtl){
TCHAR szURL[2048];
GetWindowText(szURL, sizeof(szURL)/sizeof(TCHAR));
ShellExecute(m_hWnd, _T("open"), szURL, NULL, NULL, SW_SHOWNORMAL);
}
}
|
これにより、親ウィンドウから返送されたメッセージは、
メッセージを送ったコントロールのメッセージマップで処理されます。
返送されたメッセージはOCM_で始まります。
(OCM_COMMANDやOCM_NOTIFYやOCM_CTLCOLORBTNなど。)
WTLは返送されたメッセージのためのメッセージマクロを用意しています。
上の例ではOCM_COMMANDメッセージをMSG_OCM_COMMANDメッセージマクロによって、
OnCommand()にマッピングしています。
なお、処理されなかったメッセージはDEFAULT_REFLECTION_HANDLERマクロによって処理されます。
最後に、コントロールを作成する必要があります。
作成するためにはCreate()を呼び出しますが、
SubclassWindow()によって既存のコントロールをサブクラス化することもできます。
class CMainDlg : public CDialogImpl<CMainDlg>
{
...
...
enum { IDC_BUTTON_URL = 1001 };
CUrlButton m_button_url;
LRESULT OnInitDialog(HWND hWnd, LPARAM lParam){
// コントロール作成
m_button_url.Create(m_hWnd, CRect(0, 0, 200, 30),
_T("http://www.google.com/"), WS_CHILD | WS_VISIBLE, 0, IDC_BUTTON_URL);
// または既存のコントロールをサブクラス化
// m_button_url.SubclassWindow(GetDlgItem(IDC_BUTTON_URL));
return TRUE;
}
...
...
|
このように、メッセージリフレクションを使用すると、
コントロールクラスが親ウィンドウに依存せずに、
自分が親ウィンドウに送ったメッセージに対する動作を自分自身で実装できます。
次に示すのは、CUrlButtonクラスを使用する例です。
// stdafx.h内
#include <atlbase.h>
#include <atlapp.h>
extern CAppModule _Module;
#include <atlwin.h>
#include <atlcrack.h>
#include <atlmisc.h>
|
// maindlg.h内
class CMainDlg : public CDialogImpl<CMainDlg>
{
public:
enum { IDD = IDD_MAINDLG };
CUrlButton m_button_url;
// メッセージマップ
BEGIN_MSG_MAP_EX(CMainDlg)
MSG_WM_INITDIALOG(OnInitDialog)
COMMAND_ID_HANDLER_EX(IDOK, OnOK)
COMMAND_ID_HANDLER_EX(IDCANCEL, OnCancel)
REFLECT_NOTIFICATIONS() // メッセージを返送
END_MSG_MAP()
LRESULT OnInitDialog(HWND hWnd, LPARAM lParam){
// スクリーンの中央に配置
CenterWindow();
// 大きいアイコン設定
HICON hIcon = AtlLoadIconImage(IDR_MAINFRAME, LR_DEFAULTCOLOR,
::GetSystemMetrics(SM_CXICON), ::GetSystemMetrics(SM_CYICON));
SetIcon(hIcon, TRUE);
// 小さいアイコン設定
HICON hIconSmall = AtlLoadIconImage(IDR_MAINFRAME, LR_DEFAULTCOLOR,
::GetSystemMetrics(SM_CXSMICON), ::GetSystemMetrics(SM_CYSMICON));
SetIcon(hIconSmall, FALSE);
// コントロールサブクラス化
m_button_url.SubclassWindow(GetDlgItem(IDC_BUTTON_URL));
return TRUE;
}
void OnOK(UINT uNotifyCode, int nID, HWND hWndCtl){
EndDialog(nID);
}
void OnCancel(UINT uNotifyCode, int nID, HWND hWndCtl){
EndDialog(nID);
}
};
|
// Control.cpp内
#include "stdafx.h"
#include "resource.h"
#include "UrlButton.h"
#include "maindlg.h"
CAppModule _Module;
int WINAPI _tWinMain(HINSTANCE hInstance, HINSTANCE, LPTSTR lpCmdLine, int nCmdShow)
{
HRESULT hRes = ::CoInitialize(NULL);
ATLASSERT(SUCCEEDED(hRes));
::DefWindowProc(NULL, 0, 0, 0L);
AtlInitCommonControls(ICC_COOL_CLASSES | ICC_WIN95_CLASSES);
hRes = _Module.Init(NULL, hInstance);
ATLASSERT(SUCCEEDED(hRes));
int nRet = 0;
// BLOCK: アプリケーション実行
{
CMainDlg dlgMain;
nRet = dlgMain.DoModal();
}
_Module.Term();
::CoUninitialize();
return nRet;
}
|
まず、リソースを作成します。ダイアログにボタンコントロールを配置し、
リソースIDを次のように指定します。
なお、ボタンのキャプションは有効なURL文字列に設定します。
| コントロール名 |
リソースID |
| プッシュボタン |
IDC_BUTTON_URL |
次に、CMainDlgクラスでURLボタン用に
CUrlButtonクラスのインスタンスをメンバ変数として宣言します。
次に、メッセージマップでREFLECT_NOTIFICATIONSを追加し、
最後にWM_INITDIALOGメッセージハンドラでSubclassWindow()によって
既存のボタンコントロールをサブクラス化します。
ところで、今回は返送されたメッセージのマッピングにMSG_OCM_COMMANDメッセージマクロを使用しましたが、
WTLは返送されたメッセージ用に次のような種類のメッセージマクロを用意しています。
|