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デバイスコンテキスト
ドキュメント種別 ATL/WTL に関する文書
最終更新日 2005/09/18
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 これまでの「Hello, ATL/WTL」プログラムでは、 WM_PAINTメッセージハンドラの処理をSDKスタイルで書いてきました。

// WM_PAINTメッセージハンドラ
void OnPaint(HDC /*hDC*/){
    PAINTSTRUCT ps;
    HDC hDC = BeginPaint(&ps);
    RECT rect;
    GetClientRect(&rect);
    DrawText(hDC, _T("Hello, ATL/WTL"),
        -1, &rect, DT_SINGLELINE | DT_CENTER | DT_VCENTER);
    EndPaint(&ps);
}
			

 WTLは、GDIをサポートするクラスを用意しています。 次に示すのは、前回のアイドルハンドラを追加した「Hello, ATL/WTL」プログラムの WM_PAINTメッセージハンドラを、WTLのGDIサポートクラスを使用して書き換えた例です。

// stdafx.h内
#include <atlbase.h>
#include <atlapp.h>
extern CAppModule _Module;
#include <atlwin.h>

#include <atlcrack.h>
#include <atlmisc.h>  // CRectクラスを使うため
			

// MainWindow.h内
class CMyWindow : public CWindowImpl<CMyWindow>,
    public CMessageFilter, public CIdleHandler
{
public:
    // ウィンドウクラス名を登録
    DECLARE_WND_CLASS(_T("Hello"));

private:
    // メッセージフィルタ処理
    virtual BOOL PreTranslateMessage(MSG* pMsg){
        return FALSE;
    }

    // アイドル処理
    virtual BOOL OnIdle(){
        return FALSE;
    }

    // メッセージマップ
    BEGIN_MSG_MAP_EX(CMyWindow)
        MSG_WM_PAINT(OnPaint)
        MSG_WM_CREATE(OnCreate)
        MSG_WM_DESTROY(OnDestroy)
    END_MSG_MAP()

    void OnPaint(HDC /*hDC*/){
        CPaintDC dc(m_hWnd);
        CRect rect;
        GetClientRect(rect);
        dc.DrawText(_T("Hello, ATL/WTL"), -1,
            rect, DT_SINGLELINE | DT_CENTER | DT_VCENTER);
    }

    LRESULT OnCreate(LPCREATESTRUCT lpcs){
        // メッセージループにメッセージフィルタとアイドルハンドラを追加
        CMessageLoop* pLoop = _Module.GetMessageLoop();
        pLoop->AddMessageFilter(this);
        pLoop->AddIdleHandler(this);
        return 0;
    }

    void OnDestroy(){
        PostQuitMessage(0);
    }
};
			

// hello.cpp内
#include "stdafx.h"

#include "MainWindow.h"

CAppModule _Module;

int WINAPI _tWinMain(HINSTANCE hInstance, HINSTANCE, LPTSTR lpCmdLine, int nCmdShow)
{
    _Module.Init(NULL, hInstance);

    CMessageLoop theLoop;
    _Module.AddMessageLoop(&theLoop);

    // 独自ウィンドウを作成
    CMyWindow wnd;
    wnd.Create(NULL, CWindow::rcDefault,
        _T("Hello, ATL/WTL"), WS_OVERLAPPEDWINDOW | WS_VISIBLE);

    int nRet = theLoop.Run();

    _Module.RemoveMessageLoop();

    _Module.Term();

    return nRet;
}
			

 GDIサポートクラスはatlgdi.hヘッダに定義されていますが、 このヘッダはatlapp.hヘッダをインクルードした時点で自動的にインクルードされています。

 今回はRECT構造体をベースとするCRectというクラスを使用するため、 stdafx.h内でatlmisc.hというヘッダをインクルードします。このatlmisc.hにはCRectクラスの他、 SIZE構造体をベースとするCSizePOINT構造体をベースとするCPoint、 文字列をサポートするCStringなどが定義されています。 atlmisc.hで定義されているこれらのクラスはMFCの同名のクラスとほぼ同じ機能を備えています。

 次に、WM_PAINTメッセージハンドラを書き換えます。 まず、CPaintDCクラスのインスタンスを作成します。 このクラスはコンストラクタで::BeginPaint()を呼び出してデバイスコンテキストを取得し、 デストラクタで::EndPaint()を呼び出します。 WM_PAINTメッセージハンドラではその後クライアント領域の矩形を取得し、 中央に「Hello, ATL/WTL」という文字列を表示しています。

 今回はデバイスコンテキストを取得するためにCPaintDCクラスを使用しましたが、 WTLはCPaintDCクラスを含め、次のようなデバイスコンテキスト取得クラスを用意しています。

CPaintDC
 WM_PAINTメッセージハンドラ専用のデバイスコンテキスト取得クラスです。 前述のとおり、コンストラクタで::BeginPaint()を呼び出してデバイスコンテキストを取得し、 デストラクタで::EndPaint()を呼び出します。

CClientDC
 WM_PAINTメッセージハンドラ以外の場所で、 ウィンドウのクライアント領域に描画するためのデバイスコンテキストを取得するクラスです。 コンストラクタで::GetDC()を呼び出してデバイスコンテキストを取得し、 デストラクタで::ReleaseDC()を呼び出してデバイスコンテキストを解放します。

CWindowDC
 ウィンドウのクライアント領域だけでなく、 非クライアント領域にも描画するためのデバイスコンテキストを取得するクラスです。 コンストラクタで::GetWindowDC()を呼び出してデバイスコンテキストを取得し、 デストラクタで::ReleaseDC()を呼び出してデバイスコンテキストを解放します。

CMemoryDC
 メモリデバイスコンテキストを取得するクラスです。

CEnhMetaFileDC
 拡張メタファイルデバイスコンテキストを作成します。

これらのクラスはすべてCDCというクラスから派生しています。 CDCクラスは、MFCの同名のクラスと同様、 デバイスコンテキストハンドルとそれに関するWin32APIをカプセル化します。 WTLのCDCクラスはさらに、DIBやOpenGLもサポートします。