素直に生きればいいんだ。
そんな勇気をくれる『ショート・ラブ』。


小滝橋トオル

『Short Love』

新潮社、2000.07

ひとは人生を、自分なりの解釈で生きている。しかし、往々にして、携帯電話の向こうのハイテンションな語りかけやら、スケジュール帳に書き込まれたアポの消化、あるいはテレビのバラエティ番組の騒々しさにかき回されて、しらずしらず解釈をうしなった上滑りな毎日を過ごしてしまう。

9編の短編からなるこの『Short Love』に登場する主人公たちも、みな、いわばたいへん不器用な生き方をしている。

しかし、ぼくらとちがうのは、かれらはなんとか自分なりの解釈をみつけよう、それもけっして自分にウソだけはつくまいとあがいているところだとおもう。主人公たちは、おもいどおりにいかない境遇、いや、どちらかというと境遇のせいというより、その原因の大半は自分かもしれないという自責の念のなかで生きている。それでも、けっして拙速だけは避けようと、懸命に意味を求めて生きている。

もちろん、答えはやすやすとは得られない。得られないからといって、生きることがやめられるわけでもない。人間関係のなかでなりゆきにしたがって生きつづけなければならない。それでも、意味を求めることだけは、納得いくまでつづけようとする。

そんな主人公たちの目線は、著者小滝橋トオル氏自身そのものなんだとおもう。

この『Short Love』は小滝橋氏のデビュー作らしい。著者の分身である主人公たちが、ともすると上滑りになりがちなわたしたちをひきとめ、自分の歩調を確かめさせようとする。それがとても心地よく、勇気を与えてくれるのだ。